新型コロナウイルスに襲われた夏の移籍市場の終わり、『Goal』はヨーロッパの高額移籍選手についてランキングを明らかにした。2021年が明けたいま、そうした移籍の当事者たちの新しいクラブでの活躍ぶりを評価していくこととしよう。
(※順番は移籍金額順)
Getty/Goal新型コロナウイルスに襲われた夏の移籍市場の終わり、『Goal』はヨーロッパの高額移籍選手についてランキングを明らかにした。2021年が明けたいま、そうした移籍の当事者たちの新しいクラブでの活躍ぶりを評価していくこととしよう。
(※順番は移籍金額順)
Gettyウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズのオーナーは、オフシーズンにバルセロナの財政的な困難を利用してネルソン・セメドを獲得したとき、「ワールドクラスのクラブからワールドクラスの選手」が来たと喜んでいた。
マルチな才能を持つポルトガル代表の右サイドバックはウィングでもプレー可能で、すでにトップチームのレギュラーとしてモリニュー・スタジアムで活躍している。だが、ここまでは1アシストを記録しているのみ。チャンスメイクも9回だけで、ファンの期待に応えられているとは言いがたい。
シーズン半ばを過ぎ、セメドはトッテナムへ新天地を求めたマット・ドハーティの代わりを充分に務めているとは言えないだろう。
Gettyアストン・ヴィラがクラブの移籍金記録を更新して2部チャンピオンシップのクラブからオリー・ワトキンスを獲得したとき、眉をひそめない人はいなかった。だが、24歳のストライカーはこの契約が素晴らしいものであったことすでに証明している。
ワトキンスは全公式戦で8得点を記録し、とりわけプレミアリーグの王者リヴァプールを7-2という衝撃的なスコアで撃沈した試合で見事なハットトリックを決めた。今となっては、いつイングランド代表に選ばれてもおかしくないだろう。
Getty Imagesバルセロナは1月、フランシスコ・トリンコンと契約したと発表したが、この移籍が正式なものになったのは7月1日だった。
実をいうと、トリンコンの真の姿はまだカンプ・ノウでは見られていない。トリンコンは全公式戦で19試合に出場しているが、ゴールはなく、アシストも1しかない。
だが、まだ21歳のトリンコンには才能を証明するための時間が充分にある。一方で、トリンコンより3歳も若いペドリの方が強烈な印象を残していることも忘れてはならない。
Gettyチェルシーはハキム・ツィエク獲得のために迅速に行動し、2020年2月には移籍が正式に決まった。
その後、プレシーズンに負ったケガのためデビューが遅れたが、ツィエクは待つに値する選手であり、ブルーズとして出場した最初の2試合では2得点を挙げている。
ただし、ハムストリングスの問題で再び先発メンバーを外れており、早々に復帰してフランク・ランバード監督の肩の荷を下ろさせることはできそうにない。
Gettyレアル・マドリーとの噂が絶えなかったドニー・ファン・デ・ベークが、最終的な移籍先はオールド・トラッフォードに落ちついた。ロス・ブランコスが移籍市場にカネを使わないことを決めたのは、新型コロナウイルスの感染拡大によるところが大きい。
だが、ファン・デ・ベークは悲嘆に暮れているかもしれない。シーズンのここまでの時間の大半をベンチに座って過ごしているからだ。
実際、プレミアリーグのデビュー戦でクリスタル・パレス相手に1得点を挙げた以外、オーレ・グンナー・スールシャール監督に先発メンバーに選んでもらったことは2度しかない。
スールシャールはファン・デ・ベークを使う時は必ず来ると主張しているが、実際には中盤の序列としてはブルーノ・フェルナンデス、ポール・ポグバ、フレッジ、スコット・マクトミネイの後塵を拝しており、すでに代理人を介して不満が漏れ始めている。
Getty Imagesウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズはポルトガルの選手たちと契約して名を売っているかもしれないが、9月に10代のストライカー、ファビオ・シルバとクラブ史上最高額で契約したことは大きな衝撃として受け止められた。
というのも、シウバはモリニュー・スタジアムに来る前、ポルトのトップチームでは1得点しか挙げていなかった。現在ウルヴスでも1得点を記録しているが、これはPKによるものだ。
シウバはまだほんの原石で、驚きはほとんどないが、才能のきらめきは充分に発揮しており、攻撃陣を率いて素晴らしい仕事をすることができると思わせている。現在ウルヴスは、背番号9のラウール・ヒメネスが頭蓋骨骨折で復帰の予定が立たないため、それに代わる、より経験のある選手と契約しようとしている。
Gettyレアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督は、ボルシア・ドルトムントへのレンタル移籍で2シーズン素晴らしい活躍をしたアクラフ・ハキミのことを、自身のチームに居場所はないと思うと完全に言ったことはない。
はっきりわかっているのは、セリエAでの生活をスロースタートで始めた後、今やインテルで欠かせない戦力となっているということだ。
ハキミはすでに右サイドから4ゴール4アシストを積み上げており、サン・シーロで成長を続けている。
Getty Imagesウェスレイ・フォファナは、レスター・シティが記録的な金額でサンテティエンヌから移籍してきたとき、リーグ・アンでたった20試合しか出場していなかったが、その金額に見合う選手であることをあっという間に証明した。
ディフェンス陣に故障が相次いだこともあってスタメンに名を連ねると、今やブレンダン・ロジャーズ監督率いるチームのバックラインの中央で欠かせない選手となった。
ロジャーズ監督は「彼は若手としてはまったく並外れた選手。彼がいてくれて嬉しいかぎりだ」と評価している。
(C)Getty Images昨シーズン、マンチェスター・シティはディフェンス、特に左サイドの人材が足りないことが発覚し、ボーンマスからナタン・アケを加入させるという決断はまったく理にかなっていた。
これまでのところそう多くのミスを犯してはいないが、9月のレスター・シティ戦ではジェイミー・ヴァーディとの対戦は難しい日となった。
いずれにしても、シーズン開始時よりも立ち位置は難しくなっている。ベンフィカから加入したルベン・ディアスは輝きを放ち、ジョン・ストーンズは衝撃の復活を楽しんでおり、アイメリク・ラポルテももはや先発メンバーの座を保証されていない。
Gettyユルゲン・クロップ監督は3年前からディオゴ・ジョタがターゲットのリストに載っていることを公言していたが、彼ですらジョタがこんなに早くアンフィールドでインパクトを放つとは思っていなかったはずだ。
このポルトガル代表はすでに全公式戦で9ゴールを決めており、特にチャンピオンズリーグでのアタランタ戦では見事なハットトリックを達成した。ケガを負って年明けまで試合に出られなくならなければ、早々に二桁得点のチャンスまであったことだろう。
負傷する前のジョタの活躍は目覚ましく、絶対的な存在だと思われていたロベルト・フィルミーノの座を奪うのではないかとすら言われていた。
Getty Imagesバイエルンは長く移籍のターゲットになっていたリロイ・サネとの契約をとうとう締結した。元マンチェスター・シティのスターは夏に契約延長を拒否し、ペップ・グアルディオラ監督はこのウィングをチームに留めるための競りに負けたことを認めたのである。
サネはブンデスリーガのデビュー戦でゴールネットを揺らしたが、これまでのバイエルンでのプレーぶりは、マンチェスター・Cでの活躍ほどではない。輝かしい活躍をしたと思えば、フィジカル面の問題でイライラさせたり、パフォーマンスに波があったりするのだ。
それでもサネは17試合で6得点3アシストを記録し、真のスーパースターとなるポテンシャルがあることは間違いないが、バイエルンのカール=ハインツ・ルンメニゲCEOはサネに「ひとつ上のステップ」のプレーをする責任があると警告している。
Getty昨シーズン、マウロ・イカルディはパリ・サンジェルマンへレンタル移籍中に30試合で24ゴールを挙げ、フランスの巨人は当然のことながらイカルディをインテルから買い取ることにした。
だが、今季のイカルディは同じような活躍ができないでいる。
2020-21シーズンは、ここまで病気とケガのダブルパンチでたった5試合しか出場できず、2得点しかできていない。解任されたトーマス・トゥヘルの代わりにマウリシオ・ポチェッティーノが監督となり、このセンターフォワードの今後に何が待ち受けているかはまだわからない。
絶好調ならばイカルディは最高のストライカーの一人であるが、キャリア全体を見たとき、25歳の実力と性格は万人受けするものではない。
Gettyアーセナルは期限ぎりぎりにトーマス・パルティのアトレティコ・マドリーとの契約にあるリリース条項を呑んでこのMFをエミレーツ・スタジアムに迎え、大きな衝撃を巻き起こした。
ガーナ代表のパルティがプレミアリーグのペースやフィジカルに適応するのに時間はかからなかったが、重圧を背負ったミケル・アルテタ監督にとって不運なことに、パルティはこれまでのところケガのために9試合しか出場できていない。
しかしながら、これまで見てきたものをもとに考えれば、27歳のパルティが早々にピッチに戻ってくれば、トップ6にジャンプアップしたいというアーセナルの目論見を成就させる役に立つだろう。
Getty Imagesヴィクター・オシムヘンが11月に代表チームの試合で肩を負傷して以来ナポリの調子が下向きなのは偶然ではない。
ナイジェリア代表のオシムヘンはセリエAで素晴らしいスタートを切り、猛烈なペースと恐るべきテクニックでナポリの攻撃に幅を加えた。
オシムヘンは新年早々に復帰予定で、これまでナポリのためにたった8試合で挙げた2得点に、大量の得点を積み上げることが期待されている。
Getty夏、ティモ・ヴェルナーはリヴァプールに加入するだろうと思われていたが、レッズは新型コロナウイルスの感染拡大により経済危機で揺れに揺れ、ヨーロッパで最もエキサイティングなストライカーの一人をチェルシーに奪われることとなった。
しかしながら、フランク・ランパード監督は、ブルーズが獲得したこのドイツ代表ストライカーをどう起用したらよいか、必ずしもわかっていないようである。
ヴェルナーは左ウィングという不慣れな役割と戦術を与えられて苦労しており、自信喪失もやむなしといった様子だ。
24歳のヴェルナーは24試合出場で8得点にとどまっており、スタンフォード・ブリッジで事態を改善させる時間は充分にあるものの、それができるかどうかはシーズン後半に適切な役割を与えられるかどうかにかかっている。
Gettyベン・チルウェルはスタンフォード・ブリッジでアシュリー・コールのような活躍をしたいと言っており、まさにその道を進んでいるところである。
イングランド代表のチルウェルはチェルシーが長年わずらっていた左サイドバックの問題を解決し、勤勉な守備とダイナミックな攻撃の両方をチームにもたらしている。
チルウェルはすでにサイドバックとして5アシストを決め、2得点もしている。レスター・シティの元スターは夏の移籍市場でブルーズが賢い買い物をしたことを証明していると言えるだろう。
(C)Getty Imagesまったく当然のなりゆきとして、チーム改革よりも財政の収支を重要視した移籍は、バルセロナに禍をもたらした。
かつてのミラレム・ピャニッチは世界最高のミッドフィルダーの一人だったかもしれないが、30歳となったユヴェントスでの最後のシーズンは、全盛期を過ぎていたことは明らかだった。
それにもかかわらずバルサは、会計の年度末を控え、ピャニッチとアルトゥールを効果的に交換して帳尻合わせをすることに決めたが、ピャニッチのここまでの結果はノーゴール、ノーアシスト、チャンスメイクはたったの15回というもので、ロナルド・クーマン監督はピャニッチを先発メンバーに9回しか選んでいない。
(C)Getty Imagesもちろん時期尚早ではあるが、マンチェスター・シティは遅ればせながらディフェンスの中心に据えるべきクラブのレジェンド、ヴァンサン・コンパニの後継者を見つけたと言えるかもしれない。
ベンフィカから加入したルベン・ディアスは、驚くほど簡単にエティハド・スタジアムの新しい環境に馴染み、すでに中心選手にさえなろうとしている。
ここまででディアスは、センターバックとしてペップ・グアルディオラ監督のファーストチョイスの地位を確立している。
Getty Imagesピャニッチのバルサでのキャリアはすでに絶望的だが、トリノにいるアルトゥールのほうはまだ希望がある。
アルトゥールはまだ24歳で、アンドレア・ピルロ監督の起用に応え、滑らかなパスサッカーをうまくやる能力があるのは間違いない。
ただし心配なことに、アルトゥールは部分部分では印象的なプレーをしている一方、ユーヴェがすでに中盤に有している才能を格段にアップグレードさせているように見えない。これまで公式戦14試合出場で得点にもアシストにも貢献していないという事実がこれを裏づけている。
もちろん、それはアルトゥールの仕事ではないが、試合のペースをスローダウンさせ、パスに慎重になりすぎているとの批判も出てきている。
Gettyチェルシーは、若手最注目株であったカイ・ハヴェルツを加入させるという、とんでもない大当たりを引き当てた。
しかしながら、ヴェルナーに関しても、ランパード監督はまだマルチな才能を持つ21歳を最大限に利用する方法がわかっていないようである。ハヴェルツのリーグ戦の得点数はここまでわずかに「1」だ。
ハヴェルツは辛抱強く、クレバーに、新しいチーム、新しいリーグ、新しい土地に適応しようとしている。だが、移籍金の額が額だけに、この攻撃的ミッドフィルダーと監督にのしかかるプレッシャーは大きくなる一方だ。
2人にとってシーズン後半の躍進は不可欠である。
GFX