2018-08-15-asiangames-japan-ueda(C)Getty Images

ネパールに1得点のU-21代表。「これがアジア」の中で求められるピッチ内外の対応力/アジア大会

インドネシア・ジャカルタ近郊で開催されるアジア大会に臨む森保一監督率いるU-21日本代表。14日グループステージ第1戦・ネパール戦に1-0で勝利を収めたものの、FIFAランク161位のネパール相手に奪った得点は、7分にMF三笘薫(筑波大/川崎フロンターレ加入内定)が奪った1点のみ。清水エスパルスやFC岐阜で指揮を執った行徳浩二監督が率いるネパールは、5バック、時に6バックで守備を固め、日本はなかなか切り崩せなかった。一筋縄ではいかない相手に加え、日程、練習環境、ピッチ…。実際に現地でしか分からない理由もそこにはあった。

ここではこの代表における本大会の位置付けと今後の展望について、現地で密着取材する川端暁彦氏に伝えてもらう。

■アジアの国体。東京五輪へつながる道

8月14日に行われたネパール代表との試合からアジア競技大会に臨む男子サッカー日本代表の戦いが始まった。

アジア競技大会「Asian Games」は、アジア版五輪と言うべき大会だ。あるいは「アジアの国体」みたいな大会である。サッカーに限らず、五輪競技の多くが実施されており、カバディのような五輪種目ではないアジアンテイストの競技もある。位置づけは競技によってバラバラで、まさにアジアのトップを決める大会として行われることもあれば、世界大会の予選になるような競技もあり、あるいは世界大会には出られないようなクラスの選手が送られることもある。

男子サッカーの位置付けは、元々A代表の大会であり、アジアトップを争う舞台の一つだった。日本ではアジアカップ以上に重視されていた(というか、アジアカップが軽視されていた)時期もある。ただ、大会が増えて過密化が進む中で日本サッカー協会は1998年大会からここにU-21日本代表、つまり五輪代表チームを送り込むようになった。最初に送られたのはシドニー五輪を目指すチームで、中村俊輔、小野伸二らの黄金世代が各国のA代表と戦っている。

2002年大会からはU-23の大会として再定義され、「U-23+オーバーエイジ3名」という五輪と同様のレギュレーションで実施されることとなった。ただ、日本は以降も変わらず、2年後の五輪を目指す代表(つまりU-21代表)をこの大会にエントリーし続けており、今年の大会もまた2年後の東京五輪を目指すU-21日本代表で参戦している。

■「コントみたいだった」練習時の夜間照明

とはいえ、明治安田生命Jリーグは開催期間中。欧州各国リーグも開幕直後か開幕前という微妙なタイミングなので、選手の招集には制限がかかっている。

国際Aマッチではないので欧州組はそもそも呼べず、Jクラブの選手に関しても1クラブ1名までという制限付き。さらにAFCチャンピオンズリーグを控える鹿島アントラーズの選手も選考対象外となった。それもあって大学生がやや多いメンバー構成となっている。

加えて日程もタフだった。8月11日のJ1・J2リーグ戦終了後に成田へ集合して、12日夜に日本を進発し、1日だけ練習してネパールとの初戦を迎える強行スケジュールである。

リーグ戦から中2日、しかもインドネシアへの移動も挟んでなのでタフというほかない。12日に試合のあった神谷優太(愛媛FC)に至っては中1日で初戦を迎える形になってしまうため、当然ながらこの試合では起用できなかった。

まだ「さらに」もあり、初戦の前日練習はナイターだったのだが、この照明がお粗末そのもので、「コントみたいだった」(日本代表スタッフ)。

さすがに「ボールが見える状態じゃない」(森保一監督)ことから、危険と判断した指揮官は「ほぼフィジカル的なトレーニングしかできなかった」という練習メニューに。試合翌日15日の練習も夜から昼に切り替えたが、これも「暑いけれど、ボールを使えないよりは」(同監督)という苦肉の選択である。デコボコの酷いピッチ状態ではあるが、それでもボールを蹴れないよりはマシだろう。

ネパールを相手に1-0という結果は不満の残るものだったが、置かれた状況を思うとやむを得ない面もあり、「選手たちは本当によく頑張って戦ってくれた」という森保監督の言葉も社交辞令ではなく、本音のこもったものだろう。

■「さらに」また「さらに」のこれがアジア

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▲上田綺世(法政大)は6本のシュートを打ったが、決められず

さらに(また「さらに」)、ここで中1日でパキスタンとの第2戦を迎えるというのも、実にタフ。さらに(もっと「さらに」)登録選手が20名と限定されているためにターンオーバーもできない。誰かは強行軍の中での連戦をこなさなければならず、戦略・戦術以前に、まず「メディカル(スタッフ)とも相談しながら」(森保監督)選手をセレクトしていくこととなる。

もっとも。

こうした部分も含めて「これがアジア」(同監督)とスタッフは覚悟してきた部分ではある。悪いピッチ状態でも戦えるかという部分を含めて、森保監督の求める「ピッチ外を含めた対応力」を選手が出せるかどうかが今後の戦いでもポイントになるだろうし、若い選手が将来W杯予選やACLなどを戦うことを考えても、とにかくタフでなければいけないアジア戦線の経験値を得ることには意味もある。

指揮官が掲げるベスト4という目標は3位決定戦を含めて最大の試合数をこなせる結果だという意味合いが込められている。

そのためには、トッテナムのFWソン・フンミンらを含めて大会トップ級、準A代表と言うべき陣容をそろえている韓国との対戦を避けるのが現実的で、まずはグループ1位通過を狙いたい。初戦で得失点差を稼げなかっただけに、パキスタンとの第2戦は単に勝つだけでなく、第1戦で課題だったゴールを積み上げていくことも、求められることになる。

取材・文=川端暁彦

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