西野ジャパンに世界と戦う準備はできているのか。ガーナ戦で得た本当の収穫

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5月30日、西野ジャパンの初陣であるキリンチャレンジカップ2018・ガーナ戦が日産スタジアムで開催された。結果は0-2の敗戦。合宿で試みてきた3バックが機能せず、多くの課題が露呈した。その中で選手たちはどう考えワールドカップ本戦に臨もうとしているのか。

壮行セレモニーに臨む西野ジャパンを待ち受けていたのは、真っ暗な空からたたきつける大粒の雨。不甲斐ない結果を受けた試合終了直後には、日産スタジアムをブーイングが包んだ。

そんな中、チームを覆うネガティブな空気を振り払うべく、マイクの前に立ったキャプテン長谷部誠は「強い気持ちを胸に、ロシアワールドカップを戦ってきます」と言い切った。

そしてセレモニーを終えたミックスゾーン、長谷部は「一番は勝ちたかった。そこはネガティブ」とも語っている。日本代表は大丈夫ーーそう印象付けてヨーロッパでの事前合宿、そしてロシアへと旅立つはずだった。だが、ここで主力を欠いたガーナ代表に0-2で敗戦を喫してしまう。果たして、観ている側に不安がはびこる結果となった今回の試合で、いったい何が見えたのだろうか。

■ガーナ戦、3バックはあくまで“オプション”

本大会開幕まで2カ月という常識はずれのタイミングで指揮官に就任した西野朗監督にとって、この国内最終戦が自身初采配という厳しい状況。チームづくりの遅れが指摘され、さらにガーナ戦に向けて招集した選手がケガの影響などもあり、千葉県内で行われた合宿はコンディション調整に追われることになってしまった。

そんな中で西野監督が新たに取り入れたのが、3バックのシステム。従来と異なる戦術を採用した指揮官の真意が、ガーナ戦後の記者会見で明らかになった。

「ガーナのシステムと個々の選手の特徴を消すような戦術を考えれば、3バックではなかったかもしれない。ただ代表として、これからいろいろな局面、状況に対応していきたいと考える中で(3バックを)やっておきたかった」

つまり、ガーナ戦は結果を求める“壮行試合”でありながら、実質的には3バックを取り入れるための完全なるテストマッチ。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督は4バックを継続採用してきたが、西野監督は本大会を見据え、押し込まれる展開を考えた上でのオプションをチームに加えておきたかったわけだ。

試合ではガーナの1トップに対して日本が3バックで対応したが、ここで数的なミスマッチが起こってしまう。ただし、それは戦前から分かっていたこと。だが、監督はその上でも「トライしたかった」と明かす。

合宿期間中、選手たちは3バックに関して口々に「手応えはあるけれど、実際に試合をやってみなければわからない」と話していた。では、彼らの印象はどうだったのか。結論から言えば、多くの選手が口を揃えたのは「いろいろなものが見つかった」というフレーズ、そして「ポジティブ」というイメージだった。

これまでボランチで起用されてきた長谷部だが、この試合では所属のフランクフルト同様に3バックの中央に入った。チームのベースは従来どおりの4バックにあるという前提で、新システムへの手応えを語る。

「オプションとして持つことの手応えはもちろんある。負けたときに冷静に試合を振り返らなければいけないので。そういう意味では良かったところもたくさんあった。逆に新しいトライをした中での課題もたくさん出てきた。こういうゲームの後になんと言えばいいのか分からないけど、そんなに悪い感覚は正直持っていない」

■システムだけではどうにもならない

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現状はオプションとして新しいシステムを取り入れ始めた段階である。収穫と課題が多く出てくるのは当然だ。もちろん完成度は高くない。準備期間の短さを考えれば、可能性が垣間見えた部分はポジティブに捉えていいのかもしれない。だが、日本代表がロシアの地で戦う相手は、百戦錬磨の世界の強豪である。一瞬のスキやミスが致命傷になる。

今回の試合でガーナ代表に許した2つのゴールは、直接FKとPKから。いずれも日本代表の判断ミスが招いたファウルから奪われたものだった。6月2日の渡欧後、コロンビア代表との初戦までに残された練習期間はわずか2週間強。日本代表はその短期間でベースになる4バックの攻守を構築しつつ、ガーナ戦で見えた“オプション”の修正も図らなければならない。もちろんその中には、微に入り細に入り、連係を突き詰めていくことも求められる。

長谷部は「今日の負けは、小さなミスが連続して失点につながった。ワールドカップでは、本当に小さなミスが大きな結果につながってしまう。もちろん突き詰めていかないといけない」と振り返る。

「勝負は細部に宿る」と言われる。ガーナ戦で見えた課題を、本当に世界の強豪から結果を出せるまでに突き詰めることができるのかーー。

吉田麻也はコロンビア戦に「間に合わせる」と言った。本田圭佑は試合後のミックスゾーンで開口一番に「結果は想定外、内容は想定内」と発し、こう続けた。

「(コロンビア戦までの期間で)良くはなります。そこは間違いないです。ただ、どれくらい良くしなければいけないのかって議論になってくる。サッカーはそんな甘い話じゃないんで。これでもかってくらいに詰めていかないと」

コロンビア、セネガル、ポーランドに対して。どうやって勝ち点を取りに行くのか。大きな意味での戦い方のビジョン、そして細かな連係やこだわりをしっかりと突き詰めなければ、日本代表を覆う分厚い雨雲は吹き飛ばせない。

■ワールドカップは細部の精度で結果が決まる

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二度のワールドカップを経験した長友佑都も、世界と向き合うために必要なものを説く。

「(直接FKを決められたシーンで)壁の作り方もあれで良かったのか。細かいところですけど、それで失点している。そこは詰めていかなきゃいけないし、逆に詰められる部分。(細かい部分は)徹底してやるし、練習の時間だけじゃなくて、練習以外の時間も相当話すことになると思います。今の自分たちでは、一つの戦術だけでは厳しい。ワールドカップは細かな部分の精度で結果が決まってしまうので、やっぱり危機感は持っています」

長友にとってはロシア大会が自身3大会目のワールドカップ。そこが厳しい舞台であることを理解した上で、「短い期間でまだまだ良くなるという確信を得たし、可能性を感じた。僕たちは追い込まれれば追い込まれるほど、批判されればされるほど立ち上がる。その状況が僕らにとってはポジティブなんじゃないかな」と前を向いた。

数々の修羅場をくぐってきた本田も、準備段階を乗り越えて本大会に臨む心持ちを力強く語った。

「(グループステージの)3試合がすべてですよね。そういう覚悟でいます」

ガーナ戦で得たもの。西野監督にとっては、コンディションが心配された香川真司の復活は大きかっただろう。原口元気の右ウイングバック起用にもメドが立った。大島僚太と柴崎岳のゲームチェンジャーぶりも出色の出来だった。臨機応変な戦いに向けた3バックのテストでも課題を手にした。そして選手たちが“危機感”という共通認識を改めて持てたことが、何より大きな収穫になったと見る。

少しずつ大枠が見え始めた西野ジャパン。5月31日には、いよいよロシアへ向かう日本代表23選手が決まる。もちろん本大会までに仕上げなければならない課題は、まだまだ山積みである。だが、今回の試合で新システムへの少しの手応えと強烈な危機感を手にしたのも事実。

長谷部がガーナ戦後の壮行セレモニーで言葉少なに、しかし力強く言い切った裏側には、「危機感を持ってやるしかない」という覚悟があったのだろう。ここまで来たら前へ進むしかない。選ばれた選手たちには、そして西野監督には、とにかく危機感を持って、急ピッチで世界と戦う準備を進めることが求められる。

文=青山知雄

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