■直近2試合で勝ち点4。要因の一つは新戦力
前節・仙台戦で第2節以来、なんと151日ぶりに勝利をつかんだ名古屋グランパス。選手の多くは「やっと勝ててホッとした」と笑顔を浮かべたが、すぐにやってくるのはJ1残留争いの大一番、16位・ガンバ大阪との直接対決だ。勝てば差は1に、負ければ7に広がる。
昨季までは下位3チームが自動降格だったが、今季からレギュレーションが変わり16位はJ1参入プレーオフに回る。つまり16位は自力での残留が可能となった。現在最下位の名古屋はとりあえず、ここがターゲットの順位だ。
前半戦で苦しんでいた名古屋が、直近の2試合で勝ち点4を獲得できた要因の一つは、夏のウインドーで大補強を敢行したことにある。第17節・広島戦ではDF中谷進之介(←柏レイソル)、MFエドゥアルド・ネット(←川崎フロンターレ)、DF丸山祐市(←FC東京)、FW前田直輝(←松本山雅FC)の4人が登録後、即先発で起用された。結果はスコアレスドローと、首位相手に守備で粘って勝ち点1をもぎ取った。
続く前節・仙台戦は、E・ネットを負傷で欠いたが、先月25日に横浜F・マリノスから獲得したばかりのDF金井貢史をいきなり左SBのスタメンに据え、前述の通り2-1で勝利した。
攻撃的な選手は結果が目に見えるのでわかりやすい。仙台戦で1ゴール1アシストと活躍をした前田は、名古屋の攻撃陣に大きなアクセントを加えた。ジョーの先制ゴールを見事なヒールパスでアシストし、得点は和泉竜司の縦パスを練習通りの「止める・蹴る」で奪った。これまでなら裏に抜ける形でボールを呼び込むことが多かったそうだが、名古屋のスタイルである「足下から足下へ」を意識してゴールを奪ったことに、順応性の高さが感じられる。システム変更で左MFに移動してからは、ディフェンスラインにまでいち早く戻って守備をする運動量と献身性も見せた。

▲松本から加入した前田直輝。前節・仙台戦で1得点1アシストと早速結果を出している
■平均2失点以上→平均0.5失点。ただし、課題も
直近2試合で1失点と、最大の課題とされた守備の立て直しを見せたDF陣も、ここまでは合格点と言って差し支えないだろう。
これまでよりも個の力や経験で上回り、実際に数字上では1試合平均2失点以上していたものが、サンプルは少ないが0.5失点と大幅に改善している。しかし問題はその内容だ。広島戦では「相手のミスやミッチ(GKランゲラック)に助けられた」と中谷が反省したように、ピンチは多く展開次第では大差の負けもあり得た。
仙台戦も序盤は相手のペースとなり押し込まれる時間が続いた。そしてリードして迎えた後半も猛攻にさらされ、終盤にDF新井一耀をクローザーとして投入、5DFにシステムを変更と「らしくない」戦法で逃げ切った。
どちらの試合も目に付いたのは、相手に簡単にクロスを入れられるシーン。仙台戦のデータでは35本以上のクロスを上げられ、その3分の1以上を合わせられた。
もちろんこれは新戦力であったり、既存の選手だったりという問題ではなく、チームとしての守備の仕方、意識の問題である。中谷は「玉さん(玉田圭司)や(ガブリエル)シャビエルの特長を考えれば、サイドの守備は仕方のない部分がある。そこが数的不利になることは分かっていることなので割り切った考え方も必要。守備陣で連係をとって自分たちの所で止めたい」と言い、右SBの宮原和也は「サイドで2対1を作られることが多くて危ない場面が多かった。個人で守る守備は大事だが、チームで組織的に守るようなやり方をすればピンチを減らせると思う」と、チームとしての守備を構築したいと言う。
これまで風間監督は「ボールを支配し続ければ守備をすることはない」「失点はすべて個人のミスから起こる」「1対1でやられなければ失点しない」と、選手個々の能力を高めることが、必然的に失点減につながるとしてきた。
確かにそうであり、直近の2試合は丸山、中谷ら個々の能力の高さで失点を抑えることに成功したが、相手に分析された後にどうなるのか。
前半戦は2試合が終わった後に、明らかに守備のウィークポイントを突かれることが増え、勝利の2文字が遠のいた。丸山、中谷、金井といった守備の補強選手たちには、相手の分析を上回り、選手たち同士で連係をとってチームとしての守備を作り上げることが、夏の宿題であり評価のポイントになる。

▲中谷(左)と丸山のセンターバックコンビ。選手同士の連係がカギとなる
■名古屋は選手を補強し、G大阪は監督を代えた
戦力は揃っているのに下位に沈む名古屋とG大阪。立て直しのアプローチがそれぞれ対照的なのも面白い。片や選手を入れ替え、もう一方は指揮官を代えた。どちらが正解なのか、もちろん両方とも正解かもしれないが、結果は今後の戦い方次第、「これまでがこれからを決めるのではない。これからがこれまでを決める」のだ。
G大阪にはファン・ウィジョ、長沢駿といった高さと強さのあるストライカーが揃う。特に長沢は今季名古屋に6得点とお得意様にしている。その強力FWを抑え、勝ち点3を手にすることができれば、名古屋のJ1残留に向けての勢いが加速するかもしれない。
文=斎藤孝一
■J1第20節 試合日程
8/5(日)
14:00 北海道コンサドーレ札幌 vs 柏レイソル(札幌ド)
18:00 名古屋グランパス vs ガンバ大阪(豊田ス)
18:30 鹿島アントラーズ vs 清水エスパルス(カシマ)
19:00 浦和レッズ vs V・ファーレン長崎(埼玉)
19:00 FC東京 vs ヴィッセル神戸(味スタ)
19:00 川崎フロンターレ vs 横浜F・マリノス(等々力)
19:00 ジュビロ磐田 vs ベガルタ仙台(ヤマハ)
19:00 サンフレッチェ広島 vs 湘南ベルマーレ(Eスタ)
19:00 サガン鳥栖 vs セレッソ大阪(ベアスタ)
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