守田英正はE・ネットの穴を埋める存在ではない。先輩・中村憲剛も期待する新鋭の挑戦

最終更新
コメント()
5日に行われた明治安田生命J1リーグ第20節。横浜F・マリノスをホームに迎えた川崎Fは、エース・小林悠の2発で通算成績五分のライバルを粉砕。その大一番でルーキーの守田英正が小林の2ゴールに絡むなど、攻守に存在感を示した。

■ルーキーに自信をもたらした2つのプレー

舞台は灼熱の等々力陸上競技場。23,033人の超満員で迎えた30回目の神奈川ダービー。この試合で輝きを放った男がいる。守田英正。今季加入のルーキーだ。

34分、横パスを中央で受けると、前線へすかさずダイレクトで送る。針に糸を通すような極上のスルーパスは走り出していた家長昭博へ。家長が中へ折り返すと、勢いよく走り込んでいた小林がきっちり決めて待望の先制点を奪った。

「あんなパスを出したのは初めてだったので、ちょっと興奮していました」

1点目のスルーパスについて聞かれた背番号25は、笑みを浮かべつつダイレクトで出した意図を次のように説明した。

「うまくセンターバックを釣り出すようなパススピードで、かつ最終的にピタっと止まるようなボールを狙いました。アキさん(家長)は練習からああいう動き出しをよくしてくれますし、『見といて』って常々言われているので」

morita02.jpg

後半にも見せ場を作った。

71分、登里享平から家長、中村憲剛とつなぐと中村はペナルティーエリア中央付近で待つ小林にラストパス。受けた小林はGK飯倉大樹との1対1を制し、勝利を引き寄せる2点目を奪取した。

このシーンで守田は、ボールに直接関与していないものの、中村がボールを受けた瞬間、中央から左サイドへ勢いよく走っている。横浜FMのセンターバック、ドゥシャンが一瞬守田のダイアゴナルランに気を取られたことで、小林への対応が遅れた。これを見逃さなかった中村が決定的なパスを小林に出し、得点につなげたのだ。

「僕が前に行くスペースが生まれていたのは分かっていました。もともと2列目からの飛び出しは自分の武器の一つでもあるので。憲剛さんが相手をしっかり見てくれて、悠さんがいい動きをしてくれました。連係から取れた得点だったと思います」

同時に守田は「憲剛さんが下りてくることが多かった」とも話している。

横浜FMのタイトなプレスにより、ダブルボランチの大島僚太と守田が窮屈になっていた。そこで、トップ下に入った中村が状況に応じて下がり、相手の2枚に対し3枚で対抗する数的優位を作った。これが奏功し、守田がフリーマンとして斜めに走り込むシーンが生まれたのだ。

■守田における中村憲剛という存在

kengo.jpg

今季、流通経済大学から加入した守田は、大学4年時に全日本大学サッカー選手権大会の最優秀選手に輝くなど『大学ナンバーワンボランチ』として評価を集めた。そして、FUJI XEROX SUPER CUP 2018でいきなりプロデビューを飾ると、その後はリーグ戦で徐々に出場機会を増やしてきた。

しかし、王者・川崎Fでプレーすることへの重圧や、プロ初年度ということも重なり、消極的なプレーも多く見られたのは事実だ。そんななか、この夏にエドゥアルド・ネットが名古屋グランパスに完全移籍。大島の相棒候補筆頭となった。この横浜FM戦でJ1リーグ戦7試合に連続先発出場し、直近5戦は連続フルタイム出場。『守』におけるボール奪取能力に長けるのはもちろんのこと、『攻』では、この試合で見せたキラーパスと絶妙なポジショニングでその才能の片鱗をじわじわと見せ始めている。

しかし、鬼木達監督は、「日々成長している」と評価する一方で「もっともっとやらなければいけないことはたくさんある」と厳しさも見せる。それはチームの精神的支柱である中村も同じだ。

「大卒ルーキーであることを考えれば、(ここまでの出来は)素晴らしいの一言。技術もあって走れるし、体も強い。素直で話も聞くし。ただ、うちのレギュラーでやるなら、もっとやってくれないと困る。求めるところはかなり高い。ただ、あまりにもいろんなことを求めすぎると、彼もパンクしちゃうから。一つひとつやれることをしっかりと、練習や試合中に話してレクチャーしながら仕込んでる最中です」

E・ネット、大島、中村で構成された中盤は、2人が消されても、誰か1人が「活路を見いだせる関係性だった」(中村)。しかし、「守田との3人だとまだそういうわけにはいかない」。

中村は言葉を続ける。「自分も僚太もちょっとずつ変えているところもあるし、そのことで僕らもまた成長できている。アイツ(守田)の良さを生かすんだったら、もっと俺は下りたほうがいいのかなと。ずっと長くやっている選手だったらそんなこと言わなくてもいいけど、新しく入ってきた選手かつルーキーなので。今の3人でできていないところをみんなで補填しながら、彼の良さを出していけばいいんじゃないかな」。

2016年から2年半、チームの中核を担ってきたE・ネットの抜けた穴は計り知れない。しかし、選手が代われば戦い方も変わる。今は「ネットの穴を埋める」というよりも、「守田の新しいスタイルをチームに落とし込む」段階にある。

経験豊富な中村、日本代表としてロシアW杯に参加した大島、そしてルーキー・守田の間での新しい関係構築がうまく進めば、後半戦の『逆襲』を誓う川崎Fにとって大きな武器となるだろう。

ディフェンディング・チャンピオンにかかるプレッシャー、その中で先発に入る責任。しかし、守田には厳しくも愛を込めて助言をしてくれる先輩、いつも支えてくれるファン・サポーターがいる。「日本を背負う選手になりたい」と決意を込めた守田。その熱い思いを胸に、23歳のボランチの飽くなき挑戦は続く。

取材・文=大西勇輝(Goal編集部)

▶Jリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【DAZN関連記事】
DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)に登録・視聴する方法とは?加入・契約の仕方をまとめてみた
DAZNの番組表は?サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは?
野球、F1、バスケも楽しみたい!DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ

Goal-live-scores

次の記事:
ハメスが左ひざ負傷で数週間の離脱へ…大一番敗北のバイエルンにさらなる追い打ち
次の記事:
メンディ、左膝を手術も経過は順調…マンチェスターダービーで違和感覚え
次の記事:
代表最終戦のルーニーが10番&キャプテンマーク着用へ…サウスゲートが明かす
次の記事:
香川真司、「唯一の解決策」は?独誌がドルトムントで苦境に立つ日本人MFを特集
次の記事:
酒井高徳が感じる2部の戦いの違いは?「確かに慣れるために何試合か必要だったが…」
閉じる