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昨季二冠のC大阪に何が起きているのか?J1制覇へ必要なのは“守備の再構築”と“したたかな戦い”

セレッソ大阪は、7月28日の明治安田生命J1リーグ第18節でベガルタ仙台と2-2のドローで終えた。この試合には日本代表の新監督に就任した森保一氏が初の視察に赴くなど、様々な面で注目度の高い一戦となった。

18日のJ1再開後、未勝利と苦境に陥っているC大阪は、開始11分に丸橋祐介が直接FKを沈めて、幸先良く先制点を奪取した。JリーグYBCルヴァンカップと天皇杯の二冠を達成した昨季は、この1点をしっかりと守り切り、追加点を奪うほどの試合巧者ぶりを見せつけていた。しかし、ここ最近の彼らは守備の綻びが目立つ。今回も30分に左からのクロスに仙台FW西村拓真に飛び込まれ、すぐさま同点に追いつかれてしまった。

後半も思うように攻めの形を作れず、尹晶煥監督は68分、高木俊幸と福満隆貴を下げてケガから復帰した柿谷曜一朗と、水沼宏太を投入。両サイドのテコ入れを図り、勝負に出たものの、残り6分となった終盤にまたも左サイドから崩されて2点目を献上。絶体絶命の危機に瀕することになる。

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指揮官は、25日の鹿島アントラーズ戦でJ1デビューさせた大卒2年目の山内寛史を投入して最後の勝負を懸けたが、時間は刻一刻と過ぎていく。ホーム・仙台の1点リードで終了するかと思われた後半アディショナルタイム5分、C大阪が意地を見せる。柿谷が左サイドを崩すと、丸橋がPA内で華麗なターンを見せて相手DFを翻弄。左足で放ったシュートは相手に当たって入り、起死回生の同点弾が生まれた。結局、試合は2-2のドロー決着。C大阪にしてみれば、ゼロだった勝ち点を土壇場で1ポイント奪取する形となった。こういった負け試合をそのまま落とすのと引き分けるのでは今後の流れも大きく変わってくるはず。この1ポイントは、チームにとって大きなものとなったに違いない。

■白星を挙げられない最大の要因

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2分2敗と未勝利で終わった7月を振り返ってみると、まず気になるのが失点の多さだ。リーグ再開初戦となった18日の清水エスパルス戦の3失点に始まり、22日の浦和レッズ戦で1失点、25日の鹿島戦で2失点、そして今回の仙台戦も2失点と4試合で合計8失点も喫している。総失点で見ると首位を走るサンフレッチェ広島(失点12)より10点も多い。上位5位の中ではワーストで、それが勝ち星から見放されている最大の要因と言ってもいい。

尹体制移行後のC大阪は、1点を確実に守り切る堅守が大きな強みだった。しかし、今季はその重要なベースが崩壊しており、1点を勝ち切るしたたかな戦い方を展開することができていない。それは、選手も理解しており、キャプテンの山口蛍も今の課題は“集中力の欠如”であると語っている。

「浦和戦でもCKじゃないと主張して、その判定が覆らず、集中力が切れたところを失点している。そういう時もいかにして集中して守るかというところが課題」

課題が一向に修正に向かないのは、夏場の公式戦12連戦を戦う中で、ターンオーバー制を強いられるため、それが強固な守備組織構築の足かせになっている部分がある。ただ、同じメンバーで超過密日程を乗り切れないのは確かである。唯一の解決方法として挙げられるのは『総合力を高めていくこと』。これに尽きるだろう。コンスタントにピッチに立ち続けている守護神のキム・ジンヒョン、最終ラインのマテイ・ヨニッチ、丸橋、山口らが先頭に立って、総合力の向上と連携の構築を進めていく必要がある。

■後半戦浮上のキーマンは?

2018-08-01-cerezo01.jpg©J.LEAGUE

そのうえで、攻撃に厚みを加えることが肝要だ。清水戦で清武弘嗣が再び負傷してしまったことで、攻めのリズムが思うように作れなくなったのは大きな痛手だが、今回の仙台戦で柿谷が復帰。エースナンバー8がいきなり2点目をお膳立てしたことは、未勝利が続く中でも明るい兆しであるだろう。

「曜一朗君がいるだけで攻撃陣の雰囲気がガラッと変わる」と山口も語っているだけに、彼の存在は非常に心強いものがある。今季はここまでJ1で4ゴールを挙げている柿谷だが、C大阪の前線の中核を担う以上、得点を量産することはノルマだ。ここから研ぎ澄まされたゴール感覚と、見るものを魅了する華麗なテクニックで徐々に存在感を発揮していくことが求められる。

7月の4試合で無得点に終わった杉本健勇も柿谷同様、後半戦再浮上のキーマンに挙げられる。仙台戦でも前半にクロスバーに当てた決定的な場面があったが、このシーンに象徴されるように、あと一歩が足りず、足踏み状態を余儀なくされている。

「ハッキリ言って去年はイケイケと言うか、『取るぞ』という気持ちと勢いだけで取れていた。でも今はチームも勝ててないし、自分も点が取れてない。正直、葛藤はあります。今はゴール前の冷静な判断が非常に大事になると自分でも感じているので、そこを意識しながら現状を打開したい。そろそろ本来の力を見せれるのではないかと思います」

自らに言い聞かせるようにそう口にした杉本。点取り屋というのは、何か一つのきっかけで一気に流れに乗れるもの。7月の杉本はそれをつかみきれなかったが、8月以降もまだまだ連戦は続く。その中でチャンスを確実に仕留め、ストライカーに求められるゴールを量産することができれば、チームの停滞感を一気に打破する起爆剤となれるだろう。

18試合を終えた時点で、C大阪の勝ち点は『28』。すぐ後ろにつける北海道コンサドーレ札幌が1試合未消化のため暫定5位という位置だ。広島との勝ち点差は『13』に開いており、悲願のリーグタイトル獲得は困難な状況になりつつあるが、「まだ諦めている選手は1人もいない」と杉本も語気を強める。

確かに残り16試合で取りこぼしをせず、勝ち点を確実に積み上げていくことができれば、“ミラクル”を起こせないわけではない。しかし、その“ミラクル”を実現するには、昨季の川崎フロンターレのように、後半戦の15試合を無敗で駆け抜けるほどの勢いが必要だ。

8月初旬も1日にヴィッセル神戸戦、5日のサガン鳥栖戦と難しいゲームが続く。ここでとにかく白星を手にすること。彼らには昨季二冠を達成した意地とプライドがある。タイトルへの飽くなき挑戦はいよいよここから本番。昨季に見せたしたたかな戦いの再現が今こそ求められる。

文=元川悦子

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