見えてきた宇佐美貴史の居場所と光。百戦錬磨の指揮官の元で成長中【サムライたちの前半戦】

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(C)Getty Images
白熱する欧州各国リーグ戦は前半戦の日程が終了。ワールドカップイヤーの2018年は熾烈な戦いが各地で繰り広げられた。そんな世界最先端で戦う日本のサムライたちは、どのような前半戦を送ったのだろうか。『Goal』は、そんなサムライたちの戦いを振り返る。今回は、フォルトゥナの宇佐美貴史だ。

前半戦の評価:3(5段階)

立ち位置:左ウイングのレギュラー

公式戦出場記録:リーグ・12試合出場1得点 カップ戦・1試合出場0得点

後半戦の目標:5得点5アシスト以上。常時先発フル出場

今季のブンデスリーガで指揮を執る指揮官の中で最高齢の65歳。デュッセルドルフのフリートヘルム・フンケル監督は常に達観したかの表情でチームを率い、今季2部から1部に昇格したチームの成長を着実に促している。

昨季2部から1部へ昇格を果たした今季のデュッセルドルフはヘルタ・ベルリンからのレンタルで途中加入した原口元気がハノーファーへ完全移籍したくらいで、その他の戦力はほぼ維持できた。それに加えて今季はベルギー人FWのドディ・ルケバキオをイングランド・プレミアリーグのワトフォードからレンタルで獲得したのを筆頭に、MFケヴィン・シュテーガー(←ボーフム)、DFマティアス・ツィマーマン(←シュトゥットガルト)など、要所のポジションで即戦力を獲得し、アウグスブルクからレンタル移籍中の宇佐美貴史も昨季から継続してフォルトナのユニホームを身にまとうことで、それなりの臨戦態勢を取れた。

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■潮目を自らの足で変えた

ただ、宇佐美は今夏のロシア・ワールドカップで日本代表メンバーの一員として戦ったため、チームへの合流が遅れてしまった。フンケル監督の指導方針はフィジカルの強化がベースにあり、1試合で12キロ以上の走行距離を記録できる体力が身に付かないかぎり戦力としてみなせないというお達しもあって、今シーズン開幕当初は宇佐美にとって厳しい境遇が続いた。

宇佐美は今季公式戦初戦のDFBポカール1回戦のコブレンツ戦を皮切りにブンデスリーガ第4節・シュトゥットガルト戦までの5試合全てでベンチ外を強いられた。その間、チームはブンデスリーガ4部のコブレンツに快勝し、リーガでも1勝2分1敗とまずまずの成績をマーク。しかし宇佐美が今季初出場を果たした第5節のレヴァークーゼン戦から第10節のメンヘングラートバッハ戦までは6戦全敗と急失速(宇佐美は第8節のフランクフルト戦は不出場)。この間の宇佐美の役回りは4-2-3-1、もしくは4-4-2の左ウイングで先発出場途中交代が2試合、途中出場が3試合。いずれも結果に関与する仕事ができず、自らのプレーパフォーマンスを高められなかった。

2018-11-13 Usami Fortuna Duesseldorf

しかし、第11節のヘルタ・ベルリン戦以降のデュッセルドルフは試合内容こそ相手と拮抗しながらも着実に勝ち点を積み上げていく。そのきっかけを生んだのは他ならぬ宇佐美だった。ヘルタが前半途中に退場者を出して数的優位を得た影響もあってホームのデュッセルドルフが怒涛の攻撃を仕掛け、51分、左サイドからパスを受けた宇佐美が左足を一閃して先制ゴールを叩き込んだのだ。勢いに乗ったデュッセルドルフは総計4ゴールの猛ラッシュでヘルタを粉砕して4-1で快勝。宇佐美も自らの存在価値を示したことで、ようやく戦力としてしっかり認識されるようになった。

デュッセルドルフは続くアウェーのバイエルン戦ではルケバキオの2ゴールなどの活躍もあって3-3のドローに持ち込むと、その後は第13節・マインツ戦、第14節・ブレーメン戦で連敗したものの、第15節・フライブルク戦、そして週2試合の過密日程の中で迎えた第16節・ドルトムント戦を2-1で制して今季リーグ戦無敗だった首位チームに土を付ける番狂わせを演じる。そして、前半戦最後のゲームとなったハノーファー戦では一進一退の攻防の中で試合終了間際にMFオリバー・フィンクが決勝点を挙げて劇的な勝利を挙げ、降格圏の17位ハノーファー、18位ニュルンベルクと勝ち点7差の14位と、合格点を与えられる順位でウィンターブレイクに入った。

■さらなる高みを目指す宇佐美

そんな中、宇佐美は自ら、そしてチーム全体のプレーレベルに全く満足していない。リーグ戦12試合出場の中で先発フル出場はわずか2試合。他は途中交代が6試合、途中出場が4試合という内訳で、純然たるチームの中軸としての立場を確立できていないからだ。例えば第14節のブレーメン戦では先発出場しながら、1-1で折り返したハーフタイムに4バックから3バックへとシステム変更して堅守に切り替えたフンケル監督のチーム戦略の中で宇佐美は交代を命じられている。しかもチームは後半に2失点して敗戦しており、指揮官の采配が裏目に出る結果ともなった。

「前半限りでの交代は仕方ないです。4バックから3バックへの変更で、5バック気味に守備を固める中で、攻撃陣の誰かが削られるわけですから。ただ、ボール支配できないシーンが長く続いているのも事実で、それをどう解消するのか。チームとしての課題点も見えてきていると思います」

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それでもフンケル監督自身は宇佐美について、短期的ではなくシーズン全体を見据えた起用プランを考えているようだ。例えばワールドカップの激闘からオフ期間を経てチームへ合流した宇佐美について、フンケル監督は当時こんな見解を述べていた。

「彼は3週間前ほどからトレーニングしていて、当然最初に比べてコンディションを上げてきた。追加のメニューもたくさんこなしている。基本的に、今の彼はプレシーズンの真っ最中と言ったところだ」

途中交代、途中出場を繰り返す中でも宇佐美のモチベーションが落ちず、常に前向きに物事を捉えてきた姿勢も指揮官が宇佐美に対する評価を徐々に高めた理由かもしれない。先述したヘルタ戦でゴールを決めて勝利に貢献した後、宇佐美はこんなコメントを残している。

「僕のゴールはチームにとって重要なものだったと思う。いつだって勇敢に戦い、助け合うのが僕らのサッカーです。これを続けていけば、きっと順位ももっと上に行けるはずです。6連敗したときはどん底で、チームの雰囲気も良くなかった。だけどその時に比べれば、今はずっと良くなったと思います」

■生かすべき武器

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第15節のフライブルク戦で宇佐美のCKから2ゴールが生まれた事実も、今後の彼の立場を優位にするきっかけになるかもしれない。昨季2部の舞台でも宇佐美の右足から放たれるセットプレーはチームの武器になっていて、タイトな局面争いが頻発するブンデスリーガのゲームの中では貴重な得点パターンとなる。また、現在のチームの攻撃が強烈なフィジカルを誇るFWルケバキオに頼る比重が大きい中で、シュート能力に定評のある宇佐美の左サイドからの仕掛けが活性化されれば、相手チームの堅守を打ち破る特効薬になるかもしれない。昨季までチームメイトだった原口元気(ハノーファー)は、宇佐美の特長をこう捉えている。

「貴史のシュートは速くて正確。振り足が速いので相手が防御態勢を取れない間に打ち込めるのが特長だと思う。自分は貴史のような速いシュートが打てない。ピッチ上で体感すると、彼の能力が分かるんです」

百戦錬磨のベテラン指揮官の下で、天才が確実に成長の只中にある。デュッセルドルフの力は1部の舞台でも侮れず、宇佐美もまた、その実力の片鱗を徐々に示し始めている。フンケル監督の心の声が聞こえてきそうだ。

『焦る必要はない。結果は必ず出る』

長きに渡るドイツでの闘いの中で、宇佐美はようやく自らの居場所を見出しつつあるのかもしれない。

取材・文=島崎英純

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