アジアカップ、ベストメンバーでどこまで行くか?本気の勝負はやはり【森岡隆三×岩政大樹対談/後編】

コメント()
©Goal
元日本代表センターバックでもあり、現解説者・指導者である森岡隆三氏と岩政大樹氏。森岡氏は2000年レバノン大会、岩政氏は2011年カタール大会に出場し、ともにアジア王者となった経験を持つ。後編は、期待する選手やアジアゆえの特徴、そして中長期的な代表について語ってもらった。【構成:Goal編集部】

●対談前編はこちら!森保ジャパンのアジアカップ。日本人監督、そして世代交代の次【森岡隆三×岩政大樹対談/前編】

■二人が期待する選手は…

――今回のアジアカップでの選手起用と布陣の予想をお聞かせください。

森岡:僕は4-2-3-1、4-4-1-1ですね。これまでのゲームを見れば一番スムーズですし、何より選手たちが一番納得していると思います。そういうメンバー選んでいますし。

――期待される選手は?

森岡:冨安(健洋/シント=トロイデン)を見たいんですね。冨安、吉田(麻也/サウサンプトン)のセンターバックも。ベルギーでは、大きい、速い、上手い、といったいろんなタイプ、人種の選手とマッチアップすることによってかなり経験値が上がったなと感じます。強さだけでなく、毎試合うまいなという奪い方もできている。駆け引き上手になってきています。

経験値の高い吉田とプレーをすることで、多くを学び吸収することで、さらなるレベルアップを期待できるでしょう。そこに三浦(弦太/ガンバ大阪)が加わる。彼はツネ(宮本恒靖G大阪監督)の元で、クロスへのポジション取りなども相当細やかになってきた。槙野(智章/浦和レッズ)も忘れてはならない。彼のプレーはもちろん、メンタリティはチームにとって欠かせないでしょう。本当に後ろのメンバー構成、バランスはとても良いと感じますね。

前線で言えば、堂安(律/フローニンゲン)ですね。ドリブルに入ったときの後ろ姿が見ていて頼もしいというか。スピードとテクニックはもちろんだけど、ピッチを一瞬支で配する雰囲気を持っている選手ってそうそういないので。フローニンゲンでのプレーぶりも非常に堂々たるものですしね。

堂安は、東京五輪世代ですね。五輪世代の選手たちの勢いは日本のサッカー界を後押しします。それはJのクラブや、過去の代表が確実に物語っていますからね。

2018-11-16-japan-doan-tomiyasu-venezuela

岩政:僕はケガをしていなければ守田(英正/川崎フロンターレ)だったんですよ。こうなるとやはり柴崎岳(ヘタフェ)に期待します。先ほども言ったようにボランチで誰が中心になってくるのか。他のポジションは吉田がいて長友(佑都/ガラタサライ)がいて酒井(宏樹/マルセイユ)がいて。最前線には大迫(勇也/ブレーメン)がいる。なんとなく形ができています。そこに調子の良い選手が今後入ってくるんろうなというのはあるんです。でも、ボランチはまだ見えにくい。

柴崎はロシア・ワールドカップで活躍しましたが、今クラブチームで苦しんでいる。遠藤(航/シント=トロイデン)も頑張っているけど、彼はどちらかというと使うタイプというよりも使われるタイプ。青山(敏弘/サンフレッチェ広島)も今後4年間ずっとケガなくというのは考えづらい。理想は柴崎がW杯のような活躍をして、「やっぱり森保ジャパンは柴崎だな、その相方はどうしようか」という流れになること。そこがグラついたら結構またイチからということになる可能性はあると思います。

■アジアならではの戦い方は確かにある

Harry Kane Harry Winks Heung Min Son Tottenham Barcelona 111218

▲トッテナムでプレーするソン・フンミン(中央)

――決勝トーナメントの戦い方、ライバルを教えてください。

岩政:今回、決勝トーナメントに3つも上がれるからよく分からないんですよね。1、2レーンも全部変わってしまいますから。

森岡:準決勝オーストラリア、決勝韓国。その二国に勝って優勝できたらいいなという勝手な考えがあります。

岩政:ちゃんと「直接勝つ」ということですよね。

森岡:韓国は今ソン・フンミン(トッテナム)がとんでもないから。もう世界的にも本物。

岩政:あそこまでの選手は今日本にいないですね。アジア史上最高くらいじゃないですか。

森岡:最高くらいだよね。堂々とスパーズでプレミアで通用している。

岩政:パク・チソン超えたんじゃないですか。

森岡:本当にそうだと思う。その韓国とやはりオーストラリア。オーストラリアは2007年大会から参加してそこでベスト8、2011年が準優勝、前回が優勝ですから。

――韓国、オーストラリア、あとイランが強いです。

岩政:その三つでしょうかね。あと個人的には日本がグループステージ第3節で当たるウズベキスタンも結構やるんじゃないかと思っています。特に若手が良い。

この試合を森保さんがどう考えるかも注目しています。つまり、グループステージが3試合あって、ある程度はベストメンバーで行くとは思うんですよ。でも3試合すべてベストメンバーでいくとは思えないから、どこかでガラッと代えるはずなんです。それを2戦目(オマーン戦)に持ってくるのか、あるいは2戦目までべストで行って3戦目のウズベキ戦で出ていない選手たちを出すか、どちらかだと思うんですよね。

今回グループ2位での勝ち上がりでも場所的に移動もよいので、別に負けていいとは言いませんが、ウズベキにわざわざ手の内を見せる必要はないかもしれない。決勝トーナメントのコンディションを考えると、1、2でベストメンバーでやって、3で休ませるのか。ただ、ウズベキに腕試しをしておきたいと思うかもしれない。初戦(トルクメニスタン戦)を当然勝つのが前提ですが、2戦目以降のメンバーにも注目しています。今回大会はさらに1試合増えて決勝までトータル7試合を戦うわけで、グループステージでは絶対にどこかでガラッと代えるはず。

今回はGS3位まで決勝トーナメントに行けますし、組み合わせもこれまでに比べてかなり良い。良いと言ってはなんですが、余裕がある。外から見ればやはり本当の勝負は決勝トーナメントに入ってからですね。

■アジアは情報がないのが厄介

――あとアジア全体で言えば、各国がレベルアップしているような気がします。

岩政:下手したら苦戦しそうなチームが増えてきたと思います。

森岡:例えばタイの選手はJリーグでバリバリ活躍している。そんなことは昔じゃありえませんでした。チャナティップはいまやJ1の札幌でレギューラです。これは日本人選手がヨーロッパに行っている理由と同じようなもので、個のレベルが上がったことと、タイ人選手の特性を日本のクラブがしっかり理解した上で雇える状況になってきたとも言えるかもしれません。サイドバックのティーラトンは神戸でやっていました。イニエスタと一緒にやった選手がいる。あなどれないです。

――アジアカップ特有の、といったことはありますか?

森岡:情報がないのが厄介なんですよ。映像で何回も見ていない相手ってやり辛いんです。それこそウルグアイのツートップの厄介具合と、ある意味全然違う種類だけど同じくらいに厄介だったりする。

岩政:確かに。ディフェンダーにとって、試合に入っての間合いや肌感覚みたいなものが分かるまでは結構不安なんですよ。いったんつかめばそんなに問題ないんですが。そういった時間帯はどうしても出てくるでしょうね。いくらスカウティング映像があったとしても、数シーン見てるだけでしょうから。

森岡:それこそカバーニの動きはしつこいほどみられる(笑)。情報のない選手はかけ引き以前に、読めないんですよね。

岩政:確かに、全く描けずに入るしかないですもんね。

森岡:中途半端に下手と言うとアレですが、コントロールミスが良いミスになってしまったりする。

岩政:分かります。あれ一番嫌ですから。え?! そこに? っていう(笑)。

森岡:ロングフィードで蹴ってくる選手のキックのモーションとは違うところにボールが飛んできたりする。

岩政:だから、ゴールキックにしても安定しない選手のほうが逆に嫌なんですよ。ボールの回転が毎回違ったり、もういろんな可能性を待っておかなきゃいけないから。

森岡:普通はゴールキック最初の1発目でだいたいどこに飛んでくるとかが分かるから、それによって最初の立ち位置や駆け引きの位置がわかる。でも、そういうことができないんですよ。アジアカップ特有というより、情報が少ないリーグでやっている選手が多いというのはあります。昔の日本がグングン伸びていったときも「あれ? こいつら思ったより厄介だなな」と思われている間にやられていたチームも多かったはずですよ。

岩政:よくスカウティングや分析の大切さが言われるんですが、逆に浅い情報だと間違えでしまう可能性も高いんです。「こいつ足元でもらうのうまいぞ」と言われていてその情報がインプットされていると、意外とそうじゃなかったりしたときに対応が遅れてしまうんです。逆に情報が足かせになることもあるんです。

森岡:やっぱり柔軟さがないと。賢さと柔軟さは絶対に求められますよね、どのポジションでも。

――今回の状況は、2010年W杯南ア大会でベスト16に進出し、大会後に新監督が就任して最初の大会という意味で、前回王者になった2011年カタール大会と似ていると言われています。私自身も2011年大会は印象に残る試合でした。岩政さんは出場されました。

岩政:不安定でしたからね。初戦からずっと不安定で(初戦ヨルダン戦1-1)、(第2戦シリア戦で)GKの川島が退場するとか、いろんな事件があったから印象的なんでしょうね。

森岡:決勝はオーストラリア相手に李忠成の美しいボレーで締めくくった。チームで創り出した本当に見事なゴールでしたね。

岩政:大会前にアルゼンチンで勝っていたり、好調な中現地に行っていたんです。でも大会前にケガ人が出てそれでちょっとチームがぐらついて、 その中でまさに本田や長友、岡崎、香川が出てきた。大会が始まっても松井(大輔)が負傷して、そこで岡崎がハマったり。その不安定さの中で彼らが突き進んでいって一気に中心になっていった大会だったんですよね。

今大会もそうなるだろうという気はしています。誰が引っ張って行くのかは中島翔哉と思っていましたが、今回離脱してしまった。ただ、優勝したとすればけん引する選手は必ず出て来ているはずです。そこは堂安といった選手が候補になってくるんでしょうけど。

森岡:優勝した大会って、本当に成長していっている実感はありますよね。個の成長はもちろん、チームでも粘り強くよじ登っていく感じがやっぱりある。

■今描いているのは当然アジアカップ

2019-01-06-moriyasu

――最後に。森保ジャパンの最終目標は2022年カタールW杯です。今年で言うと6月にコバアメリカがあります。アジアカップからコパアメリカ、この大会をどう強化に使っていくと思われますか?

森岡:森保さん始めスタッフ陣の仕事で言えば、期待されている選手が大枠でかなりいて、その彼らの状態を常に把握しておくということなんじゃないでしょうか。「4年後に向けてこのメンバーで行くぞ!」なんて誰も思っていないでしょうから。そこは大枠のレベルをどんどん上げていけるかどうか。そういう意味では、もっとJリーグのレベル上がってほしいと思っているでしょうし、海外に行っている選手は1試合でも多く試合に出てほしいと思っているでしょう。

 “自分たちの空気”が一度生まれたら、次に行ったときもイチからにはならない。共有されているものがあると思います。今いるメンバーが基本路線にいながら、その流れの中でコパアメリカなど大会、発表会を挟み、個とグループの評価、改善をし、そこに新たな刺激が入ってを繰り返していくうちにだんだん大きくなって、しかも色濃くなって臨むというのが4年後だと思います。

岩政:多分、外の人が思うほど、中の現場ではそんなに長いプランを考えていないと思います。その時その時、ベターになるものをどんどん対処していくという感じが多分強いので。

今描いているのは当然アジアカップで、どんな結果で大会を終えるかによって次が見えてくる。特に代表は集合の間に期間があくので、誰が調子を上げているかも分からないし、 それによってシステムがもしかしたら変わるかもしれない。考えていてもしょうがない部分もある。その場その場でしっかりと冷静に対処していくという感覚だと思いますね。

森岡: 協会としてはまた大枠のところでタッチしている選手がいる。そこは常にあると思いますよ。ケガ人が出ていちいち嘆いていたらどうしようもないですからね。それぐらいじゃないと代表の監督はやっていられないと思うし。

――ここまで森保ジャパンはうまくいっていますが、ファン目線では代表の長期的な強化が見えない、ハリルホジッチ監督が解任された総括がないといった意見も聞かれるので…。

森岡: 代表の長い流れとしての指針と森保さんの色がある。コーチ陣と話をしても、森保さんは許容範囲というか度量がでかいと感じます。もしかしたらそういうところも良い空気になっているのかもしれません。監督も含めてベンチの空気と選手の空気、ずっと健やかですから。勝った負けただけじゃないところの笑顔、充実した顔が多い。そこが一番、今の代表を象徴しているところであり、ここ数年なかった大事なものだと思います。そしていかにそれをずっと保っていくかだと思います。

岩政:やっぱりハリルさんの基準が良くも悪くも、日本人の感覚とちょっと違った。そのことで、日本の指導者と監督とで基準が合わない部分があったと思います。これまで日本が育ててきた選手、例えばボランチのタイプも全然違いますからね。ハリルさんはボールをどんどん狩るタイプを求めましたが、日本が育てた選手はそうじゃない選手のほうが多くて、どうリンクしていくの? といった部分もあった。その辺が今は単純に同じ価値観のもとで協会、育成も含めて進んでいるので。

もちろん、長期で見たらわからないですよ、「新しい観点が入ってこない」という言い方ができるかもしれないですしね。ただ、円滑にという面では進みやすい状況です。だから、この状況に胡坐をかくのではなく新しい情報をどんどん入れていく機会を別に設ければいいと思います。「これでいいんだ」と言ってしまうと、またそれは違うような気がしますから。

――確かにそうですね。まずはこのアジアカップを楽しみます。本日はありがとうございました。

▶サッカー観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【DAZN関連記事】
DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)に登録・視聴する方法とは?加入・契約の仕方をまとめてみた
DAZNの番組表は?サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは?
野球、F1、バスケも楽しみたい!DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ

Goal-live-scores

次の記事:
「1位が良い、2位が良いではなくしっかり勝つことだけ」酒井宏樹がグループ最終戦へ意気込み
次の記事:
ケガの状態に明言避ける大迫勇也…若手に奮起促す「気持ちは分かる。でもこんなチャンスはない」
次の記事:
長友佑都が徹するベテランの役割…本田ら例に上げて若手に助言「周りも見ないくらいチャレンジしていた」
次の記事:
トッテナムに激震!ケインが左足首靭帯損傷で6週間離脱…ソン・フンミンも離脱で得点源2人を欠くことに
次の記事:
前回王者オーストラリア、大苦戦も劇的勝利!2位で決勝Tへ…FIFAランク109位ヨルダンが首位通過/アジア杯
閉じる