セレッソ大阪は、明治安田生命J1リーグで27試合を消化して勝ち点41の5位につけている。今季の照準は2年連続のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得に絞られたわけだが、チーム事情は決して万全ではない。そんな中で終盤戦のキーマンに挙げられるのはキャプテンを務める山口蛍だ。
■苦しみながらつかんだ勝ち点1
C大阪は22日の明治安田生命J1リーグ第27節で湘南ベルマーレと対戦し、1-1のドローに終わった。尹晶煥監督は、右足中指を負傷していた杉本健勇を強行出場させる決断をとる。しかし、そのエースが開始10秒で右肩を脱臼するというアクシデントに見舞われ、いきなりゲームプランに誤算が生じてしまう。
緊急出場した高木俊幸や、清武弘嗣が持ち前の高度な技術と創造性を発揮し、杉本不在の穴を埋めるものの、肝心のゴールだけは遠い。そんな中、逆に湘南にリスタートの流れから1点を奪われ、絶体絶命の窮地に追い込まれてしまう。刻一刻と時間が過ぎ、後半ロスタイムに突入。誰もが黒星を覚悟したとき、C大阪にミラクルが起きた。
左CKを獲得するとキッカーは、今季ここまで正確なプレースキックを披露している丸橋祐介。左足でボールを送ると、ゴール前の混戦から前線に上がっていたGKキム・ジンヒョンが右足シュート。これはGK秋元陽太が弾いたが、こぼれ球を拾ったのがソウザだった。次の瞬間、背番号11は左足を一閃。苦しむチームに勝ち点1をもたらす同点弾を突き刺した。

「最後まであきらめずに頑張って勝ち点1を取れたことが次につながる」とキム・ジンヒョンが言えば、殊勲の一撃を決めたソウザも「今は疲れても体が重くなってもチームや仲間のために戦っています」と語気を強めた。
その一体感と結束力がこのミラクル同点弾の原動力となったのは紛れもない事実だ。キャプテンの山口蛍も「これだけ内容が良くて、自分たちのミスから失点して、負けてしまうとまた落ちていく。そこを取り返せたのは大きかった」と、最後の最後に奪った同点弾の重みを強調していた。
残り7試合となったJ1(未消化のチームは除く)は、首位の広島と2位・川崎フロンターレによる優勝争いの構図が見えてきたが、ACL出場圏内となる3位争いは混沌としている。3位・FC東京から10位・清水エスパルスまでの8チームが勝ち点9差でひしめき合う大混戦だ。
C大阪は杉本の負傷した右肩の回復具合がハッキリせず。柿谷曜一朗もケガがちで、攻撃陣の戦力にやや不安があるのは事実。しかし、決定力不足の課題を克服しなければ3位以内は目指せないだろう。
■ACL行きを目指すC大阪のキーマンは?
逆転での3位滑り込みへ、キーマンとなるのは山口だ。C大阪では主将を務め、日本代表としても2大会連続でW杯に出場。しかし、7月にW杯からC大阪に戻ってからというもの、彼はどこかロシアの幻影を立ち切れずにいた。ヴァイッド・ハリルホジッチ前日本代表監督にボランチの主軸に据えられ、アジア最終予選を戦ってきた彼が、西野朗体制発足後は控えに回され、本大会でも鋭いボール奪取力など本来の力を出し切れなかったからだ。
加えて、森保一新監督率いる新生ジャパンの初陣となった9月シリーズをケガで辞退しながら、9日のルヴァンカップ・湘南戦に出場したことも新たな批判の火種になった。こうした世論を敏感に察知したのか、本人はコメントを控え、自分のプレーだけに集中した。
C大阪での試合を重ねるごとにメンタルを回復してきた。「(今は)納得できるパフォーマンスが出せている」と自負するなかで、それをどう還元していくかが大事だと続けた。
「チームの結果がついてこないので、少しもどかしいけど、個人的には良いプレーができている。それをどうチームに還元していくかだと思います」
地道にコツコツと努力する姿勢を貫いた結果、14日のジュビロ磐田戦では傑出した存在感を披露。今回の湘南戦でも相手の鋭い出足を封じるボール奪取を次々と見せ、縦への推進力という武器を止めた。

「山口選手の判断を変えるところだったり、相手の逆を突くプレーとか、つぶす場面や姿勢は本当にレベルが高かった。見習うべき部分が沢山ありました」と、U-19日本代表に名を連ねる湘南のボランチ・齊藤未月も神妙な面持ちで言っていたが、彼の戦術眼の高さは玄人であればあるほどよく分かるのだろう。
山口は「僕の良さはあまり多くの人に理解されない」と口癖のように言っているが、目立たないところで勝負の行方を大きく左右するような仕事ができるからこそ、尹監督もチームメートも絶対的な信頼を寄せる。9月に入って負傷から復帰した後は、それだけの存在価値を再認識させてくれているのだ。
杉本と柿谷の状態が不透明で、清武にも攻撃面の負担が重くのしかかる今だけに、山口がチーム全体をコントロールし、ACLへの機運を高めていく役割を担うことになる。
「ACLに向けては、いかに自分たちが諦めずにやるかってところだと思う。ここから7連勝もできないわけじゃない。名古屋が7連勝したことを考えると決して自分たちにもチャンスがないわけじゃない。そこは諦めずにやっていきたい」
山口のそういった強気な発言はチーム全体の士気を高めるはず。2年連続のACLへ――。静かに闘志を燃やすリーダーが、キーマンとなる。
文=元川悦子
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