日本サッカーの未来を担うU-23世代を輝かせるべくスタートした『タグ・ホイヤー ヤングガン アワード』。Goalでは彼らの奮闘に注目し、U-23世代の活躍をピックアップしてお届け。明治安田生命J1リーグ第26節、明治安田生命J2リーグ第33節、明治安田生命J3リーグ第23節からは、5名のヤングガンを紹介する。

ほとんどの人が「決まった!」と思ったことだろう。だが、そこで鋭い読みで的確なポジションを取っていた岩波拓也が足を伸ばしてチームの窮地を救った。9分、北海道コンサドーレ札幌が右サイドからダイレクトプレーでゴール前へ攻め込み、ペナルティエリア内でヘイスがシュート。これが韓国代表GKキム・スンギュの脇を破り、ゴール方向に転がる。しかし、そこへ猛ダッシュでカバーに入っていた岩波が左足で大きくクリアしたのだ。ヴィッセル神戸は開始早々に田中順也のゴールで先制していたが、ここで同点弾を許していたら試合の流れが札幌に傾いていたかもしれない。この若きセンターバックの好守に引っ張られるような形で、22分には最終ラインでコンビを組む渡部博文がセットプレーから追加点を挙げると、後半からジェイを投入した札幌の反撃をはね除け、終盤には岩波、渡部、伊野波雅彦を3バックに置く堅固なシステムで守り切った。
ジュニアユースからヴィッセル神戸のアカデミーに所属し、U-15から各年代で日本代表の主力として名を連ねてきた。2011年にメキシコで行われたFIFA U-17ワールドカップでは植田直通との大型センターバックコンビでベスト8進出に貢献し、オランダの名門PSVアイントホーフェンの練習に参加したこともあった。当時から日本代表を目標に掲げており、2015年には代表候補の国内合宿にも参加。昨年はリオデジャネイロ・オリンピックにも出場したが、日本代表には定着できておらず、植田に加えて三浦弦太など同年代のライバルも伸びてきている。日本を代表するセンターバックになるために、神戸でさらに経験と実績を積み上げていきたいところだ。
明治安田 #J1 第26節#DAZN週間ベスト5セーブ!
— DAZN ダ・ゾーン (@DAZN_JPN) September 19, 2017
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前半終了間際、首位の鹿島アントラーズからセンセーショナルな追加点をマークしたのは、22歳のブラジル人アタッカーだった。後方から駆け上がった磯村亮太がペナルティエリアの左に進入してグラウンダーのクロスを送ると、タイミング良く動き出したホニがファーサイドで右足を合わせ、ゴールに流し込んだ。得意のバク転パフォーマンスで今シーズン4ゴール目を祝ったものの、チームは後半に4失点。残念ながらリーグ戦14試合ぶりの勝利につなげることはできなかった。
ブラジルの名門クルゼイロからやってきた若きプレーヤーだが、コンスタントに出場しながら、まだまだ才能を開花させているとは言いがたい。チームを奇跡的な逆転残留に導くためにも、さらなるゴール量産が期待される。

ガンバ大阪U-23とのホームゲーム。前節でハットトリックを達成したネイツ・ペチュニクに注目が集まる中、チームに勝利をもたらす2ゴールをマークしたのはDF登録の二十歳だった。80分に右サイドに投入されると、左から西谷和希が上げたクロスをファーサイドから叩き付けて試合の均衡を破る。そして後半アディショナルタイムにはネイツ・ペチュニクを起点に再び西谷が放ったクロスに滑り込みながら右足で合わせた。
ジュニアから地元・大宮アルディージャのアカデミーでプレーし、今シーズンのトップ昇格と同時に育成型期限付き移籍で群馬へ。だが、そこで思うような活躍ができず8月にJ3の栃木SCへ移籍することになった。ここで登録ポジションがFWからDFに変更されたが、この活躍を契機に持ち前の攻撃センスを発揮していけば、さらなる転機が開ける可能性は十分。今後の飛躍に注目だ。

安間貴義監督が就任して最初の公式戦。スタメンに起用された20歳が期待に応えて右サイドで攻守にわたる奮闘を見せ、新体制の好スタートを支えた。彼自身はこれで3試合連続スタメン。抜擢した篠田善之前監督は退任することになったが、指揮官が代わっても起用され続けた意味は大きい。本職はサイドバックで、センターバックもこなせる高さと強さを備える。現在の3-4-2-1システムでは左サイドの太田宏介が攻撃的なポジションに位置する一方、右サイドの柳がバランスを取りながら機を見て仕掛けるプレーが効果を生んでいる。
負傷欠場中の室屋成が復帰してくれば、当然ながら定位置競争は激しくなるが、日本では希有な大型サイドバックとして期待される柳も負けてはいられない。大きな可能性を持つ彼の成長が、チームに高次元の争いとレベルアップをもたらす。

ザスパクサツ群馬にホームで3-0と快勝した松本山雅FCが明治安田生命J2リーグで4位に浮上。2位まで勝ち点4差に迫り、自動昇格圏を明確に視界に捉えた。その躍進を左サイドから力強く支えてきたのが下川陽太だ。国見高から大阪商業大に進学した俊足DFは、早々に才能を見いだされて今年2月に来シーズンの新加入が内定。JFA・Jリーグ特別指定選手としてチームに登録され、8月のJ2第27節名古屋グランパス戦でリーグ戦デビューを果たした。
このゲームは2-5で敗れて苦い経験を味わったものの、試合を追うごとに攻守の運動量を発揮してチームを軌道に乗せた。クロスの判断や精度には課題を残すが、攻守にわたるハードワーク、全力プレーというクラブの原点をチームに思い出させた効果は計り知れない。関西学生リーグ2部Aの後期のスタートに伴い、今回の群馬戦を区切りに再び大学に戻ってプレーすることになる。J1昇格をチームメートに託し、将来有望なサイドバックが大学でさらなる研鑽を積む。
【今週のヤングガン プロフィール】
岩波拓也(ヴィッセル神戸)
ホニ(アルビレックス新潟)
川田拳登(栃木SC)
柳貴博(FC東京)
下川陽太(松本山雅FC)
【TAG Heuer YOUNG GUNS AWARD】
Jリーグの次世代を担う若い選手層の育成・Jリーグの発展を目的に、各メディア・著名人など、本企画に賛同するアワード サポーターが、J1、J2、J3のクラブに登録されているU-23選手の中から候補者30名を選出。その後、一般投票を含む最終選考にて11名を選抜、2017年12月に表彰する。
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