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【予想スタメン】日本代表、きょう“因縁”のパラグアイ戦。得点力で鍵となる1トップは?

日本代表は10月10日にパナソニック スタジアム 吹田で国際親善試合のパラグアイ代表戦に臨む。来夏に迫った2026年ワールドカップ(W杯)に向けて、前回のアメリカ遠征と同じく力試しの場としつつ、テストの色が濃くなりそうな今シリーズ――この10月はコアメンバーに怪我人が多く、アピールが求められる選手の台頭を期待したいところだが、森保一監督が南米勢との1試合目にぶつけるスタメンの顔ぶれは?

【取材・文=河治良幸】

  • JPNvsPRY_1(C)Yuta Tamada

    ■急務の攻撃再構築

    今活動の1試合目でFIFAランキング37位のパラグアイと対戦する日本(同19位)。9月のアメリカ遠征では2試合連続無得点で1分け1敗に終わった。日本代表が同一シリーズで無得点に終わったのは2013年以来12年ぶり。攻撃の再構築は最優先課題である。

    「アタッキングサードでの形は作れているが、最後のシュートを打ち切れない」と認める森保監督も「決め切るところにこだわっていく」と強調。チームは月曜日に始動し、2日間はコンディション調整がメインだった。チーム全体で戦術的な確認ができたのは2日間だが、攻撃担当の名波浩コーチ主導で、得点にこだわるトレーニングを続けてきている。森保監督は「ここホームで勝利を目指して戦い、サポーターのみなさんに喜んでいただけるように全力を尽くしたい」と力を込める。

    南野拓実(モナコ)は「前回のシリーズは勝てなかったし、ホームでは勝ちにこだわりたい。メキシコ戦でも自分が打てるところで打たずに潰されたり、シュートが上に外れたりした。最後のフィニッシュの質というのは個人的にもこだわらないといけない」と率直に語った。さらに「チームとしても攻撃で終わってカウンターを受けないように、やり切ることが大事。そういう部分の質を上げていければいい」と主張する。

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    ■“絶好調”上田綺世はブラジル戦に回る?

    今回のメンバーではキャプテンの遠藤航(リヴァプール)をはじめ、板倉滉(アヤックス)、町田浩樹(ホッフェンハイム)、守田英正(スポルティングCP)、三笘薫(ブライトン)など、最終予選でチームの主力を担った選手が怪我でいない。また、足首に怪我を抱える久保建英(レアル・ソシエダ)、左足に張りがあるという前田大然(セルティック)は前日練習で別メニュー。パラグアイ戦では出場を回避するとみられる。前半は引き続き[3-4-2-1]のシステムでいくとして、スタメンを予想するのはこれまで以上に難解だ。

    ただ、得点の鍵を握るFWはエールディヴィジ開幕から8試合で8得点の上田綺世(フェイエノールト)をはじめ、小川航基(NECナイメヘン)、町野修斗(ボルシアMG)と信頼できる大型ストライカーが揃う。誰か1人が2試合続けてスタメンというのは考えにくいなかで、上田を来たるブラジル代表戦に回し、小川か、町野のいずれかがパラグアイ戦で先発チャンスを得るというのが筋道としては立てやすい。

    シャドーに関しては南野がスペシャリストだが、鎌田大地(クリスタル・パレス)は遠藤を欠くボランチも兼ねる可能性もあり、さらに予想を難しくしている。また最終予選ではウイングバックがメインポジションだった堂安律(フランクフルト)も世界仕様の戦いで、右シャドーの起用が増えるかもしれない。所属クラブでコンディションが上がってきている伊東純也(ヘンク)は両睨みだが、今回はシャドーを予想した。初招集の斉藤光毅(クイーンズパーク・レンジャーズ)は攻撃的な特長を考えると、左シャドーが適任だが、適性を見極める意味でいきなり左ウイングバックでテストされる可能性もありそうだ。

    そうした情報を整理したうえで、2シャドーは堂安と鎌田、左右のウイングバックは中村敬斗(スタッド・ランス)と望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)を予想した。中村はシャドーで起用される可能性もあるが、三笘がいないうえに前田の欠場も確定的とあって、改めて存在価値を示すチャンスだ。ただ、左ウイングバックに関しては相馬勇紀(町田)と斉藤も候補で、ここは森保監督の決断次第だろう。右の望月は世界を相手に戦うにあたり、攻守にパワーを与えるプラス要素になりうる。

    ボランチは遠藤に代わる追加招集も考えていたようだが、この期間に行われているルヴァン杯・準決勝との兼ね合いで見送った模様だ。”本職”が3人という陣容だが、世界最高峰のプレミアリーグで、心身に充実の田中碧(リーズ)を軸に、佐野海舟(マインツ)や藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)をどう使い分けていくか。守備強度が生命線となるブラジル戦に佐野を回し、パラグアイ戦は藤田をチョイスしたが、逆もありうる。鎌田も候補だが、パラグアイ戦は3人のなかで組み合わせをチョイスした。

    3バックが最も難しいが、9月シリーズで評価を高めた渡辺剛(フェイエノールト)、瀬古歩夢(ル・アーヴル)に加えて、1年ぶりに谷口彰悟(シント=トロイデン)が戻ってきたことは心強い。6月シリーズは”国内組”だった鈴木淳之介(コペンハーゲン)がどれだけ成長しているか。そこに安藤智哉(アビスパ福岡)と追加招集の橋岡大樹(スラヴィア・プラハ)が絡む構図だが、森保監督としても新しい組み合わせを試したいはずだ。

    3バックの中央でディフェンスをまとめる役割は渡辺か谷口が適任だが、パラグアイ戦とブラジル戦で分けると想定して、今回は谷口を選び、右に瀬古、左に鈴木淳というセットにした。瀬古は前回、メキシコ戦で左側を担ったが、同サイドを得意とする鈴木淳と安藤の存在を考えると、右に回るのではないか。もちろん、橋岡も右の候補だが、どう決断されるか見ものだ。GKは鈴木彩艶(パルマ)が一番手という構図こそ変わらないが、アメリカ遠征で出番なしの早川友基(鹿島アントラーズ)にチャンスが回ってくるとみる。

  • JPNvsPRY_3(C)Getty Images

    ■因縁の相手、パラグアイ

    パラグアイは南米予選で10失点と堅守を誇り、4大会ぶり9回目のW杯出場を決めている。アルゼンチン人のグスタボ・アルファロ監督は2022年9月にエクアドル代表を率いて”森保ジャパン”と対戦した。0-0に終わった試合後の会見で「W杯で対戦するドイツ、スペインは日本に気をつけるべきだ」と語り、本大会でその通りになったことを回顧する。「ヨーロッパのチームを見ているようだ」とリスペクトするが、本番を想定して勝ちにいくモードに入ってきているのは日本と変わらない。

    南米予選で世界王者アルゼンチンやブラジル、コロンビアといった強豪と渡り合ってきたパラグアイは[4-4-2]をベースにコンパクトなブロックを構築して守備からリズムを作るのが基本スタイルで、ロングボールも積極的に活用してくる。森保監督も「(ミゲル・)アルミロンは攻撃のキーマン。彼のチャンスメークには注意したい」と語り、プレミアリーグの経験が豊富な快足ウインガーを最大の脅威に挙げた。

    鈴木彩はセリエAで、クレモネーゼに所属するFWアントニオ・サナブリアと対戦経験がある。「彼(サナブリア)を含めて、パラグアイの特長はトップの選手に放り込んで、収めて起点を作ること。あとはどんな状況でもシュートを打ってくる印象があるので、そこの準備は常に心がけたい」と語る。さらに「体勢に関係なくオーバーヘッドでも打ってくるし、無理な体勢でも強引に枠に飛ばしてくる。そういう南米の特長への対応を意識している」と警戒した。

    ベスト16でPK戦の末に涙した南アフリカW杯など、パラグアイは歴史的に因縁のある相手でもあるが、これまで親善試合でも好勝負を繰り広げており、北中米W杯に出場する両チームにとって、メリットのある強化試合になることは間違いない。そのなかで、日本がパラグアイに勝利できれば、14日のブラジル戦に弾みをつけるだけでなく、チーム内の序列争いにも良い影響を与えるはずだ。

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