4年に一度の祭典がついに開幕した。
『Goal』では、ロシア・ワールドカップ開幕に際して選手や指揮官に独占インタビューを実施。今回は、元クロアチア代表のアリョーシャ・アサノビッチ氏に話を聞いた。
現役時代、母国クロアチアだけでなくフランスやスペイン、イタリア、イングランド、オーストラリアなど様々なリーグでプレーしたアサノビッチ氏。クロアチア代表としても42キャップを数え、母国を初のEURO、W杯出場に導いた。初出場となった1998年W杯では、3位に入ったチームで全試合にフル出場するなど活躍を見せた。2002年の引退後、現在は選手時代にプレーしたオーストラリア・ヴィクトリア州リーグのメルボルン・ナイツで指揮官を務めている。躍進を遂げたフランスW杯、そして今大会のクロアチアについて『Goal』だけに語ってもらった。
■「現クロアチアは史上最高のチーム」
――メルボルンFCでの経験を聞かせてください。
すべてが良い感じだ。オーストラリアはとても面白い国で、ここで指揮できることに幸せを感じているよ。この街には大きなクロアチア人コミュニティがあって、所属するメルボルン・ナイツというクラブのサポーターも、そこの人が多いね。私の経験をもとに、このクラブを助けるために来た。これからどうなるか、見てみよう。
(※編注:メルボルンFCとアサノビッチが指揮を執るメルボルン・ナイツは別チーム)
――1998年のワールドカップについての思い出を教えてください。
20年前のことだね。W杯については素晴らしい思い出しかないよ。友人たちと戦った美しい冒険の記憶だ。本当に素晴らしい出来事だった。そしてユニークなものだった。クロアチアは小さな文化圏でしかない。そこから来た我々が成し遂げたことを思えば、とても誇りに思うし、幸せなことだよ。思い出すだけで嬉しくなるからね。ただ、現在のチームも素晴らしい。レアル・マドリーやバルセロナ、それにユヴェントスといったビッグクラブでプレーする大スターが揃っているからね。きっと史上最高のチームだ。我々よりもこの世代の方が良いと思うよ。
――フランスW杯での美しい記憶は、最高の思い出ということでしょうか?
その通りだ。非常に感動的なものだった。我々が積み重ねた結果と、クロアチアのような国のことを考えればそれは並外れたものだった。だが、やはり現在の代表も注目に値するチームだよ。このチームに対するプレッシャーと期待はとてつもなく大きい。だが素晴らしい選手が揃っていることを考えれば、それも当然のことだね。人々はかつてない成功を収められると期待しているんだ。私からすれば、彼らは少なくとも準決勝には行けるだろうと思う。でも、フットボールの世界ではなんだって起こり得る。だから毎試合にチャレンジしていかなければいけないね。それでも、非常に強力なナショナルチームであることは間違いないよ。
――現代表はあなたの時と同じような成績を収められますか?
間違いないね。とても質の高いチームだ。もし決勝トーナメント進出を逃すようなことがあったら驚きだよ。もちろん、グループDはアルゼンチンが突破の最有力候補だろう。そして残る3チーム、我々とナイジェリア、そしてアイスランドで2位を争うことになるが、何が起こるかは見てみようじゃないか。私の予想では、準決勝には行けるよ。ベスト4に入ることができれば、あとはなんだってあり得るね。
――98年大会の話に戻りますが、すべてがポジティブなものでしたか? なにか小さな後悔はあったりしますか?
Gettyタイトルまで本当にあと少しのところまで迫っていた。決勝で戦えるはずだったんだ。もしリリアン・テュラムの2ゴールがなかったら、我々が負けることはなかった(クロアチアが先制するも、DFテュラムの2ゴールでフランスが逆転勝利)。だが、それは起きてしまった。フットボールとはこういうもの。だからこそ美しい競技であり、世界で最もエキサイティングなスポーツなんだよ。試合中に何が起こるか、決してわからない。ビッグチームが負けることもあれば、スモールチームがサプライズを起こすこともある。もちろん、ロジック通りに事が進むこともあるしね。
――その通りですね。テュラムの大爆発についてどう思いますか? 当時はまさにサプライズでしたが……。
まったく予想していなかったことが起きた。フランスはそれで決勝へと進むことができたね。振り返ると、この試合で我々は非常にアンラッキーだったと思う。それまで本当に良い試合をしてきたからね。全てを勝ち取っていた。でも、フランスはブラジルを圧倒して優勝した。そして世界チャンピオンになったんだ。それがすべてさ。
――今大会の優勝候補はどこだとお考えでしょうか?
候補になる国は多い。ドイツ、フランス、スペイン、ブラジルそれにアルゼンチンには注目したいね。クロアチアもそこに割って入る力があると思うよ。
――フランスについてはどうでしょう? 彼らは98年大会の再現を起こせそうでしょうか?
20年前のチームと比較するのは難しいね。私の見立てでは、当時のフランスは歴代最高のチームだった。現在のフランス代表には、たくさんのタレントが揃っているね。だが、ジネディーヌ・ジダンのようなワールドクラスの選手が見当たらない。それでも、今のチームは非常に強力だし、今大会で何を起こすかとても興味深く見ているよ。
■「いつかヨーロッパで監督をしてみたい」
――選手時代にメス、カンヌ、モンペリエでプレーしていましたが、フランス滞在時の思い出はありますか?
もちろんだ。フランスは大好きな国だよ。友人もたくさんいるしね。フランスには4年間いたが、素晴らしい、そして美しい思い出ばかりだよ。
――再会したい人はだれですか?
それはもう大勢いるよ。個人的にはレアルで監督としても成功を収めた今のジズー(ジダンの愛称)に会えたら嬉しいね。彼は本当に完璧な人間なんだ。完璧な場所に完璧な瞬間でいる素晴らしい人物だ。
――現在、あなたはメルボルンで監督を務めていますが、将来的にはヨーロッパのクラブや代表チームを指揮したいという野望があるのでは?
それはそうだ。もちろん、いつかヨーロッパで監督をしてみたいね。クラブか代表かは問わないよ。だがさっきも話したように、いまはメルボルンでの仕事ができて幸せなんだ。将来のことは何が起こるか見てみるしかないよ。
――代表チームでスラベン・ビリッチ(2006~2012)のアシスタントコーチとして過ごした経験は、どのようにいきていますか? 彼との仕事はどうでしたか?
彼のような監督と代表チームで仕事ができて楽しかったよ。彼とは、ロコモティフ・モスクワでも一緒に仕事をしたんだ。そのときはヨーロッパでも指折りの有望な若手指揮官だった。そしてとても大きな男だった。彼のアシスタントとして共に指揮をとれことは、大きな経験だったね。何年にもわたって仕事ができて幸せだったよ。
インタビュー・文=ナイーム・ベネドラ/Naim Beneddra

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