■世界中の人々に「見せたい」選手たち
「間違いなく、あの大会があったから今の自分がある」
10月16日のキリンチャレンジカップ・ウルグアイ戦で日本代表初ゴールを決めた20歳の堂安律(フローニンゲン)は、そう断言する。U-20ワールドカップという舞台でイタリア相手に衝撃的なゴールを決めた男は、自信という武器も携えて、そのまま欧州へステップアップ。ビッグクラブへの移籍がささやかれるまでの選手になった。
古くはDF内田篤人(鹿島アントラーズ)が欧州クラブから注目されるようになったのもこのU-20W杯だった。AFC U-19選手権についても目を光らせているクラブもあるが、その絶対数がまるで違うのも現実だ。そして「日本にとって世界の代表チームと真剣勝負をできる数少ない機会」(前U-20日本代表監督・内山篤技術委員)でもある。日本サッカーそのものの蓄積という意味でも、個人の経験値(あるいは国際試合に対する自信)という意味でも、出続けたい大会であることは間違いない。
そして今回のU-19日本代表には、間違いなく世界中の人々に「見せたい」と思えるだけの選手たちが揃っている。FW田川亨介(サガン鳥栖)、MF安部裕葵(鹿島アントラーズ)、郷家友太(ヴィッセル神戸)、齊藤未月(湘南ベルマーレ)、DF橋岡大樹、荻原拓也(ともに浦和レッズ)、菅原由勢(名古屋グランパス)といったJ1クラブで公式戦の経験を持つ選手がズラリと居並ぶ陣容は、率直に言ってかなりゴージャスだ。
またJ2に目を転じても、東京ヴェルディで傑出したプレーを見せてきた技巧派MF藤本寛也の名前がすぐに挙がるだろう。まだ出場機会が限られている選手でも、説明不要の麒麟児であるFW久保建英(横浜F・マリノス)、三浦知良との年の差2トップが話題を呼んだ最年少FW斉藤光毅(横浜FC)、トゥーロン国際大会などの活躍によってすでに欧州クラブからも注目される189cmの大型MF伊藤洋輝(ジュビロ磐田)、群を抜くポテンシャルを誇るGK谷晃生(ガンバ大阪)ら個性豊かなタレントがひしめいている。
■FW 11 田川亨介(たがわ・きょうすけ サガン鳥栖)
その中でも10月19日の初戦に向けて特に名前を出すなら、まずはエース格のFWと期待される田川だ。パワフルかつスピーディーにゴールへ突撃していくプレーが魅力のストライカー。「体を張って裏へ抜けてシュートを打つ」(田川)というシンプルな強みを押し出せる選手だ。当然、ゴールしてもらいたい選手ではあるが、彼が裏に抜けるプレーを繰り返して相手のディフェンスラインを押し下げることができれば、その手前にできるスペースを活かせる選手が日本にはそろっている。

■FW 9 久保 建英(くぼ・たけふさ 横浜F・マリノス)
その筆頭は当然、田川との2トップの相方として起用されそうな久保だ。DFとMFの間にできるスペースでボールを受けて変化を起こし、決定的な仕事をこなせるタイプ。田川とはどちらも左利きのため、シューティングエリアが少し重なるところもあるのだが、組み合わせとしての相性は悪くない。日本での練習試合ではインターセプトから持ち込む見事なゴールを突き刺し、マレーシアで行われた大会直前の練習試合でも少し珍しいヘディングでのゴールを記録。こうしたクロスに対してゴール前へ入っていくプレーは以前より鋭さが増した印象もあり、しっかり結果を残した上で大会に臨める点も心理面での好材料だろう。

■MF 14 郷家 友太(ごうけ・ゆうた ヴィッセル神戸)
また中盤では、郷家もキーマンとなる。所属の神戸では元スペイン代表MFイニエスタや元ドイツ代表FWポドルスキとの豪華すぎる共演も体感しているが、高卒ルーキーとは思えぬ堂々としたプレーを継続してきた。この強心臓に加えてフィジカル的な強さ、技術的な柔らかさをも兼ね備えており、まさに心技体の3拍子を持った好タレント。「神戸では先輩のサポートに回ることも多いですけど、ここは自分の世代の代表なので、ここで殻を破ってゴールを取れる選手になりたい」と意欲満面で大会に臨む。

■DF 4 橋岡 大樹(はしおか・だいき 浦和レッズ)
そしてディフェンスラインでは浦和の魂を持つ橋岡が軸になる。浦和では右サイドで攻撃的な仕事を担うことが多いが、このU-19日本代表ではセンターバックを担う。日頃から「そこは絶対に負けたくない」と語ってきた空中戦の強さはアジアの戦いを勝ち抜く上での生命線。またDFに年少組の選手が多数起用されることもあり、メンタル面で柱となることもより期待される。「自分がリーダーシップをとって頼られる存在にならないといけない」と語るように、その点は本人も自覚的。タフなプレーを期待したい。
(C)J.LEAGUE10月19日にインドネシアの地で始まるAFC U-19選手権の戦いは、北朝鮮、タイ、そしてイラクと対峙する厳しい組み合わせのグループステージからスタート。中2日というタイトな日程での連戦となるため、影山雅永監督は幅広く選手を起用しながら勝ち抜きを図りたい考えだ。
そして、まさに決戦となるのは28日の準々決勝。この一戦は「勝てばU-20W杯への切符獲得、負ければチーム解散」という天国と地獄の分水嶺であり、この大会においてある意味で最も面白く、そして間違いなく最も熱い試合になる。
まずはタフなグループを抜けてこの決戦まで辿り着くことが一つの目標となるが、もちろんそこはゴールではない。決戦での勝利を経て世界の舞台へ羽ばたき、そこで輝くこと。堂安ら多くの先輩たちも通ってきた飛躍への滑走路となるU-20W杯を目指し、U-19日本代表の戦いが始まる。
取材・文=川端暁彦
■AFC U-19選手権インドネシア2018(いずれも日本時間)
10月19日(金)21:00 グループステージ第1戦 vs 北朝鮮代表
10月22日(月)21:00 グループステージ第2戦 vs タイ代表
10月25日(木)18:00 グループステージ第2戦 vs イラク代表
10月28日(日)準々決勝
▶サッカー観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう
【DAZN関連記事】
● DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
● DAZN(ダゾーン)に登録・視聴する方法とは?加入・契約の仕方をまとめてみた
● DAZNの番組表は?サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
● DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは?
● 野球、F1、バスケも楽しみたい!DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ

