フットボールは気分転換?フランクフルトの好調を支えるのは気楽な男、ダ・コスタ/独占インタビュー

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アイントラハト・フランクフルトの多文化が共存するロッカールームの様子について、若手プロ選手が直面する問題やドイツ代表への招集の可能性について、ダニー・ダ・コスタが語る。

人は彼をこう呼ぶ―― “走る驚異”、はたまた“パートタイム・ゴールハンター”、そして“ジョークの達人”。アンテ・レビッチやルカ・ヨヴィッチら夢の攻撃陣が大いに話題を呼んでいるアイントラハト・フランクフルトだが、華々しい飛翔を続けるチームの中にあってダニー・ダ・コスタもまた異彩を放つ存在だ。だが、現在25歳のこの右サイドバックにとって、これまでもずっと最近のように順風満帆な日々が続いてきたわけではない。

ダ・コスタがここへたどり着くまでには険しい道のりがあった。ケガを経験し、だがそればかりでなく、あまりにもてはやされ過ぎ、若さゆえにあまりに心構えが足りなかったせいもあって、ブンデスリーガデビューしたレヴァークーゼンではブレイクを果たすに至らず。

『Goal』の独占インタビューに応えたダ・コスタは、17歳という若さでデビューした彼がプロの選手としてやっていく上での弱みがどこから生じたのか、その原因を率直に話す。さらに、U-21代表に招集されたこともある彼はこの先の展望について胸の内を明かし、ドイツ国外へ移籍する可能性やドイツ代表の可能性についても語った。

■「全員のまとまりが僕らの生命線だ」

Frankfurt Leverkusen

――質問も答えもこみで、ご自身だけでインタビューをやりたいですか?(笑)

いやいや、一緒にやろうよ(笑)。

――では、ちょっと教えてください。昨年11月に行われたヨーロッパリーグ(EL)のアポロン戦(3-2)後のインタビューでは、両方とも一人でやりましたよね?

早く終えて、チームのみんなと一緒に勝利のお祝いをしたかったんだよ。僕たちは大きなことを成し遂げたんだ。正直言って、あともう4つも5つもの質問に答えようって気にあんまりなれなかったんだよ。だから考えたのさ、さっさと自分でインタビューして、すぐまた引っこんでしまえばいいってね。

――記者の質問はあらかじめ予想がつきますか?

試合後にどんな質問をされるかわかることはよくあるね。だけど、あの時は全然そんなことを思ってたわけじゃないんだ。さっさと自分でインタビューを済ませたかったけど、メディアを批判したかったわけじゃないんだよ。そうじゃなくて、ただ早く仲間と一緒に勝利の味を楽しみたかっただけなのさ。

――ヨーロッパリーグでの勝利はあの時だけではありませんね。フランクフルトはドイツのチームとして初めてグループリーグの6戦すべてで勝利を収めていますし、ブンデスリーガでも順調な活躍を見せています。どうしてこんなにうまくいっているのでしょうか?

まず、僕たちが難しいシーズンスタートを切ったってことをわかってほしい。僕たちがやろうと思っていたことは簡単にはうまくいかなかった。それでもみんなで同じ目標を目指して頑張り続けたんだ。そのことが決定的に重要だったのさ。全員が一つにまとまっていること、それが僕らの生命線なんだよ。誰もがいつでも走りだす用意ができていることがはっきりわかるし、びっくりするようなやり方で仲間のために自分を犠牲にしたり、仲間の失敗を取り返そうと張り切っているんだ。

――難しいシーズンスタートだったということですが、アディ・ヒュッターの計画通りには運ばないのではないかという不安はありましたか?

それはなかったね。最初からすぐに何もかもきちんと動き出すわけじゃないってことはわかっていたからね。もちろんDFBポカールを勝ち抜いて、DFLスーパーカップがそれほど大きな失敗に終わらなければいいとは思っていただろう。だけど、不安はなかったよ。僕たちはずっと冷静だったし、最初の何試合かに勝った後も、もっと自信をつけて、より落ち着いてプレーすることができていた。

2019-01-08-hutter-kovac

――ヒュッター監督と前任者のニコ・コバチではどんな違いがありますか?

2人とも細かいところまで目を配るタイプだし、野心的で、チームから最高の力を引き出すという目標を常にはっきりと意識している。たとえば今シーズンと昨シーズンの得点や失点の数字を比べてみれば、2人のアプローチの違いがわかるだろうね。片方は4-1で勝つ方が、つまり1点やそこら取られる危険を冒してもたくさん点を入れる方がいいという考え方で、もう片方は1-0で勝つ方が、つまりとにかく相手にゴールを許さずに、自分たちのゴールをしっかり決めるのがいいって考えているんだよ。

――あなたにとっては、コバチのコントロールの行き届いたフットボールよりヒュッター監督の華々しい攻撃的なフットボールの方が楽しいですか?

成果を出せれば、僕には何でも楽しいね。もし派手に大量得点を決めたとしても、おしまいにそれよりたくさん点を入れられてしまえば、楽しい気分もぶち壊しだ。1点も入れられなくて負けてしまっても、やっぱり同じことだしね。フットボールにはいろいろ違ったアプローチの仕方がある。どのやり方にも良いところと悪いところがあるんだよ。

■「チームのために力を尽くすのが僕の楽しみだ」

Danny da Costa Eintracht Frankfurt

――フランクフルトでは18もの国籍の選手たちが活躍しています。お互いどうやって意思の疎通を図っているのでしょう?

僕たちがお互いにちゃんと理解し合っていることは、ピッチの上の僕らを見ればわかるだろ? コミュニケーションの問題は全然ないね。必要な時には手でも足でも使って、そこにいるやつにしてほしいと思ってることを伝えるんだよ。ロッカールームでは、とにかくただ愉快なだけだしね。

――その辺の話をもっと詳しく聞かせてほしいですね。

ロッカールームはものすごく賑やかで、あっちでもこっちでも叫んでる声が聞こえるんだ。誰かがセルビア語で叫んでると別の誰かはクロアチア語で叫んでる、その合間にまた別の誰かがフランス語やスペイン語で叫んでる、って具合さ。おまけに、ドイツ語を使う連中(ダ・コスタ自身もドイツ生まれでドイツ語を話す)まで何人かいるんだからね(笑)。 外国から来た選手がめちゃくちゃなドイツ語で何か言ったりすると、もっと愉快なことになるのさ。

――そんな状況だと、きっと外国語の知識が磨かれることでしょうね?

そうだね、僕も片言ぐらいは身につけたよ。けれど、外国から来た選手がドイツ語を学んで話せるようになろうと努力している時には、真面目な気持ちで評価しなければいけないと思うんだ。ドイツ語を身につけるのは彼らにとっていいことだし、誰にだって人に笑われるようなところがあるのは普通のことだからね。

――あなた自身が愉快なタイプで、思ったことをそのまま口に出すとみんなに思われています。そしてそれはまた、あなたがドイツのファンから非常に愛される理由の一つにもなっていますね?

おまけに僕は、気分転換にちょっぴりフットボールまでやるしね(笑)。 いや、たとえジョークのおかげだとしても、ファンが僕を愛してくれるのはうれしいことだよ。僕はまさにそういうタイプなんだから。僕はいつだってある程度自分を皮肉な目で見たり笑ったりすることにしているし、大抵の場合はいつも頭に浮かんだことは口に出すんだ。これからもそんなふうにやっていくつもりだよ。

――あなたがフランクフルトとそんなに相性がいいのはなぜなのでしょうか?

ひょっとすると、僕が元々は移民だったせいかもしれないね。僕自身の中にいろいろな文化が共存しているんだから、僕が初めからこのクラブにうまくなじんでいるのも当たり前のことだ。もう一つ付け加えるなら、ここが熱意と協力の精神にあふれたチームだってことだね。それが僕のプレーにぴったりなんだ。僕は90分間自分のすべてを捧げ、前へ後ろへサイドを走り回るのが好きなんだ。チームのために力を尽くすことが僕の楽しみなんだよ。それがフランクフルトにぴったり合ってるんだ。だから、ものすごく居心地がいいね。

■「プロのフットボーラーでいられるのは幸運なことだ」

Da Costa Luis Alberto Proto Eintracht Francoforte Lazio Europa League

――フランクフルトでレギュラーの座を勝ち取るまでには険しい道のりがありましたね。あなたが17歳の時にレヴァークーゼンでプロデビューを果たしたのは、ELのアトレティコ・マドリー戦でした。一躍ビッグタレントとして注目を集めましたが、その後はかき消したようにピッチの上から姿が見えなくなってしまいました。その理由は?

当時は17歳で、まだ高校も卒業してなかったんだ。けれど当時のことを率直に振り返れば、あの頃の僕には今ほどものを考える頭がなかったと言うしかないね。自分がとても高いところまでたどり着いて、大きなチャンスを手にしているってことは自分でもよくわかっていたんだ。だけどそのチャンスをつかんで、「今僕はプロのチームにいるんだ、二度と後戻りはしないぞ」って自分に言い聞かせる最終的な決意が足りなかったんだよ。

そういう全部のことを受け止めるのにいくらかリラックスし過ぎていて、「すごいや。僕は今からここでちょっとばかりフットボールをやるわけだ」なんて考えていたのさ。それからもっと大変なことになって、僕はケガをした。でも後になって考えると、あれは僕が人間的に成長するためには悪いことじゃなかったね。あの時ケガをしたせいで、だんだんと僕のスイッチが入るようになったんだから。そのせいで僕ははっきり悟ったんだ。「この仕事をちゃんとやるためには、もっと本気を出さないといけない」ってね。

――今あなたが話してくれたような問題を多くの若い選手が抱えていると思いますか?

そう思うよ。ユースからトップチームに昇格して何度かプロの試合を経験すると、「OK、僕は今プロの試合に出てプレーしている、これからもこんな調子でやっていけばいい」って思ってしまうんだ。けれどそこに留まり続けるためには、もっと努力することが求められるんだよ。僕は若い選手ならみんなそうだと言いたいわけじゃないけど、大抵の場合、プロの試合に何度か出ると間違った信号を受け取ってしまう。そんな時、「おい、もっと努力しないといけないぞ」って言いに来てくれる先輩なんてほとんどいないんだよ。最初の反応と言えば、決まってこんな感じだ。「お前は17歳だ、18歳だ、それなのにもうプロのチームでプレーしている。最高だ、すごいことをやってのけているな」。

だけど、ブンデスリーガで生き残ってベテラン選手になるためにはこの先どれだけ努力し続けなければならないか、真っ先にそのことを教えてくれる者なんていないのさ。もちろんその時点ですでに十分に成熟していて、努力が必要なことをちゃんと頭に入れてる選手も少しはいるし、そういう選手はすぐにブレイクするんだけどね。僕の場合はしばらく迂闊なままだったんだ。

――その後、インゴルシュタットへレンタルで出されたことはあなたのためになりましたか?

ケガの後、レヴァークーゼンでは試合に出られるチャンスがほとんどなかった。だから僕は思ったんだ。「いいとも、インゴルシュタットへ行って、できるだけたくさんの試合に出られるようやってみようじゃないか」ってね。僕が選手として、人間として成長するために、あれは正しい一歩だったと思っている。それに、僕は初めて生まれた町を離れることになったんだ。これが僕にとってはとても有益なことだったね。成熟のプロセスというものが確かにあるのさ。僕はある時点でやっと、フットボーラーという仕事をやれるのがどんなに幸運なことなのか理解したんだよ。

■「僕たちにはまだまだたくさんやり遂げたいことがある」

Eintracht Frankfurt da Costa de Guzman 04102018

――フランクフルトでは、わずか1年半のうちに中心選手の一人として盤石の地位を築くことができました。あなたは今25歳ですが、この先さらにどんな夢を描いていますか?

僕はフランクフルトにいる間に、フットボーラーとして今までのキャリアの中で最高に素晴らしい時間を過ごしてきた。DFBポカールでは初めてのタイトルも手にすることができた。もちろんプロとしてフットボールをやっているからには、できるだけたくさんのタイトルを手に入れたいと思っている。だけどその点について正直に言うなら、「一度やってのけたからには、もう一度できないはずはないだろう?」というのが本音だよ。まだフランクフルトとの契約が4年残っている。きっと、もう一度優勝を経験するのが夢だと言えるかもしれないね。ベルリンで行われたDFBポカールの決勝戦でバイエルンに勝ったことは、僕らのチームのほとんどの者にとって何よりも素晴らしい経験だったからね。

――そのうちドイツ国外のクラブへ移籍する気持ちはありますか?

特に外国へ出ることに魅力を感じるタイプじゃないんだ。僕の気持ちは故郷と深く結びついているから、他の国はどこも僕にとってはあまりにも遠い存在なんだよ。これまでに過ごしたのと同じような時間をまだまだたくさんフランクフルトで過ごしたい、ただそのことだけを僕は望んでいるんだ。フットボーラーとして順調で、コンディションも上々で、笑ってトレーニングに出かけられて、毎回必ず試合に出たいと思う、そんな時間をね。プロとして過ごす残りの年月がこの1年半と同じように過ぎていくとしたら、僕はキャリアが終わる時にこう言えるだろう。「僕は本当に素晴らしい道を歩んできた」ってね。

――代表チームに参加できるとしたら、その道はもっと素晴らしいものになりそうですか?

心の片隅を覗けば、確かにちょっとだけ代表チームという夢もあるね。プロの選手にとっては、国を代表して戦えるってことより素晴らしいことはほとんどないからね。だけど、それについて本気で考えたことはないよ。

――ヨアヒム・レーブとコンタクトはありますか?

いや、僕が(レヴァークーゼン時代の同僚)ベルント・レノを訪ねた時に、ホテルのロビーでたった一回彼を見かけて、ちょっとの間話したことがあるだけだよ。

――あなたにとって代表チームへの道は遠いと思いますか?

どう言えばいいのかな。自分が候補に挙がっているのかどうか、僕にはわからない。もちろん僕は今波に乗っているし、そのことがよく話題になってることにも気づいている。けれど、「きっと代表チームに入れるに違いない」と言うにはあまりに時期尚早だろうね。だから、それについてはできるだけ考えないようにしているんだ。僕は自分のチームのことに集中して、そこで最善を尽くそうと思っている。僕たちにはまだまだたくさんやり遂げたいことがあるからね。

インタビュー・文=ケリー・ハウ/Kerry Hau

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