【森岡隆三が見る】世界を経験できるのは国内か国外か。W杯から見える国々の背景

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ロシア・ワールドカップ準決勝、イングランドとクロアチアの一戦は、延長戦の結果、クロアチアが決勝進出を決めた。前ガイナーレ鳥取監督でサッカー解説者の森岡隆三氏は、戦術面とはまた、別な視点で両者の違いを捉えている。

■環境が作り上げたチーム、イングランド

イングランドは、フランスに次いで平均年齢が2番目に若いチームです。そして選手全員、プレミアリーグのクラブに所属しています。まさに「環境が作り上げたチーム」だと言えるでしょう。

プレミアリーグは全世界から才能あふれる選手が集まる世界最高峰のリーグ。クラブによっては、どこの国のリーグか分からないほど多国籍であり、オイルマネー、アジアマネー、巨額のお金が動いています。

選手だけではありません。今や指導者も世界のサッカー界を、時代を引っ張っていく人物ばかりです。

マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ(スペイン人)。マンチェスター・ユナイテッドのジョゼ・モウリーニョ(ポルトガル人)。トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノはアルゼンチン人ですし、リヴァプールのユルゲン・クロップはドイツ人。2017-18シーズンのトップ4の監督は全員イングランド人ではありません。(1位マンチェスター・シティ、2位マンチェスター・ユナイテッド、3位トッテナム、4位リヴァプール)。

イングランド代表の若い選手たちは、その中で育ち、勝ち抜いてきた選手たち。常日頃から厳しい環境で揉まれて勝ち抜いて、出場をつかまなくてはいけない。

そういった日常から世界と揉まれている中で、例えばマンチェスター・シティのグアルディオラのエッセンスを受けたDFのジョン・ストーンズのような選手も生まれてきています。

イングランドDFの選手の代名詞である「強い、高い、速い」だけではなく「巧い」も兼ね備えた選手。そういう意味で、今のイングランド代表は、世界サッカーをリードするほどに、高まり続ける自国の洗練された環境が作り上げたチームだと思います。

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▲ストーンズ(左)はマンチェスター・シティでペップの薫陶を受ける。右はバルセロナでプレーするラキティッチ

■環境に適応してきたチーム、クロアチア

クロアチアは代表選手23名のうち、自国リーグでやっている選手は2名のみ。先発メンバーは全員が国外でプレーしています。

クロアチアは旧ユーゴスラビアから独立した国です。そこには私たちには想像もできない複雑な政治的背景があり、今の選手たちは「環境の変化に適応して」強くなってきたとも言えます。

ダーウィンの進化論で、「この世に生き残るものは、最も力の強いものでなく、最も頭の良いものでもない、変化に対応できる生きものだ。」という言葉がありますが、クロアチアの選手はまさにそうなのではないでしょうか。今回の日本代表の選手たちにも同じことが言えるのですが、どこにいってもその環境、変化に対応、適応して、自身を成長させてきた強さを感じました。

イングランドは国内の環境で鍛えられてきた、かたやクロアチアは国外で鍛えられてきた、という背景の対比も際立っていました。

どちらが良い悪いではなく、どちらが日本サッカーにとって良いモデルケースかと考えると、私の答えは両方です。世界の1流リーグで活躍する選手が増えること、そしてJリーグのレベルを上げていくこと、これらは常に日本サッカー界の未来、さらなる高みに向けて、両輪で考えていくべきものだと思います。

■3試合連続延長戦を戦ってきた疲労は?

クロアチアは3試合で連続延長戦を闘いました。合計90分、1試合分です。W杯の歴史で一度もなかったこと。決勝までの時間は、フランスより1日短い。さらにフランスは若いチームということもあり、お互いに決勝までにどれだけ疲労を回復させられるか、という点では、ややフランスに分があると言えるでしょう。

「どちらが生き残るか」という点で言うと、決勝トーナメント3試合はもちろん、国の背景を含め、困難を乗り越えて適応し続け、初めて決勝に臨むクロアチアのさらなる進化を期待したい思いもあります。

しかし「背景」という面で言えば、フランスはフランスで複雑です。「移民の国」という側面があります。

フランス代表で初の黒人主将はマリウス・トレゾール。1978年アルゼンチン大会、1982年スペイン大会の2大会に出場しています。当時は黒人の選手が代表に入るのは珍しいことでした。しかも82年大会は準々決勝の西ドイツ戦でPK戦を闘っていますが、トレゾールはPKを蹴れなかった。フランスサッカー界の歴史の中で大きな出来事でした。今や黒人選手は当たり前になっていますが…。

1998年自国開催はアルジェリア系移民の子孫であるジネディーヌ・ジダンの活躍もあり優勝。しかし、その後多くのタレントを擁し、優勝候補だと言われながらも勝てない時代が続きました。

その最大の要因は、「チームが一つにまとまらないこと」とされてきました。

しかし、今大会代表になって、ディディエ・デシャン監督(98年優勝チームの主将)が若いタレントたちを本当にうまくまとめていて、決勝にたどり着いただけでなく、ここにきてなお伸び代を感じさせるものがあります。同じくチームのまとまりで言えば、勝るとも劣らないクロアチアとの決勝は楽しみ以外の何物でもありません。

約1カ月にわたり繰り広げられてきた熱い戦いも、残すは2試合のみ。ワールドカップは、サッカー世界一の国を決める大会、そしてサッカーを通して、世界を覗く、世界とつながる、そんなイベントでもあります。

世界最大のコミュニケーションツールであり、世界中の人の心を豊かにする、サッカーという最高の『芸術』を、最後まで味わい尽くしたいと思います。

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