ポゼッション、ボール支配率は、現代サッカーにおいて勝敗を左右するものではなくなっているのだろうか。ロシア・ワールドカップでのここまでの結果は、それを如実に示すものとなっている。
今大会の大きなサプライズとなったのはドイツのグループステージ敗退、そしてスペインが決勝トーナメント1回戦で開催国ロシアに敗れたことだ。ともに近年世界のトップに立った強豪国だが、今大会においてはもう一つの共通点が存在する。
それはボール支配率。ロシア・ワールドカップで最も高い平均ボール支配率を記録したのがスペインで、71.3%であった。ドイツはグループステージの3試合だけとなるが、スペインに次いで高く、67.3%を記録している。ちなみに、3位はアルゼンチンで、62.8%だった。
結果は知っての通りで、すでに3カ国とも敗退に追い込まれている。特にスペインとドイツは、それぞれロシアと韓国に封じられ、パス回しがそれほど効果的でないことを逆説的に示した形となった。
さらに、イギリス『テレグラフ』が興味深いデータも紹介。ロシアW杯では、片方のチームのポゼッションが65%を超えると、勝率は35.7%となり、引き分け以下に終わる確率が64.3%となるというものだ。もちろん、先制したチームが守備に重きを置き、ボールを譲る形でポゼッションが上がるという試合も往々にしてあるが、必ずしもボール支配率の高さが勝利につながらないことは示している。
かつてヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表前監督が、メンバー発表の際にボードを使いながら、「ポゼッションが全てではない」という旨の話で熱弁を振るった。そして、世界最先端のサッカーが繰り広げられるワールドカップでもその通りの結果が出始めている。いまだに日本では幻想を求めるように「ポゼッション信仰」が語られることも少なくないが、今一度ボール支配率という数字の見方について考え直すべき時が来ているのかもしれない。

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