みなさん、こんにちは。中村憲剛です。先ごろ、僕の在籍する川崎フロンターレがJ1リーグで優勝しました。昨シーズンに続く連覇です。そこで今回は2018年シーズンの川崎Fについての総括をお届けしましょう。僕なりの視点を交えながら、栄冠へとたどり着くターニングポイントを探り、ベストマッチやベストゴール、さらには僕個人のベストプレーなどを振り返ってみたいと思います。しばしお付き合いください。
■べストマッチ。ひとつに絞るなら
まず、今のフロンターレのサッカーは昨シーズン序盤から徐々に作られていき、初めて優勝を勝ち取り結果を出せたことでこれが自分たちの形なんだと自信を持つことで昇華されていきました。攻守の両輪は、個々の技術を生かしながら相手の守備組織を崩していくパスワークと、前からの素早いプレスでボールを取り返すハードワークです。得点55はJ1最多、失点26はJ1最少でした。これも攻守の両輪をうまく回すことができたご褒美でしょう。さて、そこで今シーズンのベストマッチです。
さすがに1つに絞るのは難しいですね。フロンターレらしいと言えば、7-0のスコアで大勝した札幌戦(第26節)でしょう。僕らの最大の強みである攻撃力を存分に生かすことができましたからね。また、勝負強さを発揮したという意味では首位を走るライバルとの直接対決で2-1と逆転勝ちした広島戦(第23節)です。負けていたら、連覇はなかったかもしれません。

でも、ひとつに絞るなら、アウェイの鹿島戦(第29節)を挙げたいですね。
勝ち試合ではありません。0-0のスコアレスドローです。それでも、僕にとってもチームにとってもとても意味のある試合でした。負ければ、急激に追い上げてきた鹿島に優勝戦線に食い込まれてしまう。そういう状況のなか、PKの失敗があり、後半には退場者まで出た。終盤にはセットプレーから何度もゴールを脅かされながら、しぶとく、粘り強く戦い抜いて、鹿島の覇権争いへの参入を食い止めることができたんです。良い戦いをして勝つのは当たり前。苦しいときに、いかに辛抱強く戦って、勝ち点を拾い、相手に勝ち点3を渡さないか。それができるのは、本当に勝負強いチームだけだと思います。
これまでのフロンターレだったら、最後にやられて、やっぱり鹿島は強い――と。そういう結末になっていたと思うんです。でも、今回は鹿島の猛攻をみんなの頑張りでシャットアウトできた。退場処分になりましたけど、阿部ちゃん(浩之)のテクニカルファウルはクラブ史に残るマリーシアだったなと。自分たちもようやくこういう戦いができるようになったか、と終わってから感慨深くなったのを覚えています。
こういう試合を今まで辛酸舐め続けられ、タイトル争いの壁として立ちはだかってきた鹿島に対してできたことに大きな意味があった。譲らずに引き摺り下ろすことができた。そういう意味で大きく成長したなと。ベストマッチという言い方が適当かどうかは分からないですが、個人的にも、クラブにとっても、大きな意味を持つメモリアルマッチですね。
■あの”変態チック“なパスを見てほしい

次はベストゴール……これはもう、僚太(大島)のゴールで決まりでしょう(第30節・〇5-3神戸の4点目)。フロンターレはもとより、今シーズンのJ1ベストゴールだと。これを選ばずして何を選ぶのかと個人的には思います。最後のワンタッチの崩しも素晴らしかったですし、何よりほぼ全員が絡んだ末のゴールですから、いかにもフロンターレらしかったですね。日本にもこういうゴールを決めるクラブがあるんだとアンドレス・イニエスタ(神戸)に間近で見てもらえたのだから本望です。
続いて、僕個人のベストプレーを。実は今シーズン……アシストが少ないんですよね。毎試合のようにスルーパスを連発していた時期もあったんですけどね。もう、悠(小林)がはずしまくって記録がつかない(笑)。しっかり記録がついた中から探せば、横浜FM戦(第20節・〇2-0)で悠が決めた2点目。あのラストパスは自分でも満足度が高いかな。
逆に記録がつかなかった方が印象深いパスは多いんですが、その中から選ぶならば、札幌戦(厚別、第16節・〇2-1)で悠が決めそこねたスルーパスですね(笑)体をくるりと反転させながら、後ろから来たパスを、ワンタッチで門(2人のディフェンダー)の間に転がしたんですが、悠いわく「まさか、あんな角度から来るとは思わなかった」と。確かに自分でもかなり変態チックなパスだったなとは思いますけど(笑)。アシストは幻に終わりましたが、個人的にはかなり気に入っています。
▲変態チックなパスは1分48秒くらい!
アシストうんぬんを別にすれば、FC東京戦(第33節・〇2-0)の2点目に絡んだパスがベストプレーですかね。右サイドを駆け上がるエウシーニョへ送ったパスが。
ボールをもって前を向いたときに、そうなったらいいなぁ――という動きを全員がしたんですよ。敵も味方も。対面の森重(重人)とチャン(ヒョンス)の動きのズレまでイメージどおりで。最後に左足で転がしたのも狙いどおりでした。パスの角度がついて、エウシーニョが転がるボールを(右足の)面でとらえやすい。そうすれば、ワンタッチで正確にゴール前へ折り返すことができる。我ながら、会心のパスだったと思います。
キーパーの(チョン)ソンリョンから計6本のパスをつないで崩したのですが、そのプロセス自体も素晴らしかったなと。もう、流れるようにパスがつながりましたから。自分が絡んだ中ではベストゴールですね。残念ながら、僚太のゴールは後ろから眺めているだけでしたから(苦笑)いまや自分が絡まなくても、あれだけのゴールを決めることができる。それくらい、フロンターレは強くなった――そういうことにしておきます(笑)
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