まさに近年のレアル・マドリーという試合運びだった。
最小限のクオリティで最大限の勝負強さを見せる。25日に行われたバイエルン・ミュンヘンとのチャンピオンズリーグ（CL）準決勝ファーストレグはまさにそういうものだった。
バイエルンのホーム、アリアンツ・アレーナで行われた一戦では押し込まれながら、数少ないチャンスをものにして2-1で初戦を制している。バイエルンDFニクラス・ジューレには「こんなにミュンヘンで弱いレアルは見たことがない。5-2で勝つことだってできた」とコメントされたが、勝負強さこそ愛すマドリディスタからすれば、負け犬の遠吠えにしか聞こえないだろう。
マドリーの成功のシンボルとも言えるクリスティアーノ・ロナウドは完封され、チャンピオンズリーグでの連続得点記録は11でストップしたが、違いを作ったのはマルコ・アセンシオ、ルーカス・バスケスといったいわゆる絶対的な主力ではない選手たち。アセンシオは昨季のバイエルン戦に続き、価値あるゴールを決め、バスケスはフランク・リベリの突破を水際で防ぎ続けた。
Getty Images今季はリーガ、コパ・デル・レイで早々に優勝を諦めなければならない状態となり、残されたタイトルはCLのみ。だからこそ、ジネディーヌ・ジダン監督も記者会見では力を込めてこう語る。
「今季最大の試合だし、ファンだってそのことを理解している。ファンが開始1分から90分まで、私たちとともにあることを願っているよ。チームは偉大な試合を演じなくてはならない。集中、決意、専心、デュエル……、フットボールにおけるすべての言葉を口にすべき試合なんだ」
「ファンに対しては、決勝に到達するため、これまで以上に私たちにともにあることを頼みたい」
追い込まれたときにCLで驚異の強さを発揮してきたのがマドリーの歴史。3連覇という偉大過ぎる大きな目標へ向かって邁進するのみだ。
一方のバイエルンは痛すぎる敗戦だった。チャンスはありながらも、絶対的なエースであるロベルト・レヴァンドフスキが決めきれず。特に終盤のコランタン・トリッソからのスルーパスで抜け出したシーンでのシュートミスは、世界最高のストライカーと名のつく選手として許されないものだった。一部報道では、低調なクオリティに終始したエースに仲間は不満を表し、ユップ・ハインケス監督も練習前に本人に奮起を促したとも伝えられる。
Getty Imagesしかし、バイエルンにも同情すべき点はある。レヴァンドフスキはファーストレグの前に「昨季は（選手が負傷離脱し）ボロボロだった。今季は違う」と語っていたが、“同じ”だったのかもしれない。
マヌエル・ノイアー、キングスレー・コマン、アルトゥーロ・ビダルの欠場は決まっていたものの、直前でダビド・アラバも間に合わず。さらには開始8分でアリエン・ロッベンも内転筋の問題で負傷交代を余儀なくされた。2人の不在をもろに受けたのがリベリ。後方からのサポートを期待できず、左サイドからの攻撃に偏るチームで、リベリはまさに孤軍奮闘。シーズン終盤でもキレキレの動きを見せる35歳だったが、70分過ぎには肩で息をし始め、疲労の色は隠せなかった。
Getty Images結果も昨季と同じホームで1-2の敗戦。しかし、去年と重なる点が多いならば、サンティアゴ・ベルナベウでも恐れることはない。なぜなら昨シーズンも90分間では2-1と勝利しているから。そのディティールを分けたのは審判の判定だった。バイエルンはその小さな変化を未来に与えるべくマドリーへと乗り込む。
25日の敗戦で全くの互角だった両者の対戦成績はマドリーが一歩リードした。欧州屈指の名門同士の戦いを五分に戻せるか、ひいては決勝進出を決められるか。互角というロマン、タイトルという現実のために戦うバイエルンにかかる期待は小さくない。
文＝平松凌（Goal編集部）
▶サッカー観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう
【DAZN関連記事】
● DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
● DAZN（ダゾーン）に登録・視聴する方法とは？加入・契約の仕方をまとめてみた
● DAZNの番組表は？サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
● DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは？
● 野球、F1、バスケも楽しみたい！DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ