注目すべきは、ここ数週間、バルセロナが、フリアン・アルバレス、ヴィクター・オシムヘン、セール・ギラシ、エッタ・エヨンといった複数のストライカーと関連づけられていることだ。だが、万人共通の見解として、バルサの移籍候補リストの最上位に位置しているのはケインである。
表面的には、来シーズンの開幕前に33歳を迎えるケインの獲得が検討されているのは意外に思える。しかし、彼に衰えを示す兆候は全く見られない。ケインは常に、クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシという伝説の2人のように30代後半までプレーしたいと語ってきた。イングランド代表のレジェンド、ウェイン・ルーニーはケインの得点への執着はかのポルトガル代表選手のようだと言ったこともある。しかし、C・ロナウドが年齢を重ねるにつれて技術を微調整していったのに対し、ケインのプレーは進化していっていると言ってよい。
「ハリーはこの1、2年、我がチームで、文句のつけようのない最高のプレーを生みだしてきた」と、バイエルンの名誉会長ウリ・ヘーネスは認めた。
「私が最も評価するのは、彼が当初はペナルティエリア内でボールを待つタイプのストライカーだったことだ。しかし、今では、得点を決める選手であると同時に、司令塔にもなっている。何より彼はピッチ上で他の選手を鼓舞し、方向性を示すような個性の強い選手であり、それこそまさに我々が求めていたものなのだ」
バイエルンはレヴァンドフスキの後継者を求めていたのだが、それ以上のものを手に入れたのである。
「ロベルト・レヴァンドフスキは2020年にバイエルンでチャンピオンズリーグを制覇し、その後、世界最優秀選手に選ばれた。この2つは他の選手と比較できるものではない」と、マテウスは『スカイ』のコラムで書いた。
「ケインは、15年ほど前にマヌエル・ノイアーがGKの概念を一変させたのと同じように、センターフォワードの概念を一変させた。現在、世界中に彼以上のストライカーはいないと思う。それは彼の得点力だけでなく、その多才さと、プレーできるポジションの多さによるものだ。ケインはパス、ドリブル、タックルにも優れた能力を発揮する。ストライカーであり司令塔であり、ボックス・トゥ・ボックスの選手でもあるし、タックルの能力にも秀でている」
「ケインがドルトムント戦(10月18日)の88分に自陣ペナルティエリアで披露したようなスライディングを、アーリング・ハーランドやキリアン・エンバペがするのを見たことがない。ハーランドやエンバペが50メートル以上のロングパスを出すのも見たことがない。ケインが放つようなチップシュートをあの二人が決めるのも見たことがない。ケインは自由な精神でプレーできるからこそ、より優れた選手になったのだと思う」