4年に一度の祭典が、間もなくやってくる。
『Goal』はFIFAワールドカップの開幕を前に、開催国ロシアのレジェンドたちにインタビューを行った。全世界の目がロシアに集まる特別な1カ月。レジェンドたちの現在や、ワールドカップに抱く期待、願い、思いとは?
「スペシャルウィーク・ロシア」の最後を飾るのはアンドレイ・カンチェルスキス。ソビエト連邦、ロシア代表でもプレーし、クラブレベルではマンチェスター・ユナイテッド、フィオレンティーナ、レンジャーズなど名門クラブで活躍した。いよいよW杯開幕戦を今夜に控える中、カンチェルスキスは母国に何を期待するのだろうか。
■「プロを指導したい」
――監督として、最近はどのようにお過ごしですか?
今は、ロシア国立大学のヘッドコーチだけど、近いうちに、プロチームで仕事ができるといいと思っている。大学生はプロではないからね。それでも私はまだサッカーに関わっているし、この環境にいる。ロシア、イングランド、イタリアで暮らしていて、TVやラジオでも仕事をしている。今のところは、そんな感じだよ。
――では、まもなくベンチにいるあなたを見られるようになりますか?
そう希望している。その方向で動いているよ。また仕事をしたいと思っている。体力はあるし、夢も経験もある。でも、今のところは、変わりないよ。
■マンチェスター・U時代の思い出は…
Getty Images――あなたは外国で最も成功したロシア人選手だと言ったら、言い過ぎでしょうか?
世間的には、みんなそんな風に考えたり言ったり書いたりしてくれている。そう思ってもらえるのは嬉しいし、そう思わない人がいても、気にしない。そういう評判については、あまり気にしていないよ。
――あなたは多くのクラブでプレーしましたが、キャリアで最も長く過ごしたのはマンチェスター・ユナイテッドでした。ユナイテッドでの経験を、あなたはどう思っていますか?
あそこでの4年間は、素晴らしかったし、とてもうまくいった。その間、2回プレミアリーグを制覇したし、FAカップ、リーグカップ、スーパーカップ、カップウィナーズカップも優勝した。他に言いようがないよ。あそこでの思い出はとても素晴らしく、あのチームにいられて幸せだった。
Getty――外国籍選手がマンチェスター・ユナイテッドで活躍して、「クラス92(マンチェスター・Uのレジェンド)」に仲間入りすることは、簡単なことではなかったはずです。アレックス・ファーガソン元監督に、他の選手たちと同じように評価されていると感じていましたか?
現役時代、たくさんの監督と一緒に仕事をするチャンスに恵まれた。良い監督もいたし、そうでない監督もいた。でも特に印象に残っていて、よく話すのは、(ヴァレリー)ロバノフスキーとファーガソンだ。ロバノフスキーのもとには2年間いた。彼からはたくさんのことを学んだよ。世界で最も優れた監督の一人だと思う。ファーガソンも同じだ。彼がマンチェスター・Uで成し遂げたことのすべて、そしてチームにもたらした栄光を考えれば、そう思う。彼には数か月前に会ったんだ。マンチェスター・ユナイテッドとチェルシーのリーグ戦のときだ。彼は人間的にも素晴らしく、社交的でポジティブな人だから、良い関係を築いていた。だけど、監督というのは、ときに独裁的な面もなければならないものだ。それでも、彼は素晴らしい監督だったし、偉大な人間だと思う。
■サッカー界の変化には「逃れられない」
――最近のユナイテッドは、あなたがいた頃ほど魅力的ではありません。ジョゼ・モウリーニョ監督の、規律に厳しく、リスクを避けてばかりのサッカーは、クラブの魂を台無しにしていると思いませんか?
ファーガソンの後を受け継ぐのは、どんな監督にも難しいことだと思う。あんなに多くの勝利の後では、ファンはチームが1位以外の順位にいることを許さないからね。90年代は優秀なウイングが大勢いたけど、今はあまりいない。優秀なウイングがいてこそ、チームのレベルが上がるんだ。あの当時は、ウイングの起用がとても重要だったけど、今はそうでもない。ヨーロッパのサッカーでは,サイドを重視するクラブはほとんどない。おそらくバイエルンはそうだけど、その他では見ないね。
Getty Images――最近のマンチェスター・ユナイテッドは、選手の移籍に大金を使っています。ポール・ポグバに1億ユーロは少し使いすぎでは?
クラブが決めたポリシーなら、そんなことはないよ。ファーガソンのときにはそんな投資はなかったが、彼は渇望していたよ。でも現代サッカーでは、そんなことは毎年のことだし、ますます多くのお金が飛び交うようになっている。あらゆることが変化するものだ。もちろん、行き過ぎなこともある。私の趣味ではないね。でも、そこから逃れることはできない。優秀なサッカー選手が欲しかったら、お金を積まなければならない。欲しくなかったら、払わなくてもいい。それだけのことだ。
■問題山積みのロシア代表
Getty――ロシア代表について話してください。今のチームをどう思いますか?
そう、いろいろ問題はある。残念ながら、サッカー界で働いている多くの人がアマチュアで、サッカーを殺している。年ごとにひどくなっているよ。それに、今の選手たちは私たちの頃ほど外国でプレーしなくなった。選手たちはほったらかしにされていて、全く進歩していない。代表チームに多くの問題があるのは、そのせいだ。
――ロシア国内の才能を見ても、あなたの時代のほうが今より良かったのでしょうか?
当時はソビエト連邦の教育がまだ残っていて、すべてが教えられていた。アイデアやシステムがちゃんとしていた。ソビエト連邦が崩壊してからすべてが消えてしまった。
――では大きな国際大会で、あなたの世代が好成績を収められなかったのはなぜですか?
私が思うに、材料はすべてそろっていた。良い選手がいて、良い監督もいた。たぶん、組織力がなかったんだろう。ソ連の末期から、全体的に少し混乱していた。国の状態が混とんとしていたし、特に経済が悪かった。スポーツが影響を受けるのは、当然のことだよ。だから、私たちは良い結果を出すことができなかったんだろう。若い世代は、とても成功していたけれどね。ソ連の崩壊で経済がおかしくなり、犯罪が増えた。当然、サッカーに悪影響が出たし、他のスポーツもそうだった。
――あなた個人は、2度欧州選手権に出場しましたが、ワールドカップには出られませんでした。1994年のことについては、あなた自身が選んだことでしたね。あのことについて、少し話してください。
私たちは革命を起こしたかった。そして、あれはうまくいった。言えるのはそれだけだよ。
インタビュー=ナイーム・ベネドラ/Naim Beneddra

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