挫折を乗り越えロシアへ。完全復活の大島僚太が日本代表に欠かせない理由

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©Getty Images
川崎フロンターレで10番を背負う大島僚太が、ロシアW杯に臨む日本代表メンバーに名を連ねた。挫折を乗り越え心身ともにたくましくなった天才パサーが今の代表に欠かせない理由とは?

■二度のケガを教訓に得た自信

技術は高いが、ケガがちで、おとなしい。

川崎フロンターレMFに大島僚太に抱くイメージは、決してポジティブなものではなかっただろう。

初めて日本代表に招集された際、当時のヴァイッド・ハリルホジッチ監督に、「大島は話さないし、挨拶もしに来ない。それではダメ」と、名指しに批判されたことで、気弱でおとなしい青年のレッテルを張られてしまった。

一方、昨年末のE-1選手権の中国戦では、スタメンとしてピッチに立ちながら、わずか30分で負傷交代。さらに今年3月に行われた欧州遠征のマリ戦でも、34分に再びケガのため、早期交代の憂き目にあった。

振り返れば代表デビュー戦となった2016年のロシア・ワールドカップアジア最終予選、UAE戦でスタメンに抜擢されるも、目立ったパフォーマンスを示せず、チームも1-2と逆転負け。重圧のかかる一戦で、経験のない選手を起用したことでハリルホジッチ監督に非難が集まったが、それは間接的に大島のプレーに対する批判の声でもあった。

10番を託された2016年以降、中村憲剛をも凌駕する存在感を放ち、川崎フロンターレの中心選手に成長を遂げた大島だった。昨季にはチームを史上初のリーグ制覇に導くなど、Jリーグでは圧巻のプレー。しかしながら、日本代表との相性は決していいとは言えなかった。期待値は高いが、不安も大きい。それが日本代表における大島の評価だった。

ハリルホジッチ監督の後を継いだ西野朗監督も、大島に対しては半信半疑の想いを抱いていたのではないか。技術の高さに疑いはないが、故障の多さが足かせとなる。とりわけメンバーの替えの利かないワールドカップにおいて、限られた枠の中に大島を入れることは、ある意味ひとつの賭けであったのかもしれない。

そうした状況を、大島は理解しているようだった。5月30日のガーナ戦に向けた合宿のテーマを問われた大島は、「気を付けていることはケガをしないこと。僕自身に関してはそれが一番です」と、即答している。負傷離脱という失態を繰り返さないことが、自身に課せられた最大のミッションである。一方でケガさえしなければ、十分にやれる。その答えの裏には、そうした自信も内包されているようだった。

■持ち味を発揮したガーナ戦

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そんな大島にとってガーナ戦は、最終試験の場と言えた。合宿では山口蛍とボランチコンビを組むのは柴崎岳であることが多かったが、ガーナ戦のスタメンに名を連ねたのは柴崎ではなく大島だった。

3-4-2-1の布陣を敷いた日本は、ガーナの圧力に押され、5バック気味になりがちだった。ゆえに前線の人数が足りず、パスの出しどころが限られる。出し手を担う大島にとっては苦しい展開となったが、17分には自らのパスカットから宇佐美貴史のシュートを導き、27分には絶妙なスルーパスで右サイドの原口元気を走らせるなど、限られたプレー機会のなかで持ち味を発揮してみせた。

しかし、ボール回しの中心となり多くのチャンスを創出する川崎Fでのプレーを思えば、そのパフォーマンスはやはり物足りず、試合後には「攻撃も守備も両方、上手くいかないことが多かった」と反省の言葉が漏れた。

それでも2点のビハインドを負った後半、山口に代わってピッチに立った柴崎とコンビを組むと、本来のパスワークが目覚め始める。「練習でもやっていなかった」と大島は振り返ったが、同じ司令塔タイプの柴崎との相性の良さを示し、後半の攻勢を導き出した。

そのパフォーマンスには西野監督も「今日の展開力とプレーメイクに関して、大島は外してはいけないキープレーヤーでした」と高評価を与えている。

評価する指揮官に対し、大島本人は「アピールできたところは特にない」と一刀両断。自身のプレーには満足していなかった。

「90分出ましたけど、自分としては勝たないといけなかったですし、まずは追いつくことができなかったので、残念だなって思います」

その表情には決して悲壮感が漂っていたわけではなかったが、静かな語り口のなかには、自身の力不足を戒める力強い意志が窺えた。

■リオの悔しさをロシアで晴らす

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西野監督とすれば、そのゲームメイク能力だけでなく、90分間ピッチに立ち続けたことも評価材料となったはず。翌日の5月31日に発表された23人のメンバーリストに、大島の名前を躊躇なく記したに違いない。

静岡学園高校時代は決してズバ抜けた選手ではなく、世代別代表に選ばれた経験もなかった。それでも揺るぎないスキルを備えた小柄な司令塔は、川崎Fで自信を身に付け、日本代表として世界と戦いたいという想いを強くした。世界を意識し始めたのは、2016年のリオ五輪に出場したことが大きかったという。

「五輪の前にブラジルと対戦して、本戦でもブラジルとやってみたかった。そういう想いを感じたので、ロシアでも国を懸けて戦う舞台に立ちたいという気持ちはあります」

リオ五輪では1勝1分1敗でグループリーグ敗退に終わった。不完全燃焼に終わったその悔しさが、大島の成長を促したのだ。

若いと思われていた大島も、すでに25歳。本来であれば代表でも中心となっていくべき年齢だ。監督交代、主力のコンディション不良、そしてガーナ戦での完敗と、本大会を前にしながら、今の日本代表には閉塞感が漂っている。その苦境を打ち破れるのは、経験豊富な既存の主力やベテランではなく、幾多の困難を乗り越えて初のW杯出場に向かうこの天才パサーなのかもしれない。

文=原山裕平

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