こんにちは中村憲剛です。
今回はダービー・マッチの第2弾として、レアルとアトレティコの『マドリー・ダービー』を探ってみたいと思います。こちらもマンチェスター・ダービーに負けず劣らず、見どころ満載ですね。何より、ここに来てレアルが調子を上げているのは好材料。例年どおりの好勝負を期待できるんじゃないかなと。

■復調のレアルと変わらぬアトレティコ
まず、レアルの復調に関して言えば、(ジネディーヌ)ジダン(監督)の卓越した手腕の成せる業というよりもむしろ、C・ロナウドの「復調」でしょう。地獄の沙汰もクリロナ次第――というのがレアルの実情ですから、良くも悪くも。それにしても凄まじいペースで点を取り始めましたね。一体何が起きたのやら(笑)
ケガの影響もあって、例年になく出遅れたのかもしれません。フィジカルコンディションが自身のパフォーマンスを大きく左右するタイプの選手ですからね。コンディションがベストの状態に近づくにつれて結果もついてくる。ようやく、そのタームに入ってきた。待ち人、来たる――。ぶっちゃけ、レアルの復活はそこに尽きると思うんです。

アトレティコは相変わらずですね。こっちは(ディエゴ)シメオネが凄い。もう“監督力”。例年、選手が抜けていくのにチーム力が落ちない。逆に新陳代謝というプラスの面もある。システム自体はオーソドックスな4-4-2だから、新しい選手もフィットするのにそれほど時間はかからない。あとは「闘え!」「中を締めろ!」「絶対にやられるな!」といったベースの部分をしっかりやればいい。至ってシンプルなスタイルですからね。
Getty Imagesしかも、チームの多数派はスペイン人だから、みんな巧い。その選手たちが汗水垂らしてハードワークしている。本気の守備に取り組み、決して手を抜かない。そういうチームは意外と少ないですから。リーガの主流はあくまで攻撃的なチーム。そのなかでベクトルの向きが違っている、シメオネのチームは。そこがリーガで勝てる秘訣でしょう。レアルやバルセロナと同じことをしていたら勝つのは難しいですからね。
シメオネは選手を「その気」にさせるのが上手い。あれだけハードな守備を選手たちにさせるのは簡単じゃないでしょう。自分たちが苦しい守備ではなく、相手を苦しめる守備だというのも大きいかもしれないですね。前向きな守備だし、それがボールを奪ったあとの鋭いカウンターにつながってもいる。良い攻撃は、良い守備から生まれる――と言われますが、選手たちがそれを実感できているんでしょうね。しかも、各々の個人技がしっかりしているから、オープンな展開になっても攻めきるだけの力もある。
(C)Goal■戦術的観点で見るキーポイントは?
とにかく、近年のマドリー・ダービーは本当に「はずれ」が少ない。レアルが攻め、アトレティコが守る。そこでポイントになるのがレアルのブロック崩し。4+4(計8人)によるアトレティコの守備ブロックにどう侵入していくか。個人的にはイスコがキーパーソンだと思うんです。ブロックの隙間で味方のパスを引き出し、するすると抜けていきますからね。ただ、実際に使ってもらえるかどうか……。
イスコを「使う・使わない」に関わらず、不思議と当たるんですよね、ジダンの起用法は。それこそ、使ったら当たる―――という法則めいたものがありますから。イスコであれ、(ガレス)ベイルであれ、ピッチへ送った選手が活躍する。そこがジダン采配の面白いところ。理屈を優先するというよりも、現場の雰囲気や己の勘を頼りに決めているのかもしれませんが。いくら理に適っていても結果につながらなければ意味がないですからね。
Getty Images仮にベイルをスタメンで使ったら、アトレティコに(ボールを)持たせて、カウンターから仕留めるケースもあるかもしれないですね。ジダンは「何がなんでもボールを握る」とは考えていないと思うんです。カウンターの破壊力は当代随一ですからね、レアルは。ボールを持って攻め込むつもりなら、イスコをスタメンに据えるんじゃないかと。先発はベイルか、イスコか。それによって、当日のプランが見えてくるかもしれないですね。
Getty Imagesもっとも、ジダンはいつ、いかなる場合でもプランに忠実であれ――などと選手たちに強要するタイプの指導者ではないと思うんです。良く言えば、柔軟。そのあたりの許容量はどの監督よりもあるんじゃないかなと。その意味で選手たちはやりやすいでしょうね。自身が生粋のファンタジスタだったからこそ、選手たちの判断を尊重できるのかもしれないですね。しかも、すべての責任を引き受けてくれる。チーム戦術よりも個々のタレント力が際立つ。それがレアルの伝統ですからね。ジダンはこのクラブを率いるのに一番合っている監督なんじゃないかと思います。
(C)Goalいずれにしても、互いに手の内を知り尽くしているので、C・ロナウドと(アントワーヌ)グリーズマンの両エースは厳しいマークに遭うでしょうね。前線で彼らと2トップを組むパートナーにも監視の目が行き届くはずです。だからポイントは「第三の男」かと。レアルならイスコでしょう。逆にアトレティコは読みにくいですね。一体誰が3人目の男へ躍り出るか。ぜひ、そこに注目して観てもらいたいですね。
構成=北條聡
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