【独占】リヴァプールGKミニョレが語る「控えとしての役割」…すべての人間が模範とすべきプロ意識/インタビュー

コメント()
Goal
リヴァプールでは控えに甘んじているミニョレ。それでも彼は腐ることも手を抜くこともない。第2GKという難しい対場の中、彼が語る「控えとしての役割」とは。『Goal』独占インタビューでその胸の内を明かしてくれた。

「ゴールキーパーの人生は一瞬にして変わる」

現在リヴァプールでプレーを続けるベルギー代表GKシモン・ミニョレは、自身のキャリアを振り返り、こう語る。

2011年の大みそか。ミニョレは家族とともに家でパーティーを開いていた。所属チームのサンダーランドは、翌日にマンチェスター・シティとの試合を控えていた。しかし、ミニョレには関係なかった。当時アストン・ヴィラに所属していたエミール・ヘスキーとの衝突で、鼻と眼窩を骨折。ケガの回復途中にあったのだ。2カ月間プレーができておらず、顔を保護するマスクをつけてトレーニングするのが精一杯だった。

しかし、時計が深夜0時を告げたとき、突然電話が鳴る。

「『シモン、ホテルに来てくれないか』と言われた」

『Goal』の独占インタビューでそう明かした彼は、「『キーパーが病気になったので、出来る限りでいいから出てくれないか』と言われたんだ」と急遽出場を求められたことを明かしてくれた。そしてこの一戦で、ミニョレに追い風が吹く。

「僕は出場して、無失点に抑えた。試合に勝って、それから僕はサンダーランドで出場機会を増やし、活躍することができたんだ。一瞬にして運命が変わることを知ったよ」

■GKとしての難しさ。控えとしての役割

しかし、ミニョレにとって今は試練のときだ。リヴァプールはチャンピオンズリーグ(CL)の決勝を控え、まさにヨーロッパの主役となっているが、彼自身はそこから取り残されている。レギュラーを外れ、ベンチで試合を見守るしかない立場にいるのだ。グローブをはめ、リヴァプールの背番号1を背負っているのはロリス・カリウスである。

「もちろん、残念だよ。チームの一員として戦いたいからね」。ミニョレも認める。

「だけど、試合に出るには、競争に勝たないといけないんだ。残念ながら、監督の決定を受け入れなければならない。それもフットボールの一部だからだ。たとえプレーできなくても、どんなに苦しくてもね。それはチームとクラブのためで、勝つために必要なことなんだ」

今夏、彼がリヴァプールを去ると予想する人たちが大勢いる。30歳を過ぎ、このまま長く控えに甘んじているべきではない。かといって、諦めたり、やめてしまったり、すねたりするつもりはない。ミニョレは“人生の景色が一瞬にして変わること”を、過去の経験から知っている。

「ゴールキーパーには、他の選手とは違う難しさがある。メンタルを整えて、出番となれば自信を持ってピッチに立たなければならない」

「監督に『3カ月プレーしていないから、準備ができていません』なんて言えないよ。そんなことを言ったらおしまいだ。いつもどおりの、場合によってはいつも以上のトレーニングをして、何かあったときのために100%の準備をしておかなければならない」

「僕としては、控え選手にはベンチや更衣室で、チームメイトを鼓舞する役割があると思っている。試合に出たいのに、そういう役割を果たさなければならないのは辛いことでもある。だけど、チームの雰囲気を悪くしてはいけないし、プレーする仲間を嫌な気分にさせてはいけない」

「僕は僕のすべきことに集中するだけだ。トレーニングで頑張るしかない。そうすることで、みんなが集中して試合に臨めて、少しでもチームの役に立てることを望んでいる」

Simon Mignolet interview

■「僕らはチーム。目標はひとつだ」

「(正守護神を務める)カリウスを嫌いになることはないのか」

こんな質問に、ミニョレは声を上げて笑った。昨シーズン、一時はドイツ人GKからポジションを奪い返した彼だったが、2018年に入ってからピッチでプレーしたのはわずか2試合のみ。今季は逆の立場となってしまった。

しかし、リヴァプールGK陣は良い関係を保っている。それぞれが自分に合ったトレーニングの流儀を持ちつつ、数カ月に一度は集まって共通理解を図ろうとしているのだ。

ミニョレは、達観しているように「人生とはそういうものさ」と言い放つ。「外から見れば、僕らはライバル関係にある。だけど、僕らはチームメイトなんだ。目標はひとつなんだよ」とチームが団結していることを強調する。

「ウォーディ(ダニー・ウォード)が、シーズン初めにこう言ったんだ。『僕らの役目は、リヴァプールに最高のゴールキーパーを提供することだ』ってね。つまり、1人や2人、良いゴールキーパーがいればいいんじゃない。全員が最高のキーパーでなければならないんだ。一生懸命トレーニングして、お互いを刺激し合わなければそれはできない。監督が誰を選ぶかは、その後のことだ」

とは言え、チームメイトがCLで活躍するのを見るのは、気分の良いものであるはずがない。それでも、ミニョレは今季の躍進に重要な役割を果たしてきた。

「自分の役割を果たせていると感じている。昨シーズンの冬には、ベスト4に進出できるなんて思っていなかった。どの試合もハードな戦いをしなければならず、厳しいものだった」

「アウェイのワトフォード戦、ストーク・シテイ戦、ウェスト・ブロムウィッチ戦のことをよく覚えている。勝たなければならない試合で、僕が先発フル出場した」

「その後、(CLの予選ラウンドで)ホッフェンハイムと戦った。タフな試合だったね。アウェイの試合で、最初の30分は何が起こってもおかしくなかった。僕はPKをセーブし、リヴァプールは相手の猛攻に耐えた。その結果、僕らは勝った。それ以降、僕らは順調に勝ちつづけている」

Simon Mignolet on his Liverpool situation

ミニョレの言うとおりだ。リヴァプールは準決勝でローマを下し、26日に王者レアル・マドリーとの決勝戦に臨む。

もちろん、ベンチで試合を見ているというのは、理想的な状況ではない。それでも、少なくともミニョレは、夢を楽しむ特等席だと感じている。

「CLでの戦いが始まって、自分たちは勝ち進んでいけるとわかった。僕らはタイトルに挑むチーム。真っ向勝負で、栄冠を勝ち取る資格があることを示してきた」

「最初から、どんな相手でも倒せるし、どんな相手でも恐れる必要はないと言ってきた。リヴァプールには自慢の攻撃力がある。正面からぶつかり、どんな試合でも絶好のチャンスを作りだせる。自分たちの実力を示してきた」

「ここまできたら、優勝したいと思うのが当然だよね」

■「3トップはみんな一瞬一瞬を楽しんでいる」

言うまでもなく、レッズ(リヴァプールの愛称)の成功の源は3トップだ。サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの破壊力は恐ろしく、サラー1人でも44得点と爆発的な攻撃力は衰える気配がない。

「サラーが加入してきたとき、すごい選手だということはみんなわかっていた。でも、こんなに得点すると思った人は多くなかった。しかも、ウィングでね!」と、ミニョレは微笑んだ。

「本当に信じられないよ、僕には桁違いに思える。なにより、サラーのポジションはウィングなのに、加入したばかりであんなにたくさんのゴールを決めている。それに、ボールのキープ力も素晴らしい。身長が高いわけでもないのに、すごいことだよ。足元が強くて、ボールを奪うことは不可能だ。ゴールを背にしていても関係ない。だから、ディフェンス陣もサラーに安心してパスを出せて、前へあがっていくことができるんだ」

「彼は運動量もすごい。ボールのあるところに必ずいるね。ロビー(フィルミーノの愛称)とサディオも同じだ。守備でも攻撃でも、大事な選手たちだよ」

Mohamed Salah scores Liverpool Roma

さらにミニョレは、こう付け加えた。「この3人はフットボールが大好きで、ハードワークが好きだ。試合中のプレーを見ていればわかるし、トレーニングにおいてもそうだね」

「スーパースターというと、時にトレーニングでは手を抜いているんじゃないかと思われることがある。だけど、この3人に関してはまったく反対だ。彼らは一瞬一瞬を楽しんでいて、ゴールを決めることに喜びを感じている。練習でも試合でも同じだ。トレーニングでもいつも100%の力を出している」

「毎日彼らの相手をするのは楽しいだけじゃないけど、僕にとっては大きなチャレンジだ。ああいう選手たちからは、多くを学ぶことができる」

ディフェンスにおいても、進歩があった。フィルジル・ファン・ダイクの加入が事態を好転された。

「彼は待ったかいがあったよ!」と、ミニョレは言う。「彼はリーダーだ。チームを組織立てて動かしたり、押し上げたりできるし、背が高いからハイボールに強い。危険を察知して、危険の芽を摘むことができるんだ。どんな時でもね!」

■すべての人間の模範となるプロ意識

今後のことは、予測が難しい。ミニョレは、クラブでも代表でも、目の前のビックゲームに集中している。CL決勝とワールドカップが待っているのだ。どちらの試合でも彼はベンチを温めているかもしれないが、事態が変わる可能性もある。その時のために、ミニョレは準備を怠らないと言う。

では、その先は?

「30歳になっても、フットボールをやりたい気持ちは変わらない」と、ミニョレは言う。「それ以外のことは言うだけ無駄だよ。ベンチに座っているのは好きじゃない。プレーしているときより、ずっとナーバスになるよ!」

「でも、僕は気にしない。もちろん試合には出たいけれど、僕は3年契約をしていて、リヴァプールの一員だ。いま僕が考えているのは、トレーニングのこと、大きな試合が近づいていること、そしてベルギー代表としてのW杯のことだけだ」

ミニョレが本心を語っているのは間違いない。バックアップ要員のゴールキーパーの人生というのは微妙なものだ。だが、さらに良い人生にすることはできる。もはや華々しい活躍はできないかもしれない。それでも、ミニョレのプロ意識は、世界中の選手、そしてすべての人間の模範となるものだろう。

インタビュー・文=ニール・ジョーンズ/Neil Jones

▶サッカー観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【DAZN関連記事】
DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)に登録・視聴する方法とは?加入・契約の仕方をまとめてみた
DAZNの番組表は?サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは?
野球、F1、バスケも楽しみたい!DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ

閉じる