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西野ジャパン下剋上の3か条。圧倒的なメンタル、サイドの攻防、俊敏性を生かした攻め

■圧倒的な精神力でスター軍団を上回ること

「メッシもロナウドも敗退したが、私がロシアで輝きたい。クオーターファイナル、セミファイナル、ファイナルまで勝ち進んで、このワールドカップを自分の大会にしたい」

ロシア・ワールドカップ・ラウンド16・日本戦を翌日に控え、決戦の地であるロストフ・アリーナで公式会見に臨んだベルギーの背番号10、エデン・アザール(チェルシー)は不敵な笑みを浮かべた。

「もう次のブラジル戦のことを考えているのではないか」という記者の質問にも「日本に勝てるかどうかも、ブラジルが勝つかどうかも分からない」と謙虚な発言をしてみせたが、「格下の日本ごときに負けるはずがない」という本音も透けて見えた。

以下に続く

FIFAランキング61位の相手を同3位の強豪国が甘く見るのも仕方のないことなのかもしれない。だが、そこが逆に日本にとっての大きなチャンスだとも言える。

「どれだけ強い気持ちを持って戦うかが大事。相手はベルギーだが、強いメンタルを持って戦いたい」

アザールの公式会見から2時間後、日本代表の会見に出席した昌子源は語気を強めた。圧倒的な精神力でスター軍団を上回ること。日本はそこから試合に入らなければならない。

■サイドの攻防をグループで制したい

日本サッカーの新たな扉をこじ開けられるか否かの一大決戦を前に、西野朗監督は7月1日の最終調整で先発を固めた模様だ。おそらくメンバーは6月19日グループリーグ第1戦・コロンビア戦、24日の第2戦・セネガル戦と全く同じ陣容になるだろう。基本布陣も4-2-3-1が有力だが、3-4-3のベルギーとはフォーメーション上のミスマッチが起きる。そこは注意すべきポイントだ。

2018-07-03-japan-gelgium-formation(C)Goal

▲ベルギー戦予想フォーメーション

相手攻撃陣は、今大会4ゴールのロメル・ルカク(マンチェスター・ユナイテッド)が1トップに陣取り、2シャドーにドリース・メルテンス(ナポリ)とエデン・アザール(チェルシー)が入る形。ルカクは昌子と吉田麻也でケアし、メルテンスを長友佑都、アザールを酒井宏樹が主に見る形になる。

ただ、長友のサイドにはウイングバックのトマ・ムニエ(パリサンジェルマン)、逆サイドにはヤニック・カラスコ(大連一方)がいて、彼らが高い位置を取ってくると長友と酒井宏が2対1の数的不利に追い込まれる。そこでそれぞれ左MFの乾貴士と右MFの原口元気がしっかりチェックできれば問題ないが、中途半端なポジショニングになれば、それこそ相手の思うつぼ。

それを回避すべくボランチの柴崎岳と長谷部誠も協力し合いながらグループで対応できるようにすることが肝要だ。いずれにせよ、サイドの攻防を制することが、この大一番のキーポイントと言っていい。

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▲原口にはサイドで相手アタッカーを封じ込める仕事が求めらえる

そうやってベルギーのサイド攻撃を封じてしまえば、ルカクの怖さは半減する。もちろん中盤に陣取るケヴィン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)の球出しは厄介だが、そこも両ボランチと香川が連係してフリーにしなければ、さすがの背番号7もそこまで仕事ができないはず。

守備でジリジリとベルギーを追い込み、焦燥感を抱かせるような形に持ち込めれば、西野監督の言う「勝機」を拾えるチャンスが広がる。昨年11月にブルージュでテストマッチを行った時にはそういう戦いができず、今回メンバー外となっているケヴィン・ミララス(オリンピアコス)の中央突破からルカクに決勝点をこじ開けられた。その教訓を最大限生かすことを選手たちに強く求めたい。

■攻撃のカギを握るのは香川と乾

守りのメドをつけたら、あとはいかに点を取るかをひたすら追求すればいい。そのカギを握るのが、香川と乾の両テクニシャン。ベルギーの3バックは負傷の癒えたヴァンサン・コンパニ(マンチェスター・シティ)が復帰するが否かにかかわらず、長身選手揃いだ。ただ高さがあるぶん、俊敏性やクイックネスでは劣る部分がある。そこを突けるのが、かつてセレッソ大阪で名コンビを組んだ小柄な両ファンタジスタなのだ。

「セネガル戦はシュート0本に終わっているので、バイタル(エリア)に入り込んでボールを呼び込めるかがチームにとっても非常に大事になってくる。そこは僕個人としてもすごくトライしたいし、それを出さないとチャンスが生まれないと思っている」と香川が言えば、乾も「今は1人でやる(攻める)必要がないですし、チームとして崩せる自信もあるので、それをできればいい」と強調。連係を大事にしながら相手のウイークポイントを狙い撃ちしていく構えだ。

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▲乾(写真)と香川で相手のスキを突けるか

実際、ムニエとカラスコが上がった背後のスペースは日本にとって重要な狙いどころ。乾が左サイドの奥深いエリアまで侵入し、相手3バックを下げさせておいて、そこに香川が入ってシュートといったパターンは1つの理想形である。それは右の原口にもできることだ。もちろん後半になって相手の体力が落ちれば、本田圭佑や岡崎慎司と言ったカードも切れる。多彩な戦い方で攻めの厚みを出せるのが今の日本。1点を取るのに苦しみ抜いた昨年11月の対戦時とはゴールに迫る迫力・推進力がまったく違う。

そこは確かにベルギー守備陣が面食ら部分かもしれない。相手を驚かせる圧力を、立ち上がりから一気呵成に発揮することが、試合を優位に運ぶための必須条件と言える。 

■背番号10。今こそ強い自覚と統率力を

「ベルギーはグループリーグ3試合を通してゆっくり入る傾向を見せてきた。格下と言われている僕らは立ち上がりから球際やセカンドボール、プレッシングを彼らに見せつけなきゃいけない」

香川はカウンターパンチを繰り出す気満々。ポーランド戦に出場していない彼は、中8日の休養でフレッシュな状態を取り戻しているはず。それは原口も同様だ。守備陣に3試合フル稼働の選手が多いぶん、香川らにはよりチーム全体をけん引してもらう必要がある。

それだけの強い自覚と統率力を、背番号10には今度こそ示してもらわなければならない。

34歳の長谷部や32歳の本田、岡崎らはこの決勝トーナメントがワールドカップ最後の戦いになる可能性が高い。その現実を踏まえても、29歳の香川には本物のエースに君臨してもらわなければならない。

ワールドカップ3大会4ゴールという圧倒的な勝負強さを示した本田の系譜を継ぐべく、香川には今大会2ゴール目をどん欲に狙ってほしい。

いすれにしても、選手たちには自信過剰気味なベルギーの鼻をへし折るような勇敢さと泥臭さを示して、ワールドカップの歴史をガラリと変えることを強く祈りたい。

文=元川悦子

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