そして最後に、アモリム自らの振る舞いを。彼は試合に敗れると、パフォーマンスについて公の場で驚くほど率直に評価を下す。「我々は史上最悪のマンチェスター・ユナイテッドだ」と話す他、怒りに任せてモニターを叩き壊すなど、感情を表に出しすぎている。メディアの格好のネタだが、チームの士気にプラスにはならないだろう。
一方のグラスナーは昨年4月、2点リードからマンチェスター・シティに2-5で敗れた後、記者に対して「試合後ペップに言ったんだ。もしまた対戦するなら、このシステムで戦うのはやめろと。我々がそれを攻略するからな」と冗談めかして語っている。本心がどこにあるかはわからないが、公の場で余裕を持った態度を見せることは非常に重要だ。そしてその1カ月後、パレスはFAカップ決勝でシティを下した。
グラスナーの信念は誰もが見習うべきである。今季3度リヴァプールを撃破し、リーグでの敗戦数「2」は首位アーセナルに次ぐ記録だ。彼はこう話す。「上位チームを尊重することは重要だが、自チームを信じられなくなるほどすべきではないよ。常に『相手はアーセナルだ』『マンチェスター・シティだ』という意識では、決して勝てないんだ」と。
降格危機にひんしていたパレスの指揮官に就任したグラスナーは、就任から約2年間でチームに「俺達はもっとできる」という信念を植え付けた。そして、実際にそれを証明した。ウォートンは『The Athletic』に対し、「彼は毎週のようにトップクラスの監督たちと対峙している。トップチームを倒すための解決策を提示しなかった試合は一度もないね……どんな相手に対してもだ」と話している。つまり、試合ごとに細かくアプローチを研究しながら対策を練り上げてチームにやることを明確にしている。アモリムは、そんな彼の姿勢から何かを盗む必要があるだろう。