ジュビロ磐田のMF中村俊輔が、7日の清水エスパルスとの静岡ダービーに向けて調子を上げてきた。
3月18日に行われた明治安田生命J1リーグ第4節のサンフレッチェ広島戦に向けた前日練習で、左大腿を肉離れしたものの、前節の浦和レッズ戦で復帰。75分から途中出場し、逆転勝利に貢献した。
そんな磐田のレフティが清水戦での先発復帰が有力になっている。
■中村俊輔が語る静岡ダービー
「内容よりも結果だけを求める、リーグ戦では数少ない試合。どの試合よりも熱く、貪欲に戦う位置づけが静岡ダービー」と中村は意欲を示す。
横浜F・マリノスから初めての国内移籍となった昨季。始めてのダービーとなった4月1日の清水戦は、FKでの先制アシストを含むチームの全3得点に絡んだ。
「試合が近づくにつれて、静岡の報道の取り上げ方やサポーターの応援、スタジアムの雰囲気に『今日はやらなければ』と思ったことを覚えている。いつもの試合とまるで違った」
昨年10月14日のアウェーでの清水戦では、CKを直接決めてみせた。スコットランド1部セルティック時代にレンジャーズとのグラスゴーダービーを戦った経験もある。宗教的な背景もあり、サポーター同士が激しく熱狂するダービーを経験しているが、静岡ダービーも中村自身を熱くしてくれる一戦だった。
名波浩監督が「自分は(清水のチームカラー)オレンジがちらつくだけでもドキドキする45歳。今回もほんの小さな綻びを出さず、小さな運を拾いたい」と話すように、磐田が名波体制になってからは、今まで以上にチームは静岡ダービーでの必勝を意識している。3月7日のJリーグYBCルヴァンカップ グループステージ開幕戦の清水戦で0-1と敗れた後のチーム内はひどい落ち込みようだった。
「名波監督をはじめ、スタッフに静岡ダービーを経験した人が多い。先輩たちが積み上げてきたものを大事にしたい」と中村が口にするように、これまでとは比にならないほど、静岡ダービーへの熱き思いがチームに浸透しているようだ。
今季の磐田は、2月25日の川崎フロンターレとの開幕戦で0-3と敗れ、最下位スタートとなった。その後も得点力不足に苦しんだが、3月10日のFC東京戦では中村がMFアダイウトンの先制点をアシスト。ウズベキスタン代表のMFムサエフが追加点を挙げ、2-0と快勝すると、その後は公式戦5戦負けなしと息を吹き返した。清水戦でも勝利すれば、上昇気流に乗ることを誰もが確信している。

■負傷者続出も「組織力」で立ち向かう
だが、中村が左大腿肉離れで欠場した広島戦から再び不穏な空気が流れている。広島戦でアダイウトンが右膝前十字靱帯断裂と半月板の損傷で全治6カ月の重傷を負うと、ムサエフも、ウズベキスタン代表として出場した3月27日のモロッコ代表戦で右膝前十字靱帯と半月板を損傷。全治6カ月と診断された。広島戦でJ1初先発を果たし、無失点に貢献したU-21日本代表DF大南拓磨も、同代表のパラグアイ遠征でのU-21ベネズエラ戦で右肩関節亜脱臼で離脱を余儀なくされた。
負傷者の続出にも中村は「アダ(アダイウトン)のプレーは誰もまねできない。いないからこそ、組織的にならなければいけないし、違った引き出しがチームにできる可能性もある。コミュニケーションや意思の疎通を大事にしたいし、それも1つの技術」と前向きな姿勢を貫く。
そんな磐田だが、明るい兆しも見えつつある。これまで決定機を外し続けていたFW川又堅碁が浦和戦で2得点を挙げ、復調をアピールすると、4日に行われたルヴァンカップのヴァンフォーレ甲府戦では、昨年4月に右膝前十字靱帯と半月板を損傷したMF山本康裕が復活弾をマーク。昨年8月に右足腓骨骨折と右足関節靱帯を損傷したMF荒木大吾も途中出場ながら2得点を記録し、浦和戦に続く公式戦2試合連続逆転勝ちにつなげた。
名波監督は「われわれが積み上げてきたものは戦術なんかじゃない。どんなときでもチームが一枚岩になれること」と言い切る。中村は「逆転勝ちというのは聞こえはいいけど、相手に決められて、温度が変わって、名波さんがフォーメーションを変えて…からでは遅い。清水戦は試合への入りを大事にしたい」と気を引き締めた。
中村は勝利へのポイントに「セカンドボールへの反応。攻守の切り替えのスピード」を挙げる。中村は何度も「チーム力」と「組織」のワードを口にしている。チームが機能するために、中村は「選手が規律を守ること」とも話した。2013年にクラブ史上初めてとなるJ2降格を経験。2014年途中に名波監督が就任し、組織がまとまってきたことに、中村は「クラブに対して不満を持った選手がいないように、コツコツと積み上げてきたと思う」と回顧する。
控えの選手にも気にかけ、若手には厳しい言葉も浴びせ、ベテランを尊重する。「ルヴァン杯の甲府戦を見ても、まだまだあんなものじゃないと思える選手がいた。試合を経験して伸びれば、かなりやれる選手がいる。それまではおじさんが頑張るよ」と中村はにやりと笑う。
「だからこそエスパルス戦は、これまでジュビロがコツコツと積み上げてきたものを出せるかがポイントになる」
大型助っ人2人の長期離脱も、ベテラン中村を筆頭に一枚岩となって組織力を前面に押し出すつもりだ。
写真・文=大山雄一郎(静岡新聞社/ジュビロ磐田担当)
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