ベルギー戦の最重要ポイント。セットプレーの守備改善なくして8強進出はなし

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(C)Getty Images
ロシア・ワールドカップ第3戦・ポーランド戦。日本代表はセットプレーで失点し、0-1で敗戦した。結果として決勝トーナメント進出は決めたものの、このような失点はできるだけ減らしていきたい。この試合の一瞬のほころびはなぜ生まれたのか。

■セットプレーからの失点が7割!

またしても、繰り返された。

0-1で敗れたグループリーグ第3戦のポーランド戦。引き分けでも決勝トーナメントに勝ち上がれる状況にありながら、日本は先制ゴールを許した。

問題なのは、その「やられ方」だ。

ポーランド戦の失点は、ラファウ・クルザワからのクロス性の直接FKを、走り込んだヤン・ペドナレクにフリーで合わせられたもの。試合後、長友佑都は「悔しい」と正直な気持ちを吐露し、こう続けた。

「あれだけ練習をしておきながら、ここ数試合も親善試合もそうだし、セットプレーから何度も取られて、結局それで負けてしまっている。やるせない気持ちじゃないですけど、あれだけやったのに……というのはあります」

セットプレーからの失点が止まらない。

西野ジャパンの初陣となった壮行試合のガーナ戦(0-2)では、開始9分に直接FKを叩き込まれ、51分にPKで失点。全ゴールをセットプレーから喫した。スイス戦(0-2)でも1失点目はPKから。4-2で勝ったパラグアイ戦も、2失点はスローインとFKが発端となっている。

パラグアイ戦後、西野朗監督は「これからは自分たちが受け身になることが多く、セットプレーの精度が高い相手との試合になる。不用意なファウルを与えないとか、少しでも相手へ体を寄せるとか、リスク管理にフォーカスしたい」と語っていた。

ベースキャンプ地のカザンに入ってから、日本代表は非公開練習を行っている。その様子をうかがい知ることはできないが、「あれだけ練習をしておきながら」という長友のコメントからも、セットプレーにかなりの時間を割いているのは間違いない。ピッチの上はもちろん、宿舎ではビデオを見ながら、守り方についてスタッフと選手が細かく詰めているという話も聞く。

だが、セットプレーからの失点は本大会でも止まっていない。

初戦のコロンビア戦ではファン・フェルナンド・キンテーロに直接FKを決められた。「ミーティングでボールの質を見て、できるだけつま先立ちで、ぎりぎり高く跳ばなくていいと言っていた」(昌子源)にも関わらず、壁の選手がジャンプしてしまい、その下を通された。

ここまで西野ジャパンは6試合で10失点。そのうち直接、間接を含めたセットプレー絡みの失点は7に上る。一般的にサッカーの得点は1/3がセットプレーから生まれると言われるが、これは明らかに多すぎる。

■リスク管理とミスマッチ

ポーランド戦後、DFリーダーの吉田麻也は険しい表情で語った。

「自分たちの課題を克服しなきゃいけない。次にベルギーが来ても、イングランドが来ても、セットプレーは両方とも強い、戦いが続いていく中で克服していかなきゃいけない」

セットプレーの失点を減らすためのキーワードが2つある。

一つは「リスク管理」。

コロンビア戦の直接FKは、壁が事前の話し合いと違ってジャンプしてしまったとはいえ、わずかなコースを正確に通す、キンテーロの技術があったからこそ。

問題はゴールまで25メートルほどの距離での直接FKを与えてしまったリスク管理にある。長友がクリアを蹴り損ねてボールが真上に上がり、その落下地点へラダメオ・ファルカオに入られてしまった時点で勝負は決まっていた。

フィジカルコンタクトに強いFWを抑えるには、複数の選手で挟み込まなければならず、必然的に体にぶつかったり、足を引っ掛けたりするリスクが高まる。ベルギーにはロメル・ルカクという190センチの大型FWがいる。同様のケースには細心の注意を払わなければいけない。

Romelu Lukaku Belgium 2018 World Cup

▲ベルギー代表のルカクは190cm

もう一つのキーワードは、「ミスマッチ」だ。

ポーランド戦でゴールを決められたペドレナクのマークは、酒井高徳の担当だったという。マンツーマンの守備ではマークを外した選手には責任の所在があるのは確かだ。とはいえ、適正な配置だったのかは検証すべきだろう。

失点シーンでゴール前に入っていたポーランドの選手は5人。その時のマークの担当は映像で見る限りはこうだ。

ロべルト・レヴァンドフスキ(185cm)←槙野智章(182cm)=身長差-3センチ

グジェゴシュ・クリホビアク(186cm)←酒井宏樹(183cm)=身長差-3cm

ペトラネク(189cm)←酒井高徳(176cm)=身長差-13cm

カミル・グリク(190cm)←山口蛍(173cm)=身長差-17cm

カミル・グロシツキ(180cm)←柴崎岳(175cm)=身長差-5cm

西野ジャパンでは、最も身長の高い吉田麻也(189cm)が相手のFKやCK時に特定のマークを持たず、ペナルティボックス内の危険な場所に残って、それ以外の選手にマンツーマンでマークをつける守り方を採用している。この試合では柴崎がファーサイドのゾーンを担当し、グロシツキを見る形になっていた。

そのためレヴァンドフスキのようなターゲットマンに対しては、昌子や槙野などセンターバックの選手をマークにつけられるが、それ以外のマークでは身長差のある組み合わせ、いわゆる“ミスマッチ”が生まれやすい。

体格差が大きいと、競り合いの前のハンドオフや、フィジカルコンタクトでバランスを崩し、マークについていけないリスクもある。酒井高がペドレナクをフリーにしてしまった場面でも、ボールが蹴られる前に体をぶつけられている様子が確認できる。

■ベルギーの破壊力はポーランド以上だが……

ポーランドのキッカー、クルザワが蹴ったボールは、レヴァンドフスキの頭の上を越える、フワッとしたボールだった。ターゲットマンをオトリにして、競り勝てる確率が高い選手を意図的に狙ってきたのだ。

ベルギー戦でも同様のケースは十分に考えられるだろう。190cmのルカク、186cmのアクセル・ヴィッツェル、そしてセンターバックの先発候補は全員が180cm代後半で、フェライニ(194cm)という空中戦のスペシャリストもいる。

なおかつ、キッカーを務めるのは世界最高峰の司令塔、ケヴィン・デ・ブルイネだ。“ミスマッチ”になっているところに、ピンポイントでボールを蹴り込まれれば、失点につながる危険は極めて高い。

危険な場所でファウルしないようにリスク管理を徹底し、ミスマッチが起きないように試合中も確認し合い、コロンビア戦で見せたようなオフサイドトラップを仕掛けて驚かせる――。

90分間を通じて、これをパーフェクトにやり切れるかが、ベルギー戦での最重要ポイントになる。

決して簡単ではない。ただ、それができなければ、ベスト8は見えてこない。

文=北健一郎

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