元ロシア最優秀選手が語るベテランの役割「若い選手を助けたいんだ」【W杯開幕直前連載】

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開幕まで残りわずかとなったロシア・ワールドカップ。『Goal』では、ついに開幕する祭典までロシアのレジェンドに話を聞き、全8弾の独占インタビューをお届けする。第5弾はドミトリー・シチョフ。

4年に一度の祭典が、間もなくやってくる。

『Goal』はFIFAワールドカップの開幕を前に、開催国ロシアのレジェンドたちにインタビューを行った。全世界の目がロシアに集まる特別な1カ月。レジェンドたちの現在や、ワールドカップに抱く期待、願い、思いとは?

「スペシャルウィーク・ロシア」の第5弾はドミトリー・シチョフ。18歳で代表デビューを果たすと、EURO2008では準決勝まで躍進したチーム一員としてプレー。EURO2大会、W杯も経験した。2002年にはフランス、マルセイユでプレー。2004年には母国のロコモティフ・モスクワで27試合15ゴール4アシストを記録し、ロシア年間最優秀選手賞にも輝いた。現役を続けながらもロコモティフ・モスクワの下部チームに当たるカザンカFCで育成にも関わるストライカーは、現在、マルセイユ時代、そしてロシア代表チームについて話してくれた。

■「経験を共有することで若い選手を助けたいんだ」

――お元気ですか? まだフットボールをプレーされてると伺いました。現在のクラブについて教えてください。

(負傷による)休養のあと、プレーを続けるため場所を変えることを考えたんだ。それまでと違う国、違う地域でプレーすることを検討したんだよ。そしてロコモティフ・モスクワやBチームの“カザンカ"に戻るというオファーを受けたんだ。調子を取り戻すうえでとても良い方法だと思ったし、可能ならクラブのためになりたいと感じたんだ。若者たちの育成に携わり、前進させ、プロの世界に進む、その役に立ちたいと思ったんだよ。

――カザンカFCはとても家庭的な雰囲気を感じます。

そうだね、僕もそう思うよ。ユースチーム出身だがトップからの声がかからなかった、そんな若者が多い。彼らはロコモティフのリザーブチームという位置づけでカザンカFCに集まったんだ。チームはPFL(ロシア3部リーグ)に昇格した。若い選手ばかりだが、リーグで真正面から戦っているよ。経験を積み、ロコモティフのAチームの助けにもなっているんだ。Aチームはカザンカからいつでも選手を招集できる。つまりこの体制は、すべての人に利益をもたらすんだよ。

――トップレベルのリーグでプレーしていたあなたが、2つ3つランクを下げるというのは難しい決断ではありませんでしたか?

そんなことはないよ。自分が将来何を望んでいるのかわかっているからね。目標は自分の調子をキープすることだが、それ以上にキャリアを通じて得た経験を共有することで若い選手に経験を積んでもらうこと、そして選手を良いレベルに戻してやることでロコモティフを手助けすることにある。これはとても重要であるだけでなく、僕にとって楽しみでもあるんだ。ロコモティフとのつながりを保ち続けたい。11年以上の年月を過ごしてきた場所だからね。

■「マルセイユには良い思い出しかない」

Dmitri Sychev Marseille

――フランス時代の思い出についてお聞かせくださいませんか?

ただ素晴らしく喜ばしい思い出ばかりだよ。思い返しても、フランスでは良い思い出しかない。長くいられなかったことを悔やんでいるよ。だけど、忘れられない思い出ばかりだね。あんな情熱的なファンがいる街に行けたことは本当に嬉しかった。ファンはクラブに心からの愛と、多くの要求を示してきた。彼らのことが第一だからね。新しい経験を積み、バルテズ、ドログバ、ルブーフといった偉大な選手たちと共にプレーできるというのは本当に興味深いことだった。僕のような若い選手は、ああいった素晴らしいプレーヤーたちから学ぶんだ。彼らから多くを学び、そのことはキャリア後年にも役に立っているよ。

――今でもオリンピック・マルセイユはあなたの心にある?

もちろんだよ。今でも心の中にある。あそこでは良い感情しかないし、ファンも本当に印象的な人々だった。僕を受け入れてくれ、愛してくれたことも嬉しかった。チームが勝利し、僕が得点したときのことは永遠に心に残り続けるだろう。フランスではマルセイユだけを応援している。いつも彼らをフォローし、チームとそのパフォーマンスを見ているよ。2010年に優勝したのは本当に嬉しかった。現在でも高いレベルを維持しているね。

――ファンがあなたを称えたチャントを覚えていますか?

もちろんさ。忘れることなんてできないよ!

――当時のマルセイユの友人とは今も連絡を取っていますか?

ああ、いつも繋がっていると感じているし、あっちに友人が何人かいるよ。マルセイユの街は永遠に心に残っている。両親も毎年休暇に行っているし、僕も可能な限りそうしている。訪れるたびに街中を見て回ったり、ヴェロドロームに行ったりしているよ。

――マルセイユの20歳MFマキシム・ロペスが、子どもの頃あなたのファンだったと話していました。やはりこういう話は嬉しいですか?

本当かい? 知らなかった。もちろん、嬉しいよ。でもそういう知らせはなかなか本人のもとには来ないんだよね(笑) でも本当に素晴らしいことだ。マルセイユでプレーしていた時、全てを捧げていたんだ。「ロシア人だってフットボールを知っているんだぞと見せてやる」、そういうモチベーションに溢れていたからね。

――海外でのキャリアでもっと成功できたのでは、と思ったことはありますか?

そうだね、君もロシア人のメンタリティについては知ってると思うけど……とても若かったこともあるし、困難というものは突然ものすごいレベルでやってくる。21歳という年齢ならまだ比較的若いから理解できるんだ。レアル・マドリーやFCポルトといったクラブを相手にどのように戦うべきかね。若いロシア人だった僕は経験不足だった。それが物事を多少難しくしていたと思う。

――フランスでは、あなたはその才能を発揮するに至らなかったと感じます。負傷が大きく影響していたと思いますが…

ああ、おそらくそうだろうね。だけどケガは誰にでも起こり得るものだ。おそらくその答えで正しいんだろうけど、今日どういえばいいかは難しいね。ただ、僕はこのキャリアを歩めたことを嬉しく思う。ロシアはまだ、何が起こりうるか、起こらないかを予見することになれていないんだ。ケガをしたなら、そうなんだろう。我々にはどうすることもできない。そこに届き、何かをするのであれば、それに値するということだ。

■「ラウンド16進出は最低限の目標だ」

Russia team

――EURO2008で、あなたはロシア代表の一員として準決勝まで勝ち進みました。今日に至るまで、あの結果は代表のベストパフォーマンスとなっています。

ああ、長く待ちわびていたけど、ようやく大きな成功を掴めたね。過去に大きな大会で成功を収めてから本当に長い時間が経ってしまっていた。2008年当時、僕らは黄金世代だった。フース・ヒディンク監督のもと、誰もが自身のポテンシャルを見せることができていた。ベスト4入りとオランダを破ったことで、ロシアには大きな喜びをもたらせたんだ。

――現在のロシア代表についてはどう思いますか? W杯では勝ち上がれそうでしょうか?

良い選手が揃っているし、母国開催だからね。最低限の目標としてラウンド16出場は果たさないといけない。そうなればファンも喜ぶだろう。チーム次第ではあるが、運も大きな要素になる。誰もがロシアがサプライズを起こし、グループリーグ突破ができると信じているよ。理想を言えば名誉ある地位にまで進めればと思うけどね。

――注目すべき選手はいますか?

フョードル・スモロフとアレクサンドル・ゴロヴィンかな。

――アレクサンドル・ココリンが出場できませんが、これは大きな痛手となるでしょうか?

ああ、大きな損失だよ。現時点でリーグベストの選手だからね。彼無しで戦うというのは当然難しいことだ。負傷のニュースは辛いもの。だが、大丈夫だ。私たちはサポートするし、彼はより強くなって帰ってきてくれるはずだよ。

――最後に、マルセイユの人々はいつまたあなたに会えるのでしょう?

さっきも言ったけど、よく休暇で行くんだ。今夏もワールドカップの後にはフランスに行くつもりで、ヴェロドロームにも行くよ。かつてのチームをサポートするためにね。

インタビュー=ナイーム・ベネドラ/Naim Beneddra

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