果たしてボアテングは本当に不調なのか?世界最高のDFの周辺で起きたこと

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9月28日のヘルタ・ベルリン戦の後、ジェローム・ボアテングは激しい批判にさらされた。だが、これをもってシーズン全体を測る物差しとするなら、大勢に流されすぎるというものだろう。

ジェローム・ボアテングがクラブ内での批判に始まって、メディアによるバッシングにさらされ始めたのは何もここ最近だけの話ではない。実を言うと、2年ほど前からその布石は置かれていた。

2016年11月、バイエルン・ミュンヘンはチャンピオンズリーグのグループステージで格下のロストフに2-3で敗北を喫した。これを受けてバイエルンのCEOカール=ハインツ・ルンメニゲ氏は、「もう一度地に足の着いた状態に立ち返るように」と苦言を呈したのだ。“地に足を着けること”――これはボアテングを意中に置いた発言であるだろう。だが、同時にバイエルンというチーム全体に向けた発言でもあった。

当時、メディアのさらし者にされたボアテングは、たとえば『ビルト』紙から “ボアテングは本当に傑出したプレーヤーなのか” と問われることになった。すでにその1年前にも、『シュピーゲル』誌からチャンピオンズリーグ・ポルト戦における1-3での敗北の “シンボル“ として扱われたことがある。だが、この二度の苦境にはさまれた期間に、ボアテングはドイツの年間最優秀選手に選ばれてもいる。

そして、今度は2018年9月のブンデスリーガ、ヘルタ・ベルリン戦だ。まずボアテングが自陣のペナルティーエリアで、必要でもなければ技術的にも目を背けたくなるようなスライディングタックルを仕掛け、敵にペナルティーキックを許して失点を招いた。いわば “地に足を着ける” が誤って解釈されたような結果になってしまったのだ。ベルリンのドゥダが2点目を入れてバイエルンの0-2での敗北が決定的になった際も、ボアテングの寄せは不十分で失点に絡んだと言っても差し支えはないだろう。さらに、ゲームの組み立てにおいてもいい働きができず、自陣から数限りなく繰り出した斜めのパスもことごとく相手ボールへと変わった。

Hertha BSC FC Bayern

その結果、また改めてメディアや専門家の叱責を浴びることになった。フランスメディア『ユーロスポーツ』の解説者マティアス・ザマーは、次のように警告を発した。

「ボアテングがあそこでスライディングをしかけるのは間違っている。まったく不必要なスライディングだ。重要なのは経験とクレバーさだ」

かつてバイエルンでSDを務めたザマーがさらに付け加えてこう語る。「機会をつかむにも素早く反応するにも、どちらの場合もほんの少し欠けているところがある。タイミングとスピードが万全とは言えない。ただし、並の選手であればここまでは言わないが、ボアテングはワールドクラスであり、そうでなくてはならないんだ」。

さらにニコ・コバチ監督も、ボアテングを名指しすることはなかったものの、思わず批判の言葉が口をついて出た。

「我々は2失点を許してしまったが、どちらも、本来なら生まれるはずのないものだ。ペナルティーキックによる最初の失点は、よりあってはならないものであった」

■バイエルンで手堅いシーズンを送るボアテング

確かにこのベルリン戦に関しては、試合後の『ビルト』紙のようにボアテングに最低の評価を下すのも無理からぬことだった。だが、まだ始まったばかりのシーズン全体を通して見れば、ボアテングが全般的に不調だと判定を下すのは勇み足というものだろう。バイエルンが負けを喫するというまれな結果を前にして、とっさにそういう悲観的な見方をしたくなるにしても、だ。

移籍市場が終わる直前に様々な理由からパリ・サンジェルマン行きが立ち消えになったが、今季はまったく手堅いシーズンを送っている。1対1の戦い(ツヴァイカンプフ)での勝率69%という数字は、彼がこれまでバイエルンで記録してきた数字の平均値を7%上回っている。チーム内ではハビ・マルティネスに次ぐ2位の勝率であり、センターバックのポジションでのライバルであるマッツ・フンメルスやニクラス・ジューレをしのぐものである。クリアの数に関しても、決してチームメイトに後れを取っているわけではない。ジューレ、フンメルス、ボアテングの3人それぞれ13本ずつで、バイエルンのメンバー全員のクリア数のほとんどを記録している。

しばしば統計上のありのままの数字と主観的印象とは大きく食い違うことがあり、これらの数字によって批評家たちを納得させることはできないだろう。繰り返し耳に入って来るのは、ボアテングの最盛期はとっくの昔に過ぎ去ってしまった、あるいは、――モデル業に手を出したり、自分で雑誌を出したり、ラッパーたちと付き合ったり、ボアテングが多彩な趣味を持っているため――いいかげんに少しはフットボールに集中するべきだという意見である。それゆえ、ヘルタ戦のような試合をすれば、批判だけをしたい人々の思う壺なのである。

Jerome Boateng

冒頭で述べた2年前のルンメニゲの訓戒の後は特に、何かにつけそういう趣旨の非難がボアテングについて回り、脆弱なパフォーマンスを見せれば、理由としてその手の非難が再三にわたって持ち出されてきた。それらを払拭しようと、ついにボアテングは『南ドイツ新聞』とのインタビューで次のように抗弁したが、これは傾聴に値するものである。

「すさまじく僕の邪魔になったのは、W杯後に出てきた非難だ。あれはほとんどお笑い草だったよ。韓国戦(出場停止で欠場)の時にスタンドでイヤリングをつけてサングラスをかけていた。日差しが強かったからね。でもそういう理由で、僕に集中が足りないって言われたんだ」

そして、続けて「(ワールドカップを制した)2014年にも僕はサングラスをかけていたし、イヤリングもつけていた。だけど、それについて何か書かれたことはなかったよ」とも語った。

「僕がちゃんとフットボールに集中していないと言われているけれど、もし僕がどんなふうに一日を過ごしているのか少しでも知っていたら、そんなことは簡単に言えるものじゃないよ。僕は、チームの練習がある時には、その前に必ず自分でプライベートな練習もやるんだ。僕は、自分がトッププロにふさわしい生活を送っていると自信を持って言うことができる」

ドイツ代表として75キャップを持つボアテングは、不必要な批判に対してしっかりと自分の意思を持って応えたのだった。

いつもはいくらかシャイな、あるいは慎重な印象を与えるボアテングが、普段と違う様子を見せた瞬間だった。事実がその通りでなかったら、今夏はルンメニゲが放出する意向を極めて明確に伝えていたにもかかわらず、指揮官がボアテングの残留を求めて戦うことはなかっただろう。

■「ニコは全面的に信頼してくれている」

Niko Kovac Bayern Munchen

結局、コバチは自らの意志を貫き通した。それは、ボアテングが明かしたように、トレーニングキャンプで二人が “良好な話し合い”を持つことができたせいでもあった。

「監督は、僕を全面的に信頼していると言った。調子のいい時の僕は世界最高のディフェンダーの一人だと言ってくれたんだ。世界一のCBとまではいかなくてもね。それに、僕がまた常にいいコンディションを維持できるようになって、以前の絶好調時のようなプレーを見せられるようになることを彼は目指してくれているんだ」

最も調子のいい時期のボアテングは、素晴らしい守備力に加えて、特に試合の組み立てにおいて輝かしい働きを見せる。敵陣に向かって次々に正確なロングボールを送り、ゴールを演出する。一方で、現在のところヘルタ戦だけに限らず、今のボアテングにはそういった力がやや失われている。

にもかかわらず監督は、ボアテングを擁護する。ヘルタ戦のミスに関して指摘を受けたコバチは次のように答えている。

「人の記憶に刻みこまれるのは、普通、最後に見たものだというのはよくわかっている。だがわたしは、少し長めにフィルムを巻き戻して、どこで間違いが始まったかを探すのが好きなんだ。間違いをたった一人の選手のせいにするのは、あまりに安易だと思うね」

オランダの王者アヤックスとの対戦においてはほぼ確実に、ヘルタ戦で傾いてしまった“自らの絵”をまっすぐに直す機会を手にした。最高の出来ではなかったにせよ、本物の危機も憶測の危機もすべて乗り越えたと言っていい。今後、期待に応える姿を毎週のように見られるだろう。

文=デニス・メルツァー/Dennis Melzer

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