想像を絶するような、見たこともないような景色。この経験を伝えていく/槙野智章インタビュー

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©Suguru Saito/DAZN
槙野智章が、ロシア・ワールドカップを経験したことで感じた世界との差、だからこそさらに沸いてきた日本代表への思いを語った。

浦和レッズDF槙野智章は、8月30日、新生・森保ジャパン初陣の日本代表メンバーに招集された。大きく顔ぶれが代わったなかで、大舞台を代表の重みを痛いほど知る経験者がいることはチームにとって意味がある。

ロシアW杯が終了し、明治安田生命J1リーグ戦が再開した7月下旬、槙野に話を聞く機会に恵まれた。フットボーラーである以上、目指す場所である世界の頂点。「夢の舞台」を経験したことで感じた世界との差、緊張感とプレッシャーゆえのその後の気持ちの整理。日本代表が2022年カタール大会に向けて歩みを始めた今、あらためて青いユニフォームへの思いを知る。(聞き手:青山知雄)

■世界と日本。少しのようでかなり大きな差

――ロシア・ワールドカップの話を聞かせてください。ベスト16という結果も含めて、あらためてご自身にとってどんな大会でした?

ここまで来るのに時間はかかりましたが、やはりワールドカップは自分にとって夢の舞台でした。

実際にピッチに立ったことで特別な感情を抱きましたし、僕は(ラウンド16)ベルギー戦には出場しませんでしたが、チームの敗退を意味するホイッスルを聞いた瞬間、想像を絶するような、見たこともないような景色を見ることができました。西野朗監督も試合後に言っていたように、ベルギーに負けた時に感じたスタジアムの雰囲気やピッチの感触は今でも忘れることができません。

間違いなく今回のワールドカップは僕にとって大きな財産になったと思っています。本来ならばその悔しい景色、悔しい結果は、同じ舞台で雪辱を果たさなければ成長はないと思うんですけど、自分の中で少しやりきった感情が芽生えてきたのも事実だったので、また新しい目標を持って頑張らなければいけないとも思っています。

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 ――ベルギー戦で感じた“差”とは?

日本に帰国して、いろいろな方に「お疲れさま」とか「感動しました」と声を掛けてもらうんですけど、「あと少しだったね」という言葉が、逆に僕にとっては少しのようでかなり大きな差だということをベンチで思っていました。

ベルギーの選手一人ひとりの技術はもちろん、強さも速さもそう。日本人選手と比べて、個の部分は間違いなく格段に上のレベルにあると正直思いました。じゃあ、僕たちがどうすれば結果を出せるかを考えていくと、やはりチーム力でまとまって上回る部分を見せなければならない。4年後にベスト8を目指すのであれば、もっと個の部分で1ランクも2ランクもレベルアップした上で組織力を高めないと、強豪国には勝てないと感じました。

――ポーランドとの第3戦で、ついにワールドカップのピッチに立ちました。念願の舞台だったと思います。

先ほども言いましたけど、僕はこの大会に来るまでに、そしてピッチに立つまでに、長い年月を掛けて遠回りしてきました。

監督から「スタートからいく」と言われたのが、ポーランド戦の3日前くらいで、その3日間でコンディションはもちろん、メンタル的に準備するのは非常に大変でした。試合を見ていた方は分かると思うんですけど、キックオフに向けてカウントダウンがあるんですよね。大型モニターで10、9、8、7……ってカウントされていくんですけど、自分の中での高ぶる気持ちや緊張感…それは今でも忘れることはないです。

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僕はあまり緊張することのないタイプなんですが、あの時は試合前に行ういつものルーティンもあまりうまくできなかったですし。その試合に懸ける思いもかなり高かった。何よりも自分が出た試合の結果で、チームを日本に帰らせることは絶対にあってはならないと思っていましたから、いつも以上に高ぶって「やってやろう」という気持ちはありました。

終わってみれば、いろいろなドラマがあった90分間だと思います。

そこに自分が立って、監督の指示の下でプレーできた。ラスト10分間の戦い方が話題になっていましたが、この大舞台で、ギリギリの局面で、次のステージを懸けて国を代表してプレーする責任と覚悟を背負ってピッチに立ち、そして監督の指示を全うして、決勝トーナメントに進出することができた。

現地のサポーター、ポーランドのサポーター、もしくは日本のサポーターからもブーイングがあったかもしれませんが、その大きなブーイングを背負いながらも全うできたことは、自分自身を褒めたいと思います。あの緊張感の中でよく戦い抜いたという感覚が自分の中でありました。

――出し切った部分があるという話をしていましたが、悔いはないですか?

悔いはあります。やっぱりこのために長い年月を掛けて、いろいろなトレーニングに取り組みながらアプローチをして、この大会で結果を残すために準備してきました。それでも実際にピッチで与えられた時間は、自分が思っていたよりも少なかった。

ただ、自分がやるべきことはピッチの中だけじゃなく、ピッチ外にもあると思っていたので、個人的なことよりもチームのことと考えれば、やり切ったという思いのほうが大きいです。ベンチの中も、ロッカールームも、ホテルのところでの過ごし方もそう。やっぱり今回の結果はピッチに立つ11人だけじゃなく、登録メンバー23人にスタッフを含めた全員で勝ち得たものだと思いますし、しっかりとまとまって戦うことの重要性がハッキリと分かった大会でもありました。

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■この経験をクラブ、後輩たちに伝えていく

――大会を終えて自分に残ったもの、見えたものをあらためてお願いします。

個人的には悔しさも、誇らしさも残った大会でした。僕は2010年の南アフリカ大会でメンバーに入れず、2014年のブラジル大会も最後のところで落選を経験しました。自分にとっては初めて出た本大会でしたが、ワールドカップや日本代表に対して本当に長い年月をかけて戦ってきました。

そういう意味では大きな目標を失ってしまった部分もあるので、自分が高いモチベーションで新しい目標を定めて頑張るためにも、日本代表という素晴らしい場所に帰れるように新しい目標を自分の中で設定しなければいけないと思っています。

――複数の選手が日本代表から線を引くと明言している中で、自分の中で日本代表への思いはいかがですか?

これまで結果を残してきた選手たちは、「引退」とか「席を譲る」という言い方をしていますが、青いユニフォームを着て日の丸を背負って戦う責任は、本当にそこで戦った選手にしか分からないものがあると思うんですよね。そういう場所を目指すことで競争が生まれますし、自分の成長につながる。

日本代表に選ばれたいとか、あの大観衆の前でプレーしたいという気持ちを保ち続けることが、一人のプロサッカー選手として大事なことだと思っているので、僕はワールドカップが終わったからといって、日本代表のユニフォームを脱ぐという思いは全くないですし、また新しいチャレンジをしていきたいと思っています。

――今回の経験をどう自分の糧にしていきたいと考えていますか?

数字にして46日間、同じ志を持った仲間たちと日本のために戦ってきたことは、本当に大きな財産になっています。この経験をできるだけたくさんの人に伝えていきたいですし、まずはクラブ、そして後輩たちに伝えていくことが、4年後のカタール大会で日本代表が新しい景色を見るきっかけになるんじゃないかなとも思っています。

ロシアから帰って来て、気持ちを整理するのに少し時間が掛かりましたが、また日本代表のユニフォームを着ることを含めて、新しいチャレンジをして新しい景色を見るためには、まずクラブでしっかりと戦い抜くことが大切です。やはり自分が見てきたもの、感じたことを、とにかくクラブに落とし込んで、自分の成長にしていきたいと思っています。

――具体的にはどうピッチの中に落とし込んで、どんなプレーをしたいと思っていますか?

個人的なところを出すというよりも、いかにチームとしてまとまってプレーするかですね。一丸となることの重要性は、今回のワールドカップを通じてすごく感じることができましたから。夏場の厳しい気候の中、苦しい時間帯、苦しい状況を耐え抜くメンタルが必要になりますし、それらを跳ね返すメンタルも出していかなければならない。

繰り返しになりますけが、一番大事にしたいのは団結力、チームワークですね。やはりここが日本人の良さですし、浦和レッズが一つでも順位を上げていくためにチームワークを前面に押し出して、一試合一試合をフルパワーで戦っていきたいと思っています。

■Jリーグが誇らしいリーグであることを伝えたい

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――今後、選手としてどう成長していきたいと考えていますか?

長友佑都選手の言葉を引用する形になりますけど、30歳からが勝負だと思っています。周りからは「おっさん」と言われるかもしれないです。 

でも、僕はまだまだ走り続けて、そして戦い続けて、ここからサッカーがうまくなるというところを見せたい。若い選手に見せるだけでなく、たくさんのサッカーファンの皆さんにそういった姿を届けられればと思っています。

――アンドレス・イニエスタ、フェルナンド・トーレス、ルーカス・ポドルスキ、ジョーといったワールドクラスのプレーヤーがJリーグでプレーするようになっています。選手としての成長、やりがいという部分でも非常に大きいのではないでしょうか。

世界で結果を残してきた選手、力のある選手が日本に来ることは、Jリーグでプレーする僕たちにとって非常に頼もしく、そして大きな楽しみでもあります。

もちろん日本人選手として海外に出てチャレンジすることも大事ですけど、世界に向けてJリーグが誇らしいリーグであることをもっと伝えたいんですよね。どんどん世界に発信して、たくさんの選手に興味を持ってもらえるような誇らしいリーグにしていきたい。選手はプレーで魅せられるようにしなければならないですし、メディアの皆さんの力もお借りして、どんどん発信していければと思っています。

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