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堅守のメドが立たなければロシアでは戦えない。3バックの成否が問われるガーナ戦。

■先発は今のベストメンバーか

2018年ロシアワールドカップ初戦・コロンビア戦(サランスク)まであと21日。日本代表は今日30日、日産スタジアムで西野朗監督体制の初陣であり、本番を見据えた重要なテストマッチのガーナ戦に挑む。

明日31日に最終登録メンバー23人の発表を控えるため、最終テストとして位置付けられるこの一戦だが、指揮官は前日会見で「明日の1試合だけでリストに挙げることはない。ある程度メンバーは自分の中では捉えている」とすでに大枠が固まっていると明かした。それだけロシア本番での戦いに目が向いているということだ。

実際、26日から本格的に取り組み始めた3-4-3の新布陣が機能するかどうかはロシアでの成否を占う重要なテーマ。3試合しかない直前のテストマッチの1つを費やすのだから、新システムを併用できるという確証をつかまなければならない。

今回の先発は、現状でのベストメンバーを並べる見込み。GKは川島永嗣、DFは中央に長谷部誠、右に吉田麻也、左に槙野智章。右ウイングバックは酒井宏樹か原口元気という選択肢があるが、今回はテストということで後者を選ぶだろう。原口本人も「適任のポジションかなというのは自分の中にもある」と意欲を見せているだけに、どこまで攻撃比重を高められるかがポイントだ。

そして、左は不動の長友佑都。本大会でもコロンビア代表MFファン・クアドラード(ユベントス)、セネガル代表FWサディオ・マネ(リバプール)、ポーランド代表MFヤクブ・ブワシュチコフスキ(ボルフスブルク)といったキーマンとのマッチアップが続くだけに、彼だけは絶対に変えられない。

ボランチは山口蛍が軸で、その相棒が柴崎岳か大島僚太か判断が分かれるところ。西野監督は、G大阪時代は遠藤保仁、名古屋時代は矢田旭といったクラシカルな司令塔タイプの選手を好む傾向が強かったため、柴崎でいくのではないだろうか。2シャドーは右に本田圭佑、左に宇佐美貴史が有力。落選危機もささやかれた香川真司はベンチスタートになりそうだ。1トップは大迫勇也。西野監督はボールを収める力に長けた彼に対する信頼が厚く、ファーストチョイスに変わりない。ケガから回復途上の岡崎慎司も出番が与えられるのは途中からだろう。

【ガーナ戦予想フォーメーション】

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■5バック気味になったときの対応が問われる

ガーナの予想布陣は4-2-3-1。ロシアでの対戦3カ国はいずれも1トップが基本で、ガーナはよいシミュレーションになる。1トップに対してDF3枚というのはどうしてもミスマッチが起きがちだ。1トップに対してストッパーの1枚がつき、トップ下にもう片方のストッパーがマークに行って、リベロの長谷部が余っているような状態が恒常的に作れれば理想的だが、相手が中途半端な位置を取ってきた場合はそうもいかない。両サイドが押し込まれて5バック気味になる時間帯も想定される。そうなった時、いかに相手をはね返すのか。それは非常に重要なテーマと言っていい。

「一番確認したいのは、動きの連動性とマークの受け渡し、ポジショニング。ディフェンスに関してはそこですね」と吉田も強調していたが、3バックが最も攻略されやすいのはウイングバックの裏を攻め込まれた時だ。「後ろの3枚のスライドが肝だと思う。ただ声をかけて動かしているのでは遅い。スムーズに反応できるようにならないといけない」と遠藤航も言うように、3バックが一体となって左右にスライドしなければ、どこかに穴が空いてしまう。長谷部を軸に最終ラインが臨機応変に守れれば、何とかロシアで戦えるメドも立つ。西野監督も「悪い状況では、長谷部としてもレバンドフスキやハメス・ロドリゲス(ともにバイエルン・ミュンヘン)への対処は難しい」と話したが、そうならない対応策をチームとして見いだすことが今回の重要なテーマだ。

2018-05-30-Yoshida_Maya(C)Getty Images

プレスの位置も大きなチェックポイント。西野監督は、「人に対してディフェンスする考え方よりも、ボールに対して全員がディフェンスしていく中で、悪い状況を少なくしていきたい」と説明したが、高い位置でボールにプレスをかけられれば失点リスクは間違いなく減る。「後ろで余りすぎないことが大事だし、とにかく後ろからラインを上げて押し出して、前の選手をフォローしてあげることが大切」と長谷部も語っていた。

とはいえ、押し込まれた場合には自陣ゴール前でブロックを作るという割り切りも重要だ。そこで全員が意識すべきなのは「コンパクトな状態を保つこと」。「前や中盤の選手を下げることもコンパクトにすることになる。状況によっては後ろに構えるコーチングも必要になってくる」と遠藤が言うように、岡田武史監督(現FC今治代表)が率いた2010年南アフリカW杯のようなベタ引きも覚悟しておかなければならないだろう。3-4-3の新布陣で戦う日本がこのガーナ戦で高度な意思統一と結束力を示せるのか。そこも見極めたいところである。

いずれにしても、日本がロシアで成功を収めたいと思うなら、強固な守備組織を構築することが絶対条件。それはベスト16入りした2002年日韓、2010年南アの2大会のチームが実証している。しかも今の日本代表は昨年8 月の最終予選の大一番・オーストラリア戦を2-0で完封勝利して以来、無失点試合が昨年12月の東アジアカップ・北朝鮮戦の1 試合しかない。ハイチやブラジルに3失点、韓国に4失点、今年に入ってからもウクライナに2失点と負の連鎖が止まっていない。そこを断ち切ってこそ、西野ジャパンに光明が差し込んでくる。

「とにかく代表チームとしてのスピリットというか、ファイトする代表にしたい。『これで本大会に行くんだ』という空気を作る試合にしたい」と指揮官も語気を強めたが、その第一歩がガーナを零封すること。長谷部や吉田が中心となってそこに集中することが肝要だ。

文=元川悦子

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