サウジアラビアとの最終予選を視察のためにジェッダ国際空港に到着。暑い。機内のアナウンスでは34度と言っていたが、それよりも暑く感じる。
入国手続きに時間がかかると聞いていたが、思いのほかスムーズに入国。そのまま試合が行われるキング・アブドゥラ―・スポーツ・シティへ。
まだキックオフまで2時間半以上もあるのに、すでに多くのサポーターが。そして日本人サポーターが早くもスタジアム入り。いつも本当にありがとうございます。

ここは素晴らしいスタジアム。でも、やっぱり暑い。日が暮れて20時半のキックオフが近づいても、一向に涼しくなってこない。
サウジアラビアとロシア行きの切符を争うオーストラリアは、時差の関係で同時刻キックオフにできず、一足早くタイに2-1で勝利。アジアは広い。
オーストラリアが大量得点で勝っていたらサウジアラビアにとっては厳しい状況になっていたが、この結果、サウジアラビアは日本に勝ちさえすればロシアワールドカップ出場が決定する。
日本代表のメンバー、GKとDFラインはオーストラリア戦と同じ。GK川島永嗣、最終ラインは右から酒井宏樹、吉田麻也、昌子源、長友佑都。長谷部誠に代わるアンカーのポジションには山口蛍、インサイドハーフの左に井手口陽介、右に柴崎岳。前線は右から本田圭佑、岡崎慎司、原口元気が並ぶ。
サウジアラビアが4-2-3-1を採用してきたことで、お互いのシステムがハマる。
日本は暑さのせいなのか、それともオーストラリア戦でワールドカップ出場を決めていたからなのか、少しずつボールへの寄せが甘く、バックパスのミスからピンチを招く。
気温が30度以上あるため、前半は27分に給水タイムが設けられた。だが、日本は給水タイム後もあまりリズムが良くならない。スタンドから見ているだけでかなり暑いことを考えたら、プレーしている選手は、それ以上に暑いはず。

これだけの暑さの中では、チャンスを逃さずに相手の背後をついていくこと、そして自分たちでボールを保持しながらリズムを作ることの両方が必要。この暑さの中で簡単にボールを失ってしまうと、スタミナもかなりロスしてしまう。
0-0のままで前半が終了。王族の名前がついているだけあってか、このスタジアムはラウンジも豪華。

後半開始からお互いに一人ずつ交代。日本は本田に交わって浅野拓磨。サウジアラビアは10番が交代して19番が送り込まれた。
後半、井手口から長友佑都へつなぎ、長友の低いクロスを原口が狙ったが、このビッグチャンスは決められず。
すると62分、サウジアラビアに細かくパスをつながれて左サイドを破られ、最後は後半から出場した19番に決められてしまう。
その後、杉本健勇、久保裕也など攻撃的な選手を投入するも得点奪えず。終盤、中東の時間稼ぎはいつものこと。結局、0-1で敗れてしまった。
これだけの暑さ、アウェイの雰囲気、そして移動距離……。いろいろな難しさはあるのだろう。けれどこれから世界の強豪になっていくためには、今日のような環境、状況でも悪くても引き分けられるようなチームにならないと。ドイツ、スペイン、ブラジル、アルゼンチンなら、きっと戦いながら最後は勝利しているはず。
埼玉スタジアムのオーストラリア戦で本大会出場を決定していなかったらと思うと怖い。何人かの選手は連戦でかなり消耗しているように見えたし、もう何人かはスタメンを入れ替えても良かったかもしれない。
グループAでは韓国がウズベキスタンにアウェイで引き分けて、ようやくW杯出場が決定。そしてシリアがイランに対して終了間際の劇的なゴールで引き分けに持ち込み、ウズベキスタンと入れ替わる形で3位に滑り込んだ。この結果、韓国に勝てばW杯出場が決定するはずだったウズベキスタンが4位に。W杯予選は本当に最後まで何が起きるか分からない。
これからのポイントは、来年の本大会に向けて、どれだけ高いレベルの競争ができるか。悔しいけれど、今日のサウジアラビア戦に負けたおかげで、成長できたと言える日が来るようにしたい。
まずはそれぞれが週末から再開するリーグ戦で代表選手としてふさわしいプレーをすること。日常のレベルを上げていくこと以外に近道はない。ロシアW杯を目指して激しいポジション争いを期待したい。

スタジアムの雰囲気は最高でした。ただし、試合終了後もまだ32度くらい。サウジアラビアはまだまだ暑いです……と書いていたら、すごい睡魔が襲って来た。
眠い〜。飛行機でゆっくり寝ます。
文=原 博実


