マンチェスター・ユナイテッドがついに決断した。むしろ遅いくらいだったかもしれない。言い訳、衝突、内容の悲惨さ、そして何より重要で、目を向けるべきは結果が出なかったこと。これらすべてが首脳陣の限界を超え、ジョゼ・モウリーニョを指揮官の座から追い出す要因となった。
これまでモウリーニョに成功をもたらしてきたものが、どれほど素晴らしいものであったにせよ、すでにその偉業が色あせていることは明らかだ。長年No.2を務めてきたルイ・ファリアを失い、モウリーニョの陰険な指導のやり方に対応できない新世代の選手たちと、うまくやることはできなかった。
■失意に溢れたモウリーニョ政権
問題が何であれ、マンチェスター・Uというチームは、監督の姿を映しだす鏡だ。後ろを振り返れば輝かしい栄冠がある。しかし、栄光は形骸化され、モウリーニョに素早く立ち直るための策はすでに存在しなかった。
モウリーニョは監督としての終焉に向かい、もはや自身のパロディーに成り下がった。選手起用はほとんど理解不能で、メンバーシートにディフェンス登録の選手を7人も書き込むことさえあった。
モウリーニョ最後の試合となったリヴァプール戦では、チームとして欠陥だらけで、5バックに2人の右サイドバックを配置。どのように得点を取るプランだったのだろうか。

現在のマンチェスター・Uは、プレミアリーグのタイトル争いにおいて、マンチェスター・シティ、リヴァプール、 トッテナムに後れをとり、4位争いにおいても、アーセナル、ウォルヴァーハンプトン、エヴァ―トン、ウェスト・ハム・ユナイテッド、ワトフォードとしのぎを削っている。
トップ6は、上位5チームとマンチェスター・Uという構図で、何も得ることのできない6位という無意味で苦しい順位に閉じこめられた姿は、見るも哀れだ。そのため、モウリーニョは批判を背負いこむこととなった。
確かに、マンチェスター・Uほどのビッグクラブで監督をするのは、多くの苦難があるだろう。期待の高さは、イングランドの他のチームとは比べものにならない。なぜならファンは30年近くも成功を味わい続けているのだから。それほど長くひとりでチームを指揮してきたサー・アレックス・ファーガソンが去ったあと、成功を持続させるためのものは何も残っていなかった。
デイヴィッド・モイーズ、ルイ・ファン・ハール、そしてモウリーニョと、チームに足を踏み入れた監督全員が事態を改善できていない。モウリーニョに関して言えば、リーグカップとUEFAヨーロッパリーグの優勝という快挙もあったが、ユナイテッドが満足していいタイトルではない。それらはファーガソンなら興味を示すようなトロフィーではない一方、モウリーニョにとっては唯一しがみつけるタイトルだった。
加えて、モウリーニョは何度も、チェルシーやインテル、レアル・マドリーでの成功を持ち出した。自分よりも優れた監督はいないということを、人々に思い出させようとしているようだった。記者会見でも、自身の力を誇示する奇妙なやり口を行っていたが、ついにクビになった(※クラブは「退任」と発表)。
■常に選手を敵に回したモウリーニョ
AAモウリーニョは繰り返し、メディア、とりわけポール・スコールズとの間で無益な戦いを起こし、専門家たちは自身とポール・ポグバの金銭に嫉妬していると非難していた。
このようにポグバを便利な言い訳の道具として利用することもあったが、それはモウリーニョが彼を味方と位置づけていたわけではない。記者会見では、態度や言葉で常に「ポグバが悪い」とはっきりと指摘していたことからも明らかである。
悪いことは広がっていく。キャプテンのアントニオ・バレンシアもモウリーニョによって失格の烙印を押された。チームの中心選手に成長しつつあるマーカス・ラッシュフォード、ジェシー・リンガードの成熟度に言及したこともある。それは発破をかけたとは言えない、プレッシャーと呼ばれるたぐいのものだった。
モウリーニョは選手を守ろうとはしない。ユナイテッドでは過去に何度も、選手たちをやり玉に挙げた。ルーク・ショーとアンソニー・マルシャルに行われた仕打ちは不条理と言うほかない。
■補強策にも失敗
ASチームに良いプレーをさせる唯一の解決策は、新たに有能な選手を求めることだ。しかし、そのピッチ外での活動でもモウリーニョはうまくやれなかった。1年目の夏、エリック・バイリーとヘンリク・ムヒタリアンに、2年目にヴィクトル・リンデロフに費やした金額は、いくらだったか。ジョゼップ・グアルディオラの手からアレクシス・サンチェスとフレッジを奪うのに、どれほどの金額を使ったのか。
今夏、モウリーニョのセンターバック獲得の試みが首脳陣に反対され、騒動につながった。来年の1月にはまた同じ問題が発生したかもしれない。マンチェスター・Uとしては、CBを獲得したところで、今の危機的な状況を改善する力があるとは思えなかったのだろう。
この間、できるかできないかは別として、在籍している選手たちの実力を改善しようとする試みはなかった。グアルディオラ、ユルゲン・クロップ、マウリツィオ・サッリが、一貫性のある、組織的で練習を重ねた攻撃中心のスタイルで構築している中、モウリーニョは何もしなかった。ただ、選手にアドリブで勝利を勝ち取ってくるよう求めていた。
まるで大昔のゲームプランである。モウリーニョは、戦術のトレンドに遅れを取り、マンチェスターダービー(1-3)の後にはただただ当惑した様子を見せた。そして、ポグバの負傷で先発させざるを得なかったマルアン・フェライニのプレーが奏功せず、「プランが崩れた」と言い訳の言葉を残すのみだった。
マンチェスター・Uは、トップ4と勝ち点を11も離されている。首位からは19ポイント差だ。プレミアリーグ史上、最悪の状態である。何とかしなければならない。
モウリーニョには手の及ばないことはあったにせよ、やるべきことでも彼は失敗した。そんな中でも、モウリーニョは自己保身に必死となっており、この流れは当然だったのだ。暗黒から抜け出すための戦いが、オーレ・グンナー・スールシャールの元で始まろうとしている。
文=ピーター・スタントン/Peter Staunton
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