出張先の名古屋でチェックアウトしたホテル近くに映画館を見つけた。18時キックオフの横浜FCvsアビスパ福岡まで結構時間がある。たぶん横浜はどこも混んでいるだろうと思いつつ、映画館をのぞいて見る。時間帯はちょうどいい。
映画「あさひなぐ」
映画の題材である「薙刀(なぎなた)」は昨年の国体で見た。凛々しくて、本当に格好がいい。久しぶりに青春ドラマでも見てみるかと決意。乃木坂46のメンバーが出ているからか、会場は若い人達ばかりだ。
最初はあまり期待していなかったが、結構感動する内容。映画館で見るのは久しぶりだったが、やっぱりいい。どこか得した気分になった。
映画を見終えて、一路名古屋から新横浜へ。地下鉄に乗り換え三ツ沢上町で下車し、歩くこと十数分、目的の三ツ沢運動公園に着いた。テニスコートがたくさんあり、ランニングしている人も多い。サッカー帰りのチームもいる。そこで薙刀を持って移動している高校生に遭遇。何だか今日は薙刀づいている日だ。
スタジアムはいつもより観客が多い気がする。6位の横浜FCと2位の福岡のJ2上位対決。両チームの関係者も力入っているように見えた。特に横浜FCに気合がみなぎっている。勝てば福岡との勝ち点差を4に縮められるからだろう。
横浜FCで効いているのは、やはり夏に加入したレアンドロ・ドミンゲス。そしてエースのイバ。DFカルフィン・ヨン・ア・ピンも安定している。韓国人のジョン・チュングンも日本のサッカーに慣れてきた。選手たちはボールを奪うとすぐにレアンドロを見ている。そして彼からチャンスが生まれる。

福岡は前節、エースのウェリントンが出場停止明けのレノファ山口FC戦で途中出場ながら復帰。その期間を守っていた小柄の仲川輝人がセンターフォワードに入る。大型のウェリントンとは全く異なるタイプのFWが前からプレスを仕掛ける。
まずしっかりとした守備から入る福岡。横浜FCのキーマン、レアンドロをウォン・ドゥジェが中盤の底に上がりマンツーマン気味に対応。そこからカウンターを狙う。
先制点は25分、横浜FCが奪う。

レアンドロのCKからジョンが決める。盛り上がる三ツ沢。しかし、直後に信じられないアクシデントが。35分、イバとヨン・ア・ピンという攻守の要が同時に負傷し、交代を強いられてしまう。DF楠元秀真とベテラン大久保哲哉がピッチへイン。横浜FCは突然の交代劇で落ち着かないまま前半終了することになる。
ハーフタイム、少しお腹が空いてきたので売店へ。ソーセージと横濱ドーナツを頬張る。結構いける味だ。

福岡は後半開始と同時にジウシーニョに代わってエースのウェリントンがピッチへ。さらに53分、松田力に交代して石津大介を投入。56分、その石津がFKを決める。

この得点で流れは一気に福岡へ傾く。得点で波に乗った石津、仲川にウェリントンの高さ、強さも加わる。
横浜FCも必死に得点を狙いにいく。
これは横浜FCのチャンスからPKかというシーンだったが、そこから福岡がカウンター攻撃。最後は石津からウェリントン。交代出場した2人が大活躍。目が離せない展開になっていく。

最後の力を振り絞って攻める横浜FCだったが、80分にカウンターを食らい、フリーになった仲川を田所諒が引っ掛けてPKを与えてしまう。そのPKをウェリントンが決めて1-3となり、そのままタイムアップ。福岡にとっては自動昇格圏の2位をキープする大きな勝利となった。井原正巳監督の采配も素晴らしかった。

J1昇格に向けた大一番に福岡のサポーターも三ツ沢にたくさん駆けつけてくれたこともあり、8017人のお客さんが入った。正直もっと入ってもよかったくらいの好試合だった。

J2残り6節。湘南ベルマーレが頭ひとつ抜け出したが、まだまだ昇格争いは最後まで目が離せない。横浜FCはここが踏ん張りどころだ。だからこそイバとヨン・ア・ピンの状態が気になる。
ふと気がついたら、ニッパツ三ツ沢競技場のバックスタンド裏にあった古河電工の社宅がなくなっていた。三ツ沢は本当に見やすい。ここがもう少し環境が整えられるといいのだが。それにしても見どころ多い試合だった。

文=原 博実




