2017-10-02-hiroki-sakai

マルセイユ絶好調で迎えるELザルツブルク戦。唯一の懸念は酒井宏樹不在だが…

マルセイユは26日、ヨーロッパリーグ準決勝に挑む。ベスト4まで勝ち残ったのは、前身のUEFAカップ時代も入れて3度目。前2回はいずれも決勝戦に進出している。

対戦相手はオーストリアのザルツブルクだ。彼らとはグループリーグでも対戦しているが、実は今シーズンのヨーロッパリーグ戦で、一度も勝利を奪えていないのがこのザルツブルク。アウェーでのファーストレグは0-1で黒星、本拠地でのセカンドレグは0-0のスコアレスドローに終わっている。

対戦相手が彼らに決まったとき、MFマキシム・ロペスは「すでに戦ったことのある相手で、敵陣の雰囲気もわかっているからやりやすい」と答えていた。

勝てていないとはいえ、大敗したわけでもないから、それほど悪いイメージはなさそうだ。何より、今のマルセイユはノリにノッている。

その起爆剤となったのが、準々決勝のRBライプツィヒ戦だ。

Luiz Gustavo Marseille LeipzigGetty Images

■突然の5発大勝

2018年に入ってから過密日程が続き、特に2月後半、11日間で4試合、しかもブラガとのEL戦、パリSGの2連戦、と厳しい相手とのアウェー戦が3試合続いたときは、見ているのも痛々しいほど、選手たちは心身ともに疲れ切っていた。

いつもは最後まで懸命にボールを追うルイス・グスタボさえ、ルーズボールは無理して追わない、といった体力温存策をとっていたほどだ。

その流れのまま3月に突入し、来季のCL出場権を争うリヨンとの直接対決にはホームで敗れ、EL・ライプツィヒとの初戦は0-1で落とし、さらに第2戦直前のリーグ戦、対モンペリエ戦も0-0のドローと勝ちきれずに終わると、嫌な空気が漂った。

と、そこへ来てのセカンドレグ5発大勝である。

バースデーボーイの酒井宏樹が初ゴールにして勝利を決定づけるダメ押しの5点目をマークした瞬間、選手たちのアドレナリンは沸点に達した。

過密日程や負傷者続出でメンタル的にもやや下がり気味だったチームを、この劇的な勝利が一変させたのだ。

■主力も好調

燃え尽きが懸念された3日後のトロワ戦も、2度奪われたリードを2度とも覆して最後は2-3で逆転勝ち、そして土曜のリール戦では、またも5点を叩きこんで快勝と、チームは今自信に満ちている。

エースのフロリアン・トヴァンはライプツィヒ戦から3戦続けてゴール、ディミトリ・パイェもゴールにアシストにと得点に絡む働きで、主力が絶好調。このタイミングでザルツブルク戦を迎えられるのは大きなアドバンテージだ。

■ついに安定した強さの秘密とは…

今季のマルセイユの強さの秘訣として挙げられるのは、彼らにこれまでになかった粘り強さのようなものがあること。

強豪ゆえか、相手にリードされるとガクっと攻め気を失ったり、格下と思しきチームが相手だと気が緩んで取りこぼす、というのが不名誉ながらよくあるパターンだったが、今の体制になってからはそれがない。

またフランス代表のパイェやトヴァンら、エゴも立派な主力選手たちも含め、全員がチームのために懸命にプレーしたいという意識をしっかりと持っている。

「みんながお互いのためにプレーしようとしている」

というのは酒井もたびたび口にしているが、酒井も含め、選手たちが全員、今このチームでプレーするのが楽しくて仕方がない、と感じているのがパフォーマンスから伝わってくる。

そのようなチームにまとめあげたのは昨シーズンの10月に着任したリュディ・ガルシア監督の手腕でもある。

律するところは厳しいが、指導に関しては指示も的確で、采配が結果に結びついているから選手も信じて打ち込める。

戦力面では、元セレソンのルイス・グスタボの加入が大きなプラスだ。守備的MFだが、人材不足の際にはセンターバックもこなす。とにかく判断が良く、動きの効率性が高い彼が中盤に入ったことで、マルセイユのプレーの質は明らかに昨シーズンから数段上がった。

■酒井も好調を支える一人

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そして酒井宏樹も、マルセイユの好調を支えている重要なメンバーの一人。両サイドバックを3人で回すという厳しい状況の中、必要とされれば左サイドバックやセンターもこなし、そこでも及第点以上の仕事をしている。

2年目でチームメイトとの連携も格段に向上した酒井は、目に見える守備の仕事からさらにグレードを上げ、味方が、彼らがもっとも自分の持ち味を生かせる体制でパスを受けられる状況を作ったり、そのために敵の動きをブロックしたりという、オフ・ザ・ボールの動きにさらに磨きがかかった。

どの位置ならファウルで止めるか、ボールホルダーに対してどの間隔で寄せていくか、ゴール前に攻め込まれた場面はどう動くか、という判断においても、確実に精度が増している。

彼の周りでプレーする選手たちが、「やりやすい」と感じているのはそのおかげでもある。

サイドバックの仕事を全うすることに加えて、黒子的な動きでも、酒井はチーム全体の効率を上げているのだ。

しかしそのオーバーワークがたたったのか、21日の34節リール戦では左膝を負傷して前半23分にピッチを退いた。幸い十字靭帯は損傷していないようだが、数週間は離脱となる見込みで、ネット上には

『彼の離脱は痛い。チームにはヒロキが必要だ』

『ザルツブルク戦には絶対に彼の力が必要だったのに』

といったサポーターの残念がる声が相次いでアップされている。

ガルシア監督も、「現チームのサイドバックで最も守備的なプレーができるヒロキの離脱は痛い。別の戦法を講じなくてはならなくなった」と、苦しい心境を語った。

26日の試合は、チケットはすでに完売した。ヴェロドロームは最高の雰囲気に包まれることだろう。

その中で酒井が奮闘する姿が見られないのは残念だ。それになんとしても相手を無得点に抑えたいこの試合で、彼の不在は非常に痛い。

チームメイトたちが彼の分まで奮起してくれるのを祈るしかない。

そして5月16日、リヨンで決勝戦に挑めることを。

取材・文=小川由紀子

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