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【原博実の超現場日記/第17回】見応えと勝利への気持ちが詰まったACL準決勝

朝イチの仕事は「インテグリティセミナー」への参加。百年構想クラブ含めたJリーグに関わるすべてのクラブが参加して、コンプライアンスを学んだ。サッカーの未来を守るためにも我々が率先して学ばなければならないことを実感した。

セミナーを終えると、電車で一路川崎フロンターレの麻生グラウンドへ。小田急線の新百合ヶ丘駅を降りると、大きな商業ビルが立ち並び以前の風景とはかなり違った。そして練習場に到着。ここに来るのも久しぶりだ。この辺はまだまだ緑も多くて、なんだかホッとした。

ここにはTAG Heuerの取材で来ている。今日のインタビュー相手は板倉滉選手と中村憲剛選手。板倉はクラブ生え抜きで、憲剛が入ったばかりの時は小学3年生だったとか。麻生グラウンドで憲剛と写真を撮ったことがあるという。

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インタビューを始めると、憲剛はやはり頭がいいなと思う。発するコメントの一つひとつが核心を突いている。まるで彼のパスと同じで、問いかけに対する反応が驚くほど早い。何よりも気持ちが若い。

うれしい気持ちでインタビューを終え、AFCチャンピオンズリーグ準決勝第2戦の浦和レッズ対上海上港を視察するため、埼玉スタジアム2002へ。キックオフまで3時間以上あるにもかかわらずファン・サポーターが数多く駆けつけている。

時間に余裕があったので浦和美園駅から歩いて南広場に出ると、日本代表でもお世話になっている西芳照シェフのお店が大繁盛していた。西さんはいないだろうと思ってのぞいてみたら、何と本人がいた。実は西さんは浦和レッズのACLアウェイでの食事も担当しているそうだ。ザックジャパンのイタリア人スタッフも西さんの作るパスタは大好きだった。

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いよいよキックオフが近づく。レッズサポーターもいつも以上に気合が入っている。上海での第1戦は1-1。しかし、狙って引き分けられる相手ではない。ましてや、浦和はそういう戦いが得意ではない。得点を取りにいかなければいけないが、失点はしたくない。今日は本当に難しい戦いになるだろう。

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そんな中で開始11分に柏木陽介のCKからラファエル シルバのヘディングで浦和が先制する。

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先日の日本代表戦で2試合出場し、先週末のリーグ戦を休んだ槙野智章がエースストライカーのフッキをマークする。槙野だけでなく、他のプレーヤーもフッキに対する寄せがアウェイゲームよりも50センチは近い。しかし、飛ばしたレッズは35分過ぎからボールを失う場面が多くなる。危ない場面も何度かあったものの前半を1-0で終える。

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後半、立ち上がりから上海上港が攻めてくるが、浦和の集中力は途切れない。フッキには槙野だけでなく、複数で寄せにいく。浦和はCKから槙野のヘディングがポストに嫌われる。阿部勇樹のクロスから興梠慎三のヘディングもGKに防がれてしまう。

ディフェンスでは遠藤航も阿部もマウリシオも本当に体を張っている。青木拓矢、長澤和輝、柏木も運動量、球際の戦いにも気持ちがこもっている。武藤雄樹、興梠、ラファエル シルバは攻撃はもちろん前線からの守備でも頑張った。交代出場のズラタン、梅崎司、李忠成も効果的で堀孝史監督の采配も歯切れがいい。

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待ちに待ったホイッスルがスタジアムに鳴り響く。詰めかけた44,357人も大歓声で祝福。よし、ACL決勝だ! 決勝の相手はサウジアラビアのアル・ヒラル。ここまで来たら優勝しかない。最後の最後まで見応えがあり、気持ちの伝わる試合だった。頼むぞ、浦和レッズ!

文=原 博実

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