バイエルン監督コバチが重要視すること。どのように変え、何を継続するのか/独占インタビュー

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今季からバイエルンで指揮を執るニコ・コバチ。どのように個性の強いスター選手たちを手懐け、いかにして“自分色のチーム”としていくのか。『Goal』だけに独占で語ってくれた。

バイエルン・ミュンヘンはどう変わるのだろうか。その注目度はブンデスリーガ6連覇中でありながら、決して低くはない。

バイエルンは今シーズンからクラブOBであるニコ・コバチが指揮を執る。しかし、選手時代の経歴がこの栄転を実現させたわけではない。46歳のクロアチア人指揮官はすでに母国を率いてワールドカップを経験し、フランクフルトではDFBポカールを制覇。カップ戦決勝で新天地に決まっていたバイエルンを粉砕するという“おまけ”も付いた。

リーグで6年連続優勝と“1強体制”を築くバイエルンにとって真の目標はチャンピオンズリーグ(CL)。コバチは監督として初めて挑むCL、そしてバイエルンで始まった新たな戦いを『Goal』だけに語ってくれた。

■新天地バイエルンで意識していること

niko kovac - fans - bayern - 19092018

――バイエルンへ来て、現在のチーム構成を知ったと思いますが、さらに新しい選手を使って大きな変革を行う予定はあるのでしょうか?

チームが安定していることは非常に良いことだと思う。選手の大半が、今の構成で何年も一緒にプレーしている。システムがしっかりしていて、約束事が確立している。バイエルンには良い人材が揃っていて、監督にとっては非常に好都合だ。もちろん、若くて才能ある選手たちと、少しずつチームを向上させていくつもりもある。(ギリシャでEURO2004優勝を経験した)オットー・レーハーゲルは「大事なのは、若いかベテランかではなく、良いか悪いかだけだ」と言っていた。私もそう思う。

――会長のウリ・ヘーネスは、今のバイエルンにとってあなたは最高の監督だと言っていました。それはあなたがクラブのことをよく知っているからでしょうか?

ヘーネスがそう言ってくれているのは嬉しいね。クラブにはすべてが整っていて、後は結果を出すだけだ。私は監督として持っている力を発揮しようと思う。虚勢を張る気はない。バイエルンに呼ばれたのは、フランクフルトで成功したからだ。私がバイエルンの選手だったことも事実だ。ミュンヘンとの絆はいつまでも変わらない。ここには今でも友人がいるし、私に何が期待されているかわかっている。バイエルンの選手だったことが不利益になるはずがない。

――ここまでスーパーカップからすべての公式戦で勝利しています。最初からうまくいっていると思っていますか?

もちろん、そう願っているけど、何事も計画どおりには行かないもの。コーチングスタッフだけでなく、チーム全体がとても集中している。ただ、大事なのは人間関係だ。どの選手も感受性が強いし、毎日は同じことの繰り返しではない。たとえば、プライベートな問題を抱える選手がいたり、夜眠れない選手がいたりすることは、ごく普通のことだよ。100%うまくいっているとは言えないが、言葉だけではなく、コミュニケーションで多くを理解しようと努めている。誰かのことを理解するのに、必ずしも話をする必要はないんだ。コミュニケーションはいつでも非常に重要となる。他人と会うのに同じ目線に立つことは、今の社会においてますます重要になってきている。

――公式戦6試合で失点は2。課題だったカウンターに対しても強くなってきたと思います。バランスが良くなってきたんでしょうか?

昨季のDFBポカールの決勝前、どうしたらバイエルンに勝てるかを考えた。そして、成功した。今の私は、ここバイエルンでバランスについて考えている。切り替えの早い試合ではチームのまとまりも大切だ。それによって、チームはトップレベルの試合を非常にうまくプレーすることができる。敵は自分自身だ。守備をさぼれば、危険な試合になる。よりハイレベルな守備ができれば、敵にチャンスを作られて失点することは少なくなるだろう。

■個性の強い選手たちとどう接するべきか?

Niko Kovac Franck Ribery Bayern München 04072018

――ニコ、あなたは指導者になる前、生徒として特に活発で、フレンドリーで“やんちゃ”だったとも聞きます。それについて、どう思いますか?

“やんちゃ”は人聞きが悪いかな(笑)。私はいつも礼儀正しく、フレンドリーだったよ。そうであれと育てられたからね。もちろん、宿題をしないでいったら、学校でどうなるかはわかっていた。みんなが知っていることさ。生徒は先生をあっと言わせたいと思っているものだよ。でも結局はできないんだけどね。

――現在のあなたはどうでしょう?

たくさんのことを学んだから、いたずらは何でも知っている。娘や選手たちには「君らが何をしても私はだまされない」と言えるね。人として、選手として経験したことは忘れないものだ。誰かが私をひっかけようとしても、私はすぐに相手の正体を暴くことができる自信があるよ。

――昨季までフランクフルトというアクの強い選手たちが多くいるチームを指揮していました。クロアチア代表にも難しい性格の選手が大勢いたと思います。監督として何か特別なことをしていましたか?

私は選手と気持ちを一つにしようとしているし、どうしたらうまくやれるかを考えている。人はすぐに感情的になってしまう生き物だが、自分が言ったことや批判がどういう影響を及ぼすか、理解していなければならない。そして、一人ひとりは皆違う。私は選手として、監督としての経験から、人間がみんな同じではないことを学んだ。選手のときは、監督に「全員を同等に扱ってほしい」といつも思っていた。だけど、そういうことは忘れられがちなんだ。私はクロアチアにルーツがあるが、ドイツで育った。そのことが役に立っていると思う。私の中には2種類のメンタリティがあり、時と場合によって使い分けられる。ドイツ人も外国籍選手もいる多様性のあるフランクフルトで、多くのことを学んだ。多様性は人生を豊かにしているよ。

2018-08-18-robben-ribery

――一方でバイエルンでは、スター選手とうまくやらなければなりません。アリエン・ロッベンやフランク・リベリといった、常時出場がかなわないスターたちをどのように扱いますか?

同じ11人が3日おきにトップレベルでプレーするのは不可能だ。選手たちも私も、そのことはよくわかっている。全部の試合に出場できると考えるべきではない。選手たちと話をする必要はあるが、我々は毎日それをしている。話の内容はその時々で違う。選手も週末はプレーできるが、次の週は無理だとわかれば、前もってその準備をすることができる。サッカーで起こりうる最悪の事態は、試合中に「どうすれば90分持つか」と選手が計算してしまうことだ。90分持たせるために、走るのをセーブしたり、デュエルをやめてしまったりする。選手は常にピッチで100%の力を出さなければならない。そして次の試合には別の選手がプレーすればいい。

■「選手は褒められることが必要」

2018-06-28 Germany Korea

――バイエルンにはロベルト・レヴァンドフスキのように、ロシア・ワールドカップを失意のうちに終えた選手がたくさんいます。ドイツ代表もそうでした。そういう選手たちのモチベーションをどうやって上げていきますか?

まず言いたいことは、私は人間であって神ではない。選手はどんな形であれ、褒められることが必要だ。公正で正直であるべきだ。何かを約束したら、それを果たさなければならない。選手たちと話をして信頼を勝ち取り、選手たちに何らかの自信を与えなければならない。私は魔術師でもなければ、奇跡の治療者でもない。ただ、全員と同じ目線で話すことを心掛けている。監督だからといって、上から目線ではいけない。私はそう思っているし、これからもそうしていくつもりだ。

***GER ONLY*** Renato Sanches FC Bayern Niko Kovac

――褒めると言えば、バイエルンの1年目には孤立していたレナト・サンチェスが戻ってきて、個人的に話したようですね。クラブ公式のインタビューで、彼はあなたのことを夢中になって話していました。

過去のことをあれこれ言うことはできない。何が起こったかは知っているけれど、問題が起こった理由は、私は正確には知らないからね。彼はヨーロッパ人だが、ドイツ出身ではない。イベリア半島のポルトガルで育ったわけで、国が違い、習慣が違い、性格が違うんだ。サッカーに限ったことではないし、どちらかというと社会的な問題だ。我々はお互いを理解し合わなければならない。外国人をドイツ人と同じように扱うことはできない。外国人は、様々なことに関してドイツ人とは違う反応をする。レナトには「バイエルンのレギュラーになるのは簡単ではない」と話した。

――彼にアピールのチャンスが来るのはいつになるでしょうか?

彼は若いし、やるべきことをちゃんとやっている。今のところ、個人的な見解では、彼がすぐにでもプレーできる可能性は非常に高い。あの年代の世界最高選手の一人とは言えないかもしれない。だけど、人には時間を与えるべきで、仕事ぶりを早急に評価するべきではない。若い選手たちが外国に来たときは、その国の文化を把握していかなければならない。外国籍の選手たちに早く結果を出せというのはフェアじゃないよ。

■CLは「困難な戦いになる」

――CLが開幕しました。目標は何ですか?

CLはどんな選手、どんなクラブ、どんな監督も出たがる大会だ。バイエルンのサポーターの期待はいつも高いが、私も自分自身や選手に期待している。バイエルンと契約したときから意識していた。我々のグループは強豪ぞろいで、突破は簡単ではない。我々の1位を予想する人は多いし、理論上はそうかもしれない。だが、現実はそう甘くない。

――ここ3シーズンは、レアル・マドリーがビッグイヤーを独占しています。クリスティアーノ・ロナウドが抜けましたが、どのように評価しますか?

レアルが3年連続でタイトルを獲得したのは素晴らしいことだ。この記録はそう簡単には破られないだろう。ロナウドがいなくなって、レアルは変わるだろうが、それでも非常に良いチームであることは変わらない。ただ、チャンピオンズリーグを3度勝ったことは素晴らしいが、リーガ・エスパニョーラではここ3年で1回しか勝っていないことも忘れてはいけない。それだけ、すべての大会で良いパフォーマンスをすることは難しいということだ。それでも、レアルが今季も重要な役割を果たしていくことは間違いないと思うよ。

――レアル・マドリーやいつもの優勝候補以外に、サプライズを起こしそうなチームはあるでしょうか?

まず私としては、スペインのアトレティコ・マドリーとバルセロナが優勝候補かな。イングランドのチームはいつも強いし、パリ・サンジェルマンとユヴェントスもそうだろう。小規模なチームがベスト16に残るのは難しい。ビッグクラブにはお金があるし、それに見合った、才能あるスターがいる。チャンピオンズリーグのレベルでは、そういうことが重要になる。1試合だけなら組織力で何とかできるが、2試合となると、大抵の場合、個々の力がものを言う。だから、結果的に準々決勝に進出するのは、より規模の大きいチームということになる。

――では、バイエルンを優勝候補と呼ばないで欲しい?

そうだね。運やケガにも左右されるからね。いろいろなところで試合があって、移動も大変だし、代表チームのこともあるから、大変なんだ。四重苦と言っていい。運が良くてケガもなく、大事な試合でピッチに中心選手が全員立てれば、チャンスはあるだろう。こうした要素が揃わなければ、困難な戦いになるだろう。

インタビュー・文=デニス・メルツァー/Dennis Melzer

編集=Goal編集部

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