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【中村俊輔が語るCL】マンチェスター・U戦、伝説のFKを回顧「駆け引きはなかった。ゾーンに入っていたから」/独占インタビュー中編

中村は2002年夏に横浜F・マリノスからレッジーナへ加入。2005-06シーズンから4季にわたって在籍したセルティックでCLを経験し、本戦では計17試合に出場して2得点を記録した。

インタビュー中編では、2006−07シーズンにセルティック・パークで行われたマンチェスター・ユナイテッド戦のFKを振り返る。伝説のFKはいかにして生まれたのか? あのゴールがもたらした影響とは――。

インタビュー=松岡宗一郎(Goal編集部)

以下に続く

■セルティックでのベストゴール

――中村選手に質問があります。Goal UKの記者に頼んでセルティックのサポーターにアンケートを取ってもらいました。中村選手のベストゴールについて、です。どれだと思いますか?

それはマンチェスター(ユナイテッド)戦のFKしかないでしょ(笑)。

――そうですね(笑)。実際、63%の方がセルティック・パークで行われたユナイテッド戦の得点をベストゴールに選んでいます

――そのシーンについて聞かせてください。まずはあの位置でセットプレーをもらったときの心境からお願いします

あの試合はそれまでずっとクリスティアーノ・ロナウドについて守備ばっかりしていて。ボールを持ってもロストしたり、味方のFWも自由がなかったからパスを出すにも横パスか下げるしかなかった。自分で縦にいくタイプでもないから、あの時間にファールをもらって「やっと自分の時間が来た」と思ったかな。もう狙うことしか考えてなかった。今考えたら「あんな遠いところからよく入ったな」って(笑)。終わったあとにストラカンにも「打つと思わなかった」って言われたくらいですよ。

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――確かに距離はありましたね

すごく遠かった。でもヨーロッパはグラウンドが柔らかくて踏み込めるんです。土が粘土質だから足首が入る。しっかり踏み込めればボールにパワーが伝わる。しかもあの距離だったから回転をかけられた。

――蹴る前にチームメートとやり取りはありましたか?

特にはなかったですね。当時はGKの前に立って視野を狭めるとかなかったので。自分の調子がよくてゾーンに入っているときはGKも壁も気にならないですしね。

――GKのエドウィン・ファン・デル・サールとの駆け引きは?

何も。普通に蹴りました。逆にそれしか選択肢がないくらいゾーンに入っていたから。

――蹴る前にファン・デル・サールが一歩動きましたよね? だから逆に蹴ったということもなかった?

ないですね。ゾーンに入っていたので。あの場面を迎えるまでにCKとか味方に合わせるキックでイメージはできていたからシンプルに蹴りました。

――ボールがゴールネットに突き刺さった瞬間の気持ちはいかがでしたか?

もちろんうれしかった。だけど正直あんまり覚えていなくて。その後にアーター(アルトゥール・ボルツ)がPKを止めたでしょ。それが一番だったかな。

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■「ピッチに寝る選手を出現させたい」

――そのFKや試合を機に周囲の反応が変わったりしませんでしたか?

他のチームに警戒されるようになりましたね。壁を増やしたり、蹴る瞬間に仕掛けをしてきたり、ゴールの中に人を入れてみたり……。変なことをするチームが増えました。それでも(FKを)決めていたので、ストラカンは「そういうつまらないことはしないほうがいい」なんて言ってましたよ。

(リオネル)メッシもそうだけど、マンマークをつけて守ってみるけど結局やられちゃって終わってみたら0−5で負けるみたいな。そうすると次から他のチームもそれをしなくなる。

だから選手としてそれくらいの技術をつけないといけないとは思ってました。そのために練習ではゴール前に柵を置いて、本当に隅の隅しか入らないようにするとかね。どうせ決めるならスゴいFKを決めたいですから。

――厳しい環境を自分で作って練習するようになった、と

今だと壁の下を通して決めたことってないから下を通して決めたいなって思う。よく下を通されないためにボール見ないで座ってる選手いるじゃないですか? だからその座ってる選手の横を、カーブをかけて抜けば「何やってたんだよ、ちゃんと守れよ!」ってなる。そうすると今度は「寝ないとダメじゃん」ってなってピッチに寝る選手が出てくるでしょ。でも恥ずかしいから寝たくない、みたいな(笑)。そういうのをやりたいですね。

――想像するとすごくおもしろいですね(笑)。そんなFKや創造性溢れるプレーでファンの心をつかみ、セルティックではレジェンドとして愛されています。海外のファンからこれだけ愛されていることをどう感じてらっしゃいますか?

選手冥利に尽きますよ。「なんで俺なんか」って思うくらい。あのときはすべて整っていて運が良かった。監督にしろ、クラブにしろ、選手にしろ。本当に周りの人たちに恵まれました。

自分の子どもを現地の幼稚園に入れたときも、同級生や先生がすごく優しかった。うまくいくときは本当に全部うまく転がるってことを感じましたね。

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