Lay's類まれな才能を遺憾なくピッチ上で見せ、アーセナルやバルセロナ、フランス代表としてゴールやアシストを量産。そしてそのクールなパフォーマンスに今でも魅了され続けるファンは世界中にいるはずだ。現役引退後もそのオーラは人々を惹きつけ、指導者としてだけでなく、解説業でも彼の発言一つ一つは大きな注目を集めている。
そんなティエリ・アンリは、チャンピオンズリーグ（CL）のオフィシャルパートナーである「レイズ」のアンバサダーを務めており、今回スペイン女子代表アレクシア・プテジャスとともに「ノー・レイズ、ノー・ゲーム」キャンペーンをスタート。今回はそのキャンペーンの中で、『GOAL』の独占インタビューに応じてくれた。
.jpg?auto=webp&format=pjpg&width=3840&quality=60)
Getty Images2009年にバルセロナでビッグイヤーを掲げているアンリ。そしてあのマンチェスター・ユナイテッドを2-0で破ったローマでの決勝戦は、当時10代だったリオネル・メッシがゴールを奪い、将来的に“GOAT（史上最高の選手）”として君臨することをはっきりと証明した一夜だった。
そしてあの時のメッシと同じように、今のバルセロナを牽引する10代のスーパースターがいる。仮にクラブが今季6度目の欧州制覇を達成できたとしたら、それはラミン・ヤマルというニュースターが“GOAT”としての名乗りを上げることになるだろう。
その境遇やポジションから度々比較されてきたメッシとヤマル。アンリは「比較は嫌だよ！ 時代や選手を比較するのは好きじゃないね」と断言。その上で、言葉を選びながら笑顔でこう語ってくれた。
「レオはレオだし、ラミン・ヤマルは……彼は“ラミン・ヤマル”になろうとしているわけじゃない。すでにラミン・ヤマルだよ」
Getty Images Sportバルセロナデビューから圧巻の活躍を見せ、今やスペイン代表にも欠かせなくなったヤマル。今季もすでに11ゴール17アシストと信じられないような成績を残しているが、まだ18歳にもなっていない。アンリも、この末恐ろしい17歳に心から感銘を受けている。
「ゴールやスキル、ステップの素晴らしさもそうだが、私が感銘を受けたのは彼の成熟度だよ。EURO2024のフランス戦、彼は2対1の場面でも果敢に仕掛けて、相手DFと1対1に持ち込んだ。そのまま突破することもできただろう。しかし、ボールを止めて後ろへパスを戻し、チームメイトに落ち着くように伝えていた。『この年齢で自分が何をすべきか、もう理解しているのか』と感心したよ。あの刹那に『ここでボールロストしちゃダメだ。相手はカウンターを狙っているし、一回落ち着かせよう』と判断できたのは素晴らしい」
「だからこそ、彼は特別だと思うんだ。すでにフットボールというものを理解しており、試合のリズムやテンポをコントロールする方法を知っている。若い頃はただボールを持ってプレーするだけになりがちだが、彼はすでに十分に理解している。信じられないよ」
Getty Images Sportそして話題は、アンリがかつて世界最高のストライカーになったクラブであるアーセナルへ。プレミアリーグでは無敗優勝を達成、アンリ自身4度の得点王やシーズンMVPに2度輝いたが、ビッグイヤーには最後まで手が届かなかった。2006年の決勝戦では、早い時間に10人になったことで、バルセロナを前に涙をのんでいる。
「それもまた、アーセナルの歴史の一部だよ」とアンリは語る。「結局（チャンピオンズリーグで）一度も優勝できなかったね。決勝まで行ったのに、ああなってしまった」としつつ、こう続ける。
「簡単じゃないよ。マンチェスター・シティだって、優勝するまで長い時間がかかった。ホームでもアウェイでも、全員が最高の状態で試合に臨まないといけないんだ。そして様々な要素だけじゃなく、運も必要だ。最近優勝したチームを見ると、残念ながら同じチームの名前が並んでいるね」
彼の意見を踏まえると、今季ケガに悩まされ続けるミケル・アルテタのチームは非常に厳しい戦いを強いられるだろう。懸命に戦い続ける中で、わずかな運でも結果に繋げなければならない。
Getty Images今季からフォーマットが変わったチャンピオンズリーグ。すでに2023年の王者マンチェスター・シティが敗退するなど、ビッグサプライズをもたらしている。では、アンリが思う優勝候補はどこなのだろうか？
フランスのレジェンドは「まだわからないよね」と率直な意見を口に。「（リーグフェーズ首位で突破した）リヴァプールだと言う人が多いだろう。成績も安定しているしね。でも、まだまだわからないのがチャンピオンズリーグだ！」と語る。
「浮き沈みの激しいチームもある。バルセロナは欧州大会は大成功だったが、国内リーグでは安定していないね。レアル・マドリーだって調子を落としている。それでも、リヴァプールやインテル、バイエルンなど、彼らは候補に入ってくるだろう。そして、最も安定しているのはリヴァプールだ。あらゆる大会でそうだね。もちろん、彼らの戦いは楽しみだよ」
Lay's最近では「レイズ」の顔として、ファンの家にサプライズで訪問したほか、サン・シーロでデイヴィッド・ベッカムと共演するなど、度々話題となっているアンリ。「（レイズ・クロールキャンペーンは）3回目だけど、いつだってファンの反応は最高なんだ」と楽しげに語る。
「1回目はファンの家に行って、2回目は試合会場。そして今回は、アレクシアと一緒にパブへ繰り出すんだ。彼女もバルセロナのレジェンドだよ。絶対にうまくいくさ」
「ファンの反応は面白いんだ。私たちが来るなんで夢にも思っていないし、気づいた瞬間には心から驚いてくれる。最初の時なんて、ある女性は号泣しちゃったんだよ。今回の“ノー・レイズ、ノー・ゲーム”は、もしパブにレイズがなかったら撤収することになる。でも、中には嘘をついたり、別の料理を作ってくれたり、あの手この手で引き留めるファンもいるんだ」
「そうした反応と、この素敵な時間を一緒に過ごせるのは、本当に最高だ。あのような愛情を直に感じられるのは貴重だし、嬉しいね。心から歓迎もしてくれるし、今のところブーイングを浴びたことはないね！」
Lay's「私が来ることを知っているという状況は、これまで一度もなかった。通常コマーシャルでは、たとえ嫌いだとしてもそれを隠して振る舞うもの。でも、最近パブに行った時は違ったんだ。中には150～200人ほどファンも見えたし、『うまくいけば喜んでくれるだろう。でも、もう引退しているから若いファンは知らないかも……』なんて考えたね。だから、今も世界の最前線で戦うアレクシアと一緒にやることにしたんだ。一番重要なのは、ファンとつながり、その瞬間を共有できるというアイデアだよ」