「僕には僕のストーリーがある」ディバラ、メッシとの比較論にも我が道を行く

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ユヴェントスのパウロ・ディバラは、ここまでですでに10得点をマークしており、ポスト・メッシとも言われるほどのクオリティとハードワークを持ち合わせている。

2015年夏、パウロ・ディバラはユヴェントスに加入したが、チームに合流してから間もなくして彼はそそくさと古巣の本拠地、パレルモに戻ってしまった。どうやらシチリア島にいる友達が恋しくなったようだ。しかしこのときの帰省は今となっては大変貴重な出来事だ。ディバラはそれを“妙な経験”と例えてこう話す。

「ある日ビーチに行ったんだけど、僕が海からそろそろあがろうかというときに、岸にいた人たちみんなが僕のことを待っていたんだよ」

ディバラによると、集まった人だかりは彼の移籍を祝福するためのもので、決して4,000万ユーロ(約53億円)を超える移籍金でユヴェントスへ行った彼への抗議ではなかったという。まるで物語の中のような光景であるが、ディバラは人々に愛され独特な影響を与えていることの証である。

そう、同様にセリエA第4節のサッスオーロ戦で起こったことも予想だにしない出来事だ。この日、ディバラは早くも今シーズン2度目となるハットトリックを達成し、ユヴェントスの勝利に貢献した。またそれだけではなく、彼の素晴らしいプレーはアウェーサポーターをも圧巻し、試合終了5分前に途中交代でピッチを後にする際は、スタジアムに詰めかけた20,000人のサッスオーロ・サポーターがひとつになって彼に拍手を送っていたのである。サッスオーロのサポーターたちは、敵ながら自分たちが見たものが特別なもの、そして特別な人物であったことに気がついたのだろう。

Paulo Dybala Palermo PS

ディバラはこの試合、ゴールから25ヤード離れた位置からループ気味のシュートで自身通算50ゴール目となる先制点を決め、49分にも追加点を奪い観衆を沸かせた。その直後、サッスオーロに1点を返されたが、62分にはフリーキックからのゴールを当然のように沈め、見事にハットトリックを達成したのだ。彼はフリーキックのスペシャリストであるミラレム・ピアニッチと今シーズンどちらが多くの直接フリーキックを決めることができるか賭けをしているそうだが、それに関してはディバラがすでにリードを奪っている。

そしてさらに重要なことは、ディバラはこのフリーキックによって今シーズンのセリエA開幕からわずか4試合ですでに8ゴール目をマークしたことであり、2005年以降最もハイペースで得点を量産しているケースであることだ。Paulo Dybala Lionel Messi stats PS

カンプ・ノウで行われたチャンピオンズリーグのバルセロナ戦では0-3と敗れたが、批評家たちの間で彼はメッシの比較対象となっていった。しかしディバラはその話題が上がるたびに、「メッシには彼のストーリーがあり、僕には僕のストーリーがある。僕たちは違う選手なんだ」と強調してきた。

だが、ディバラとメッシの間には破壊力のある左足、低い重心、俊敏性といった明らかな類似点があるのも確かであり、今のディバラの活躍ぶりを見ても比較されてしまうのは無理もない。しかし過去にユヴェントスを指揮したファビオ・カペッロが指摘するように、メッシは史上類を見ないほどのレベルの選手であり、しかもそのレベルを10年以上に渡ってキープしている選手なのだ。となると両者の比較はアンフェアである。カペッロは『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューでこう話す。

「メッシは18歳の時にすでにバルセロナでかなりのレベルのプレーを見せていて、ただ者ではないことを知らしめていたんだ」

また元イタリア代表のアントニオ・カッサーノもディバラとメッシが比較されることに疑問を呈す。

「僕にとってメッシは史上最高のサッカー選手なんだ。クリスティアーノ・ロナウドは多少近いかもしれないけど、誰もメッシと比較することはできないよ。もちろんディバラも優れた選手だけど、メッシと比べるほどではないと思うね」

Cassano Dybala Messi PS

確かに彼らの言っていることは否定はできない。しかし忘れてはいけないのは、ディバラはまだ発展途上の選手であり、これからも伸びしろがあるということだ。ユヴェントスのキャプテン、ジャンルイジ・ブッフォンは、若きチームメートがバルサ戦で2ゴールを決めた後、こう話していた。

「この2年でディバラは飛躍的な成長を遂げたんだ。僕はサッカー界のお偉いさんや友達に、彼は世界でも5本の指に入る選手であり、いずれはトップ3にも入れるだろうと話しているよ」

今シーズン、ディバラはここまで6試合に出場して10ゴールを挙げている。昨シーズンのACミランとのイタリア・スーパーカップで彼は決定的なミスを冒したが、それを今では前向きに捉えようと努力していることが功を奏したのだろう。このミス以降、彼は30回以上は見たという映画「グラディエーター」をマネた“マスクパフォーマンス”をするようになったが、そこには“人生は失敗から立ち上がり、戦い続けなければならない”という映画から得た教訓があるようだ。

それにディバラは自身が自分はまだ完璧ではないことを理解しており、今後どのくらい成長できる余地があるのかも理解している。現在彼は、利き足の左足だけではなく右足も器用に使えるように、ハードなトレーニングをしているのだ。ディバラは『ヴェネルディ』紙の取材に対してこう語る。

Paulo Dybala right foot PS

「僕は毎日ペンを握り、書く練習をしているんだ。右足でね。足の親指と小指でペンを挟むんだよ。まるで気が狂っているように見えると思うけど、これで感受性と能力をより身につけられるように取り組んでいるんだ。もちろんボールキープの仕方も学んでいるけどね。ただ、パレルモ時代の監督だったガットゥーゾに『君の脚の爆発力は十分だから、あまりウェイトトレーニングをしすぎないように』と忠告されたから、気を付けながらだけどね」

そして彼は足だけではなく「目」のトレーニングも欠かさない。

「相手の動きを予測したり、軌道を読むことができるようになるために目のトレーニングもしているんだ。より遠くを様々な角度から見ることで目を鍛えるんだ」

さらには自ら他の選手を挙げてこう付け加えた。

「クリスティアーノ・ロナウドは何百ものゴールを決めているけど、それは彼が右足だけではなく、左足でも強いシュートが打てるからだ。片足だけしか使えないのでは相手にとってはマークしやすいし、読みやすくもあるよね。イタリアではディフェンダーのレベルがとても高いから自分のレベルを上げるためにはぴったりの環境だよ」

ハットトリックを達成した1週間後、ディバラはトリノ・ダービーという重要な舞台で、先制点と止めとなる4点目を挙げて大勝に貢献した。ディバラは常に学習している。彼はメッシではないが、次代を担う選手であることは確かなのだ。すでに相手サポーターや古巣サポーターからも認められているところを見ると、それは明らかだろう。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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