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【原博実の超現場日記/第19回】25年目の対戦…改めてJリーグの面白さを体感

NACK5スタジアム大宮の試合帰り。ちょっと下を向いている人、「ここから強いよ」と自分たちに言い聞かせている人、それぞれが雨の中の参道を、大宮駅に向かって歩いていた。駅までの間にはおいしそうなお店がたくさんある。ファン・サポーターの人たちは、試合に勝ってここで一杯やれたら最高なんだろうなと思う。今日は寒かったから、お店の温かいメニューについ目を取られてしまう。「ちょっと寄っていこうか」という誘惑にどうにか打ち勝って、日産スタジアムへ急ぐ。

大宮駅に着くとタイミングよく湘南新宿ラインが来た。乗り換えが少ないので、移動の間に日記の執筆に取りかかれる。書くことに集中しているとあっという間に横浜駅到着。降車してすぐ傘を忘れたことに気がつく。あわてて一度車内に戻り、ことなきを得る。日記に集中していると乗り過ごしや忘れ物と隣合わせになるので危ない。

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横浜駅で乗り換え、横浜市営地下鉄で新横浜駅へ。改札を出ると、この日の対戦カードである横浜F・マリノスと鹿島アントラーズの対戦を銘打った「The CLASSIC」のデジタルサイネージが。結構なインパクトだ。確かにこの両クラブだけが1993年のJリーグ開幕から25年間、一度もJ2降格を経験していない。

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雨の中を日産スタジアムまで歩く。スタジアムの雰囲気はすごく良い。惜しむらくは雨であったこと。雨さえなければ4万人超えだったと聞いた。

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試合は横浜FMがいつも以上に積極的な立ち上がり。右サイドバックにはケガの松原健に代わって下平匠。彼の右サイドバックは初めて見た。エースのウーゴ ヴィエイラも前節のケガで欠場しており、1トップには伊藤翔が入った。そういえば右ひざに大ケガを負ってしまった齋藤学は無事に手術を終えたと聞いた。学が入っていた左サイドの中盤にはダビド バブンスキー。横浜FMとしてはキックオフ前の時点で3位柏レイソルが引き分けたからこそ、AFCチャンピオンズリーグ出場圏内に入るためにも、何とか首位の鹿島を倒したい。その勢いの差が立ち上がりに表れた。

大きなサイドチェンジから右サイドのマルティノスへ。ここからペナルティエリアに入り積極的に仕掛けてシュートを放つ。これが、鹿島の選手に当たってCKを得ると、開始3分で伊藤が先制点を決める。

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続いて14分、横浜FMは天野純が追加点を奪う。鹿島DF植田直通のミスを見逃さなかった。

45+2分に鹿島も反撃。前半のうちに1点返す。これで後半は分からなくなった。

ハーフタイムにいろいろな人の声が聞こえる。
「今日のマリノス、いいんじゃない?」
「ケガ人が多くてもみんな戦っているな」
「いつもより集中している」
「マリノスもやればできるぞ」

この雨の中、スタジアムへ来てくれて本当にありがとうと声に出してお礼を言いたくなった。

後半、横浜FMにまたアクシデントが。エースのマルティノスがケガで負傷し、遠藤渓太が交代で入る。そしてバブンスキーに代えて扇原貴宏を投入。その直後、鹿島がCKから同点ゴールを決める。

植田は自分のミスで許した失点を取り返したかったのだろう。強固な守備を見せる中澤佑二に競り勝って決めたのは大きい。

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横浜FMの粘りもここまでかと思いかけた流れを再び戻したのは、交代出場した遠藤だった。中央から斜めに動いて左サイドに流れ、トラップからの切り返しで山本脩斗をかわしてシュート。ボールはカバーしようとした昌子源に当たってゴールに吸い込まれた。

マルティノスのケガで嫌なムードを変えた遠藤。この日はゴール以外にも積極的な守備でチームに貢献が目立った。

電光掲示板には「オウンゴール」の文字が。遠藤の得点でいいのではないかと思った。シュートコースがゴール枠から外れていたわけでなく、昌子も雨中のコンディションで頑張ってカバーしたが届かなかった。遠藤のゴールとすれば、みんなパッピーなのではないかと思う。その後、遠藤の得点に訂正されてひと安心。

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優勝のために負けられない鹿島は、終了間際にGK曽ヶ端準も攻撃参加をしたが、何とか横浜FMが3-2で逃げ切る。これで優勝争いもACL圏内争いも残留争いもますます混沌としてきた。

それにしても各会場で雨の中、たくさんのファン・サポーターが観戦してくれて本当にありがたい。その想いに応えてくれたのだろう。今日、足を運んだ2試合はともに気持ちの伝わってくる試合だった。

明治安田生命J1、J2リーグは残り4試合。本当に最後まで目が離せない。やっぱりJリーグは面白い!と心から思った。

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観戦に来られていた元日本サッカー協会会長の小倉純二さんと一緒に帰ることに。菊名駅から新宿経由で阿佐ヶ谷まで。久しぶりで会話も弾んだ。小倉さんが何よりも元気でした。

小倉さんと別れた後、ふと大切なことに気がついた。試合のレポートに全く手を付けていない。いつも帰りの電車でやっていたのだが、さすがに今日は難しかった。明朝に書くしかない。忘れないようにしなければと思っていたが、そういった気持ちも忘れ去ってしまうくらい清々しい一日だった。

文=原 博実

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