勝負のポイントとなった戦術面での駆け引き。浦和がハマった湘南の策

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ACL出場権を懸けて臨んだ明治安田生命J1リーグ第33節・湘南ベルマーレ戦で1-2の敗戦を喫した浦和レッズ。ここでは勝負の綾となった戦術面でのポイントにフォーカスし、この試合のパフォーマンスを分析する。

■森脇の裏を梅崎に突かれる

戦前は出場停止やけが人の事情もある浦和が普段の3-1-4-2、あるいはオズワルド・オリヴェイラ監督の基本システムである4-4-2で臨む可能性があると予想した。実際は従来通りの3-1-4-2。代表戦で脳しんとうを負った槙野智章の代わりは茂木力也が入り、柏木陽介が出場停止の中盤には武富孝介が、3バック中央のマウリシオの代わりは右センターバックに森脇良太、通常は右の岩波拓也が3バック中央にシフトした。

一方の湘南は予想どおりの3-4-2-1だったが、曹貴裁監督はボランチに齊藤未月、右ウイングバックに石原広教というU-19日本代表の若い二人を起用している。ただ、スタートの時点で守備がうまくハマらず浦和に主導権を握られたこともあり、湘南は序盤からすぐにシャドーの菊地俊介2列目に下げて3-1-4-2に変更した。

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▲浦和と湘南のキックオフ時フォーメーション

浦和は森脇が右センターバックに入ったことで、多くの攻撃は右サイドが起点となり、高い位置で攻撃をしかけることができた。しかし、左サイドは茂木から有効なパスが出ず、中盤に柏木を欠く状況で、宇賀神が石原とのマッチアップにやや相殺される形となる。そうした状況で右が前掛かりになると、ロングボールから森脇の裏を梅崎司に突かれる形で最初の失点を喫した。

浦和としては立ち上がりから攻守の切り替わりやセカンドボールを生かす湘南の形をなるべく作らせず、かつ主導権を握るという戦いは複数の主力を欠くメンバーなりにできていた。

中盤の阿部勇樹、長澤和輝、武富も湘南が早い時間から3ハーフに代えてきても、中央で人を背負わないようにサイドからのパスをシンプルに受け、守備でもボールホルダーに対して数的優位を維持するなど、セカンドボールやルーズボールの奪い合いが中盤で発生しない形をうまく作れてはいた。だが、失点シーンはその中盤を越えたところで裏を取られてしまい、そこは湘南に上回られた形だ。

■矢継ぎ早に手を打つオリヴェイラ監督

後半はまず湘南が齊藤に代えて金子大毅を入れて形を3-4-2-1に戻した。それに対して森脇が積極的にインナーラップで攻撃参加してボランチの横にあるスペースを狙う。湘南のディフェンスが同サイドに偏ったことで空いた左サイドから宇賀神が攻め上がる形もでき、茂木もそこに絡んだ。しかし、湘南はゴール前で粘り強い守備を見せると、交代出場の金子が前方のスペースを生かして攻めるなど、効果的なカウンターで浦和を下げさせ、攻勢を削いだ。

浦和の2 失点目は自陣のリスタートから阿部がボールを出した先で、長澤がレフェリーと重なってしまう不運はあったが、石川俊輝のクロスからゴール右に飛び込んだ菊地がピンポイントで合わせたもの。ミスが生じた直後の切り替えの部分で、まさしく湘南のストロングポイントであるショートカウンターの決定力を発揮された形だ。

0-2となった状況からオリヴェイラ監督は武富に代えてFWアンドリュー・ナバウトを投入し、興梠慎三、武藤と1トップ2シャドーを形成する3-4-2-1に変更。前線の起点を増やすと前半よりさらに高いポジションを取るため、裏の守備に不安のある森脇と橋岡のポジションを交換した。

さらに森脇をボランチの柴戸海に交代し、阿部が3バックの中央に下がり、岩波が3バック右に。橋岡を右ウイングバックに戻して後ろのバランスを整えつつ、前線の3人を生かす形でゴールを目指した。77分の興梠のゴールは、その布陣変更が奏功した結果だ。右サイドでナバウトと橋岡が起点になり、攻撃参加した茂木がスペースで受けて武藤に当て、ワンツーから茂木が飛び出す間にゴール左で反転した興梠が見事に決めた。

このシーンはプレビューでポイントにあげた、サイドを起点にすると湘南のインサイドにスキが生じる傾向を浦和がうまく使い、茂木の攻撃参加により発揮された形だ。

そうした攻め方から考えれば、そのまま武藤を残す形もあったはずだが、オリヴェイラ監督は残り時間を考えてか、直後に武藤から長身FWのズラタンに交代して前線にさらに圧力をかける選択をした。一方の湘南は自陣にゴール前を固めて奪ったらカウンターを急がず、広いスペースで時間を使う老獪な戦いぶりを発揮。結果、2-1で湘南が勝利を収めた。

■浦和の策にしっかり対応した曹監督

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浦和は立ち上がりから、湘南の攻守の切り替の速さとテンポに付き合わず、最終ラインでサイドに振りながら湘南ディフェンスの外側を使い、そこから中のスペースで1クッション入れる形はそれなりに出せたが、左サイドをうまく起点にできず、ビルドアップから縦に運ぶところが右サイドに偏ったことで、湘南に守りやすくさせてしまった部分もある。

やはり柏木、槙野の不在が響いたところでもあるが、運動量が豊富でデュエルに強い石原を右ウイングバックに起用した曹監督の起用、さらに菊地を下げて3ハーフにしたことも効果的だった。

後半に曹監督が3-4-2-1に戻したのは長澤と武富にアンカーの脇を狙われたところを警戒し、ダブルボランチでの対応を意図したものだと思うが、逆に“ハーフスペース”とも言われるアウトサイドとセンターの間のスペースを森脇が活用し、それにより湘南のディフェンスがボールサイドに偏ると逆から茂木、宇賀神が攻めやすくなったため、この選択は微妙だった。ただ、浦和の自陣での不運も絡んだミスから追加点を奪い、そこから1失点にしのいだということで、トータルでは湘南のゲームコントロールは高く評価できる。

ただ、曹監督も記者会見で振り返ったように、前々節の清水エスパルス戦や前節のガンバ大阪戦では、自分たちがリズムをつかめていたのに勝ち切れなかった。一方、浦和戦では自分たちのストロングポイントをなかなか出せない試合で“2つのスーパーゴール”が決まるというサッカーの難しさが明暗になった試合でもあった。

湘南は勝ち点3を積み上げたものの順位は変わらず。浦和は5位以下が確定したためリーグ戦でのACL出場権獲得の可能性はついえた。現在ベスト4に勝ち残っている天皇杯に懸けることとなる。

文=河治良幸

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