2018-07-01-JAPAN

日本代表を見守る青いダルマ。チームとサポーターをつなぐ絆の物語

日本代表を見守る青いダルマがある。

チームの食事会場に、選手バスの一番前に、そして試合会場のロッカールームの真ん中に。左目だけが黒く塗られた青いダルマがいつも置かれている。

これは6月12日にオーストリアのインスブルックで行われたパラグアイ戦の試合後、いつも現地で日本代表を応援してきたサポーターを代表する形で、福森正也さんからキャプテンの長谷部誠へと手渡されたものだ。そこにはワールドカップでの健闘と活躍への期待が込められており、長谷部はその場で左目を黒く塗ると、自らの手でロッカールームへと持ち帰った。その後、青いダルマは代表スタッフの協力もあって、常に日本代表チームと行動をともにすることになる。

前回のブラジル大会前は、日本サッカー協会のエンブレムでもある「八咫烏」が祀られた和歌山県の熊野本宮大社で購入したお守りや、
メッセージ入りのオリジナルマフラーを選手・スタッフ全員に渡したそうだが、今回はロシアで戦うチーム全体に青いダルマを贈った形だ。

福森さんがそこに込めた想いを明かす。

「少しでもチームとスタンドがつながるようなもので、日本らしいものを渡したかった。ダルマは何度転んでも立ち上がる。ブラジル大会で悔しい思いをして、今回も難しい状況にあったけど、何があっても立ち上がって戦ってほしいという願掛けの意味もありました」

同じく長谷部が左だけ目入れした青いダルマが、福森さんの手元にもある。まさにスタンドとチームをつなぐアイテムだ。

この期待に応えるかのように日本代表はグループステージを突破。選手たちが自主的に、そして積極的にコミュニケーションを取って対応力を身に付け、戦前の予想を大きく覆す形でベスト16行きの切符を勝ち取った。

チームは開幕前に掲げた決勝トーナメント進出という目標を達成した。では、最終的に目入れをするタイミングはいつになるのか。

「もちろん最低限の目標は達成したし、もっと上を目指しているけど、個人的にはもう目を入れていいと思えるくらい。チームは本当に頑張ってくれているし、すごく感謝しています」(福森さん)

一方、チーム側はどうなのだろう。ポーランド戦を終えた直後のミックスゾーンの端でメディア対応を終えた長谷部に声を掛け、「一つだけ」と前置きした上で同じ質問をぶつけてみた。

「そうですね。これは個人的な意見ですけど、やっぱり自分たちがまだ到達していないベスト8かなと」

困難を乗り越えるためのすり合わせも、選手がお互いに求め合う声も、西野朗監督の決断も。この青いダルマはすべてを聞いてきた。そして新しい歴史を作ろうとするチームを見続けてきた。

何度倒れても起き上がる――。まさに西野ジャパンを象徴するような存在と言っていいだろう。

7月2日、日本代表はロストフ・ナ・ドヌの地でいよいよベルギーとの歴史的な大一番に向かう。

強い決意と覚悟で臨むチームを、サポーターの願いが込められた青いダルマが見守っている。そしてゴール裏スタンドでは、もう一つの青いダルマがサポーターと一緒に戦っている。どちらもその右目が黒く塗られることを心待ちにしながら――。

文=青山知雄

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