前半戦の評価:3.5(5段階評価で1が最高、5が最低)
立ち位置:ウイング、CF、トップ下のレギュラークラス
公式戦出場記録:14試合出場3得点
後半戦の目標:レギュラーキープで得点倍増
■前線のマルチロールとして貴重な存在になっていたが

大迫勇也のブレーメン加入1年目を象徴していたのが、ブンデスリーガ第17節のRBライプツィヒ戦だった。2点ビハインドの58分にCFとしてピッチに送り出される。77分には最前線で巧みにキープしてからのラストパスで、同じく途中出場のジョシュア・サージェントによる同点弾をアシストした。しかし、その後に訪れた自身の決定機で痛恨のシュートミス。試合終盤は2列目でのプレーを求められた。
屈強なDFを背負っても見事にポストプレーをこなし、前線に起点を作る一方で、FWとして決めるべき場面で決めきれない。そして、本職のCFに加え、左右のウイング、トップ下と複数のポジションを器用にこなしたのが前半戦の大迫だった。フローリアン・コーフェルト監督の采配に幅をもたせる前線のマルチロールとして貴重な存在になっていたものの、本人がケルン時代から掲げる目標(二桁ゴール)を考えれば、リーグ戦14試合で3得点という成績に及第点以上の評価はつけられないだろう。
出だしは良かった。プレシーズンマッチに加え、DFBポカール1回戦のヴォルマティア・ヴォルムス戦でヘディングシュートを決め、フランク・バウマンSDに「我々が彼をヘディングモンスターとして認識していたわけではない。だが、タイミング、技術、嗅覚がとても良いね。強烈ヘッダーとは高さだけじゃない」と言わしめた。ちなみに、バウマンは現役時代に“ヘディングの名手”ミロスラフ・クローゼと共にプレーした元ドイツ代表だ。
■どうしてもゴールが欲しい時にベンチに下げられる

第2節に決めたリーグ戦初得点は、また別の点取り屋らしさが凝縮されたゴールだった。ダイアゴナルランでオフサイドラインを突破すると、フランクフルトのGKケヴィン・トラップの股間を抜くシュートで先制点をマーク。右ウイングとして先発し、後半途中からCFを務めた開幕戦とは異なり、左ウイングで起用されても結果を残し、指揮官やチームメイトからの信頼は確実に増していった。
2ゴール目は第9節のレバークーゼン戦。1-3で迎えた62分、CKの流れからゴール前の密集地帯でフリーになり、左足のダイレクトでネットを揺らした。フランクフルト戦の得点もそうだったが、VARで判定が覆り、ゴールが認められる形だった。しかし、この追撃弾も虚しく、チームは終盤に立て続けに失点。大迫は2-6と点差が開いた直後の79分に交代を告げられた。
どうしてもゴールが欲しい時にベンチに下げられたのは、レヴァークーゼン戦に限った話ではない。中盤まで下がって組み立てに貢献したり、巧みなキープで味方の攻め上がりを促したり、大迫の攻撃における貢献は幅広いが、肝心のゴール前での怖さに欠けるのは事実。指揮官にとって、常にピッチに置いておきたい、それこそ主将マックス・クルーゼのような立場はまだ築けていない。
むしろレギュラーの座も安泰ではなくなっている。第11節のボルシア・メンヒェングラードバッハ戦では、ブレーメン加入後初となる出番なし(胃の不調でメンバー外だった第4節を除く)。3試合ぶりに先発した第13節のバイエルン戦でチーム唯一のゴールを挙げても、ベテランのマルティン・ハルニクや加入2年目のミロト・ラシツァ、さらにはドイツ期待の新星ヨハネス・エッゲシュタインら他のアタッカーと天秤にかけられ、スタメンに選ばれるかはコンディション次第という状況になっている。
■「歩兵ですよ、歩兵。地道にやるだけです」

後半戦はさらにライバルが増える可能性がある。昨年12月に負ったアキレス腱断裂の大ケガを乗り越え、すでにトレーニングに復帰しているフィン・バルテルスだ。その練習で筋肉系のトラブルが発生し、実戦復帰がずれ込んでいるものの、昨シーズン前半までクルーゼと阿吽の呼吸を見せていたこのアタッカーは、攻撃陣の一角を占めるポテンシャルも実績も有している。
ケルンで不動の地位を築いていた一昨シーズン、昨シーズンとは異なり、厳しい競争を強いられている大迫。目標の二桁ゴールを達成するには言うまでもなく、良好なコンディションの維持が必須になる。もちろん、コーフェルト監督の起用法にも左右されるだろう。前半戦のように“便利屋”的な起用が続けば、フィニッシュに専念することは難しい。CFでの起用時に結果を残すことが大きな課題と言えるだろう。
かつて大迫にインタビューした際、最後に本筋とは関係のない質問をあえてぶつけてみた。「ご自身の性格を(好きな漫画である)キングダムのキャラクターに例えると?」と。それまで固い表情だったが、その時ばかりは「なんちゅう質問ですか」と苦笑いしつつも、「歩兵ですよ、歩兵。地道にやるだけです」と答えてくれた。アジアカップ参戦後に迎える後半戦も、大迫は地に足をつけてゴールを目指し続けるはずだ。
文=遠藤孝輔(サッカージャーナリスト)
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