熱狂する開催国・ロシアを下すも疲労困憊のクロアチア…最大の勝者はイングランドだ【W杯特別コラム】

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ズラトコ・ダリッチ監督率いるクロアチアが2度目のPK戦を制してロシア・ワールドカップ準決勝へ。だがそのステージでは、スリーライオンズが舌なめずりして待ちうける。『Goal』では特別コラム第16弾として、準決勝イングランド戦に臨むクロアチアの準々決勝を振り返る。

クロアチア対ロシアの一戦は、勝者が1チームだけではない実に特別な試合であった。

もちろん、ズラトコ・ダリッチ監督率いるクロアチアがPK戦を4対3で制して準決勝進出を決め、1998年のフランス大会における、祖国の英雄たちに匹敵する夢を実現したことは素晴らしい。だが、開催国ロシアの熱狂的なファンは、素晴らしい雰囲気を大会にもたらしてくれており、ロシアにまたしても番狂わせの勝利を起こさせるのではないかと期待させてくれた。

そして、疲労困憊でケガ人続出のクロアチアを水曜日にモスクワでの準決勝で待ち受けるのはイングランドである。ルカ・モドリッチと仲間たちは、ガレス・サウスゲート監督率いるイングランドが、モスクワのルジニキ・スタジアムで対戦するだろうと予想していた相手ではなかったかもしれない。だが、フィシュト・オリンピックスタジアムでの試合がPK戦にもつれこんだことは、サウスゲート監督にとって間違いなく理想的な結果であったろう。

それどころか、クロアチアはシメ・ヴルサリコが負傷退場を余儀なくされ、ダニエル・スバシッチはハムストリングとおぼしきケガで手当てを受けおり、意気盛んなのはマリオ・マンジュキッチだけだった。ソチの騒然とした雰囲気における負けたら終わりのサッカーは、精神的にも肉体的にも疲れる夜であり、ただ見ているだけで疲労するほどだった。それでも、本当に印象深く、最初から最後まで興奮する試合であった。

■序盤はロシアペース

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キックオフ前のロシアの国家斉唱の際の演出は、大いに熱のこもったものであった。それにも増して開催国・ロシアの試合の入り方は、さらに印象的であった。赤のユニフォームを着た選手たちは、最初のホイッスルが鳴ると同時に、クロアチアに襲いかかった。クロアチアはうろたえ、少し怒りも見せていた。イヴァン・ラキティッチがサンドロ・リッチ主審に、何度倒されればファールをとってくれるんだと、食ってかかった。

だが、暴力的なプレーだったわけではない。試合開始から30分間はロシアが優勢だった。ポゼッションでは下回ったものの、何度もクロアチアサイドに進入した。事実、ロシアのゲームプランがシンプルでありながらも効果的であったことは否定できない。ボールを奪うやいなや、できるだけ速く前線のアルテム・ジューバに当て、そこから攻撃するのである。

そうしてロシアは先制点を勝ち取った。今大会ブレークした選手のひとり、デニス・チェリシェフが中盤でボールを拾うと、ドリブル突破。チェリシェフはジューバとのパス交換でボールを受けると、クロアチアのゴールの上隅へ、カーブのかかったシュートを決めた。このワンツーは1週間前、まさに同じスタジアムでルイス・スアレスとエディンソン・カバーニのコンビが見せたものよりも、はるかに素晴らしいものだったと言っていいだろう。

■クロアチアが同点に追いつくも

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この試合、クロアチアは途方に暮れていた。エースのモドリッチが精彩を欠き、マルセロ・ブロゾビッチが先発を外れていたためラキティッチが自陣深くでプレーすることを強いられ、マンジュキッチが孤立した。唯一アンテ・レビッチだけが脅威となるような攻撃を仕掛けていたが、クロアチアはロシアの強烈で勤勉な攻撃の波の前に、今まさに一掃されそうになっていたのである。

しかしながら、クロアチアは何もないところから魔法のように同点に追いつく。イヴァン・ペリシッチのフォローで自由になったマンジュキッチが上げたクロスを、アンドレイ・クラマリッチがヘッドで決めたのである。これが、枠にいった最初のシュートだった。

後半、クロアチアは勝ち越しを狙って奮闘したが、主に中盤がアンバランスだったため、それはかなわなかった。60分過ぎ、ペナルティエリア内にいたペリシッチへボールが渡って絶好のチャンスとなったが、インテルのウィングが放った低いドライブのかかったシュートは、左のポストに弾かれた。

このプレーの直後、ペリシッチはブロゾビッチと交代となった。ダリッチ監督は遅ればせながら自身の采配ミスを悟り、ラキティッチをもっと前目のポジションから攻撃させることで、より影響力を発揮させようとしたのである。それでも、モドリッチを前にあげたところで、他の誰もペースを変えることができなかった。消耗戦となった激しい試合の影響は大きかったのである。

クロアチアのディフェンスは、相変わらずバラバラだった。ロシアのジューバは、自分のところにボールが来るたびにクロアチアを混乱させつづけた。ストライカーのジューバは、試合残り時間10分の時点で交代するまで、ロシアの放った7本のシュートのうち5本に関係していた。

■準決勝進出のクロアチアを待つのは…

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ジューバが交代しても、開催国ロシアの観衆の興奮は静まらなかった。逆に、正規の試合時間の残り10分では、絶対に勝てるという強い信念が生まれていたようだった。クロアチアのゴールキーパーであるスバシッチがケガで治療を受けると、ロシアの希望はさらに高まった。デンマークとのPK戦でヒーローとなったスバシッチは、延長戦が始まる前、ハムストリングの故障とみられるケガの治療を懸命に受けていたのである。

それでもスバシッチは戦いつづけ、クロアチアもファイトした。延長前半、ドマゴイ・ヴィダのヘッドで勝ち越したが、ロシアもマリオ・フェルナンデスがクロアチアのファールの代償として同点ゴールを挙げた。

この試合、クロアチアは体力も気力も完全に使い果たしていたが、自分たちを奮い立たせ、PK戦に勝利した。スバシッチのファインセーブ、フェルナンデスの素晴らしいシュート、モドリッチの幸運、ラキティッチの人を食ったようなスポットキックのおかげである。

この結果、モスクワでの試合に進出したのはロシアではなくクロアチアとなった。だが、待ち受けるのはクロアチアよりも体力が残っていて、フレッシュなイングランドだ。この夜、誰よりも偉大な勝者だったのは、イングランドに間違いない!

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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