連載第1回:嫌われものの金満を愛し、舌打ちもされた。それでも声を大にして言いたい「チェルシーはパッションに満ち溢れたクラブ」
いよいよ、UEFAチャンピオンズリーグFINAL、マンチェスター・シティvsチェルシーの決戦の時が近づいてきましたね。昨季は、準々決勝のリヨン戦で3バックという驚きの采配を見せたマン・シティのペップ・グアルディオラ監督が、今季の決勝チェルシー戦でどんな先発メンバーを選び、どんなシステムを選択するのかも注目ではありますが、今回は奇をてらうような予想外の策は取らず、今季途中から採用してきた0トップの4-3-3、中盤アンカーはロドリではなくフェルナンジーニョで来るのではないかと個人的には思っています。
一方でチェルシーはどうなのか…。決勝を目前に控え、チェルシーの個人的な希望スタメンや途中から起用してほしい選手についてじっくりお話しできたらと思います。本当に個人的な意見と好みなので、悪しからず…。
■予想難しい3バックは?
(C)Getty Images「それでは、チェルシーのスタメンです(実況風に…)」
GKエドゥアール・メンディ、ディフェンスラインは右から、アンドレアス・クリステンセン、チアゴ・シウヴァ、アントニオ・リュディガー、右WBセサル・アスピリクエタ、左WBベン・チルウェル、中盤中2枚は、ヌゴロ・カンテとマテオ・コヴァチッチ、トップ下にカイ・ハヴェルツ、メイソン・マウントの2人、前線にティモ・ヴェルナーです。
プレミアリーグの交代枠3人と違って、CLの交代枠は5人、延長に入れば6人目の交代も可能だということを加味して考えました。
僕的には、CL決勝という一発勝負の大一番ということを考えると手堅く入りたいというのがあります。そこでスタートは右WBをアスピリクエタで安定させたいと…。アスピリクエタを右WB起用となると右CB(ストッパー)はクリステンセンが適任だと考えます。チアゴ・シウヴァの怪我での不在時のクリステンセンの成長と安定感を考えると、個人的3バックの最適解はクリステンセン、チアゴ・シウヴァ、リュディガーになります。しかし、彼は怪我から戻ったばかりで、直近のアストン・ヴィラ戦ではベンチに入ったものの出場しませんでした。トゥヘル監督がクリステンセンでいこうと考えているならば、ヴィラ戦で少しでも使ったはずです。となるとクルト・ズマか、いや、リース・ジェームズなのかもしれません。
レスターとの2連戦で採用した右CBリース・ジェイムズ、右WBアスピリクエタという並びは、あくまでもレスターのジェイミー・ヴァーディのスピード対応なのかと思っていましたが、最終節のヴィラ戦でも、その並びで臨みました。ひょっとするとCL決勝マン・シティ戦に向けての布石なのかもしれないと僕は勘ぐっっています。だとしてもトゥヘル監督の狙いはわからないのですが…。すみません。個人的にはクリステンセン先発で、リース・ジェイムズは途中から右WBに投入し勢いを出したいなと思ってはいます。
■コヴァチッチに期待
(C)Getty ImagesセントラルMFは、カンテとコヴァチッチのコンビでいきたいです。カンテは怪我のためヴィラ戦を欠場していましたが、練習に復帰し元気な姿を見せてくれています。彼は1.5人分の働きをしてくれるのでフルタイム頑張ってもらいましょう。
ジョルジーニョは長短のボールを配給できますし、展開力という点では最適な人選ではあるのですが、ボールを持つ分、狙われやすいという怖さもあります。特に攻守の切り替えが早く、カウンタープレスのインテンシティが高いシティに対してはちょっと怖いなと…。だだし、コヴァチッチは怪我から戻ってきて間もなく、直近のヴィラ戦でもコンディションに不安を残すようなプレーぶりだったのは気にはなるところです。
コヴァチッチには序盤から全力でいってもらって、疲れたらビリー・ギルモアと交代させましょう。その長短のパス能力や判断力、機動力からポール・スコールズを彷彿とさせる選手ですが、僕はガツガツいくことができるその守備能力も買っています。19歳ではありますが、途中から任せられる存在です。仮に追いかける展開になっていた場合はジョルジーニョだとは思いますが…。
■CFはヴェルナーの一択
(C)Getty Images前線はティモ・ヴェルナー一択です。試合によってはハヴェルツのトップ起用もありますが、ルベン・ディアスとジョン・ストーンズに対してハヴェルツの1トップは厳しいものがあると思います。ティモ・ヴェルナーにはタイミングよく裏を狙い続けてほしいですし、何といっても前線からの守備を頑張ってほしい。いけるところまでいったら、オリヴィエ・ジルーが控えています。
メイソン・マウントの閃きは攻撃面ではキーとなるでしょう。シティのフィル・フォーデンとともにイングランドを代表する至宝と言われているだけに、そんな二人のこの試合での明暗は気になるところです。
そして、2列目には途中からクリスチャン・プリシッチを入れて引っ掻き回してもらいます。勿論、ハミム・ツィエクも変化をもたらしてくれる選手です。
なお、怪我が心配されていたGKのメンディも練習に復帰しており、問題なさそうとのことなので、安心しました。
恐らく、ペップとトゥヘルといった世界的な戦術家、戦略家同士の駆け引きとなるゲームでしょうから、私が描いた画とは全く違った展開や采配になるのだと思います。5人、6人と交代枠があるだけに、試合の中で展開や戦い方が大きく変わりそうで、興味深いです。とはいえ、ペップは今季のCLの試合で交代枠をさほど使っていないので、今回もプレミアリーグとあまり変わらないのかもしれませんが…。
兎にも角にも、様々な驚きがCL決勝の舞台では見られるはずです。どんな試合展開になるのか、ワクワクが止まりません。
皆さん、世紀の一戦を大いに楽しみましょう!(第5回に続く)
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文・野村明弘

1975年生まれ、東京都出身。1998年に長崎文化放送に入社し、記者・アナウンサーとして活動。2003年に退社後、渡英して現地のフットボール文化に触れる。帰国後はフットメディアに所属し、プレミアリーグやチャンピオンズリーグ、Jリーグなど国内外のサッカー実況を担当してきた。2020年に独立してフリーとなった現在、スポーツコメンテイターとして様々なメディア、媒体で活躍の場を広げている。




