「切り替えらんないっす…」
大宮アルディージャMF大山啓輔は最後にそう言って、記者の壁を乗り越えていった。
ヒーローから一転、戦犯となってしまう辛い日となった。サッカーの恐ろしさを思い知った。
大宮は25日、明治安田生命J2リーグ第25節で松本山雅FCと対戦。前半35分、相手に退場者が出ると、劣勢から大宮に流れが舞い込んできた。するとハーフタイム突入間際、マテウスが右サイドで起点を作ると、中央へ左足のアウトで折り返す。大山がワントラップでDFを外すと、右足を振り抜く。キーパーの手をかすめたボールはバーに当たりながら、ゴールへと吸い込まれ、貴重な先制点をチームにもたらす。
大山にとっては嬉しいJ2初ゴール。ここ数試合で素晴らしいパフォーマンスを見せながらも、得点という結果を残せずにいた生え抜きを知るファンは沸き立ち、溢れんばかりの歓声をピッチに送った。
数的優位で迎えた後半も、大山いわく「追加点を取りに行った」が、セットプレーから落とし穴が待っていた。56分、ファーへと流れると大山がクリアミス。石原崇兆へ渡ると大山が倒してしまい、主審は迷うことなくPKスポットを指さした。大山は抗議することもなく、天を見上げ、両手で芝を叩いた。判断ミスがPKへとつながったことを認めている。
「ショートバウンドでコーナーにしてよければ、たぶんコーナーにはできて。ただ、セットプレーが続いていたから、セットプレーにしたくないっていう思いは自分の中でありました。相手のストロングはCKとかFKにあるから、セットプレーを減らすっていう意識が、結果的に…」
このPKを決められると、11対10で進んでいるようには見えない展開に。大山自身も「今日はゲームを壊してしまったという印象が強い。分岐点となったかなと、勝敗を分けたと思います」と重々しい表情で口にしたとおり。その後、64分にカウンターから永井龍に見事な逆転弾を決められ、再三のクロス攻勢も実らず、避けなければならない連敗を喫することになった。
首位松本山雅と勝ち点を縮める絶好のチャンスだっただけに、この敗戦はあまりに痛かった。それを誰よりも理解しているからこそ、冒頭の言葉が飛び出している。そもそも大山がここまで気を落として記者の前に現れることは珍しい。敗れた試合でも冷静に分析し、敗因を言語化する姿が常にあった。そんな大山が下を向いていた。
もちろん、プロであるからには切り替えなければならない。しかし、前節の徳島ヴォルティスに敗れるまで8試合負けなしとチームをけん引してきたのは得点ランクのトップに立つ大前元紀と中盤で舵を取る大山であることに疑いはない。
同じピッチに立つ選手、サポーターは何ができるのか、そう考えるきっかけの試合にしなければならない。29日には3連戦の最終戦を迎える。ホームで熱い声援が再び送られることを願うばかりだ。
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