ナイジェリアのレジェンド、ウェスト氏が語るスーパーイーグルスへの期待/独占インタビュー

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ロシア・ワールドカップ開催中の現在、『Goal』では様々な選手や監督などに見解を尋ねている。今回、インタビューに答えてくれたのは元ナイジェリア代表DFタリボ・ウェスト氏だ。

4年に一度の祭典がついに開幕した。

『Goal』では、ロシア・ワールドカップ開幕に際して選手や指揮官に独占インタビューを実施。今回は、元ナイジェリア代表DFタリボ・ウェスト氏に話を聞いた。

卓越したスピードや高い身体能力を活かした守備に定評があったウェスト氏は、現役時代にオセールやインテル、ミランなどでプレー。ナイジェリア代表として41キャップを誇り、1998年のフランスW杯などを経験した。そのウェスト氏に、当時の思い出や現在の“スーパーイーグルス”について大いに語ってもらった。

■フランスW杯の記憶

Augustine Okocha Nigeria 1998

――1998年のフランスW杯でナイジェリア代表として戦いました。あの経験はどんな思い出ですか?

悲しかったよ。

――悲しかった?

そう。私たちは自分たちのポテンシャルをすべて発揮できるような状態ではなかった。協会との間に問題があったんだ。フィリップ・トルシエのもとで予選を突破したのに、本大会の始まる数カ月前に監督が変わった(フランス人のトルシエ監督は解任され、1997年12月にセルビア人のボラ・ミルティノビッチが就任した)。計画がすっかり変わって、我々は勢いを失った。監督が代わる前のチームは良かった。監督のもとで予選を見事に突破したのに、最後にあんな騒動になってしまって…。準備が不十分のままW杯が始まってしまった。あの時のW杯について私が良かったと思うのは、フランスでプレーできたこと。そして、フランス代表が優勝したことだけだ。フランスには素晴らしい思い出がいくつもあるから。

――そう言いますが、ナイジェリアは初戦でスペインと対戦して勝利しました。グループリーグは首位通過でしたよね?

そう。でも結局のところ、私たちの本当のポテンシャルを発揮することはできなかった。もっとしっかり準備できていれば、より良いスタートが切れて、もっと先まで勝ち進むことができたはずだった。我々は強いチームだったんだよ! 結束していた。どんな相手とも戦えたんだ。

――1-4で敗れた決勝トーナメント1回戦のデンマーク戦を振り返ってください。

あの日、私たちの頭の中にはすでにブラジルと戦うことがあった(ナイジェリアに勝利したデンマークは、次の試合でブラジルと対戦)。デンマークには勝つつもりでいたんだ。本気でブラジル戦のことを考えていた。デンマークはとても強かった。我々のメンタルコンディションは良くなかった。問題があってスポーツのことだけを考えてはいられなかったから。

――1996年にはアトランタ・オリンピックに出場しましたね。オーガスティン・オコチャ、ヌワンコ・カヌ、ヴィクトル・イクペバ、サンデー・オリセー…。ナイジェリアの黄金世代だったのでは?

そうだね。あの世代はナイジェリアのサッカーの強さをすべて見せつけていた。あの勢いを続けるべきだった。でも組織がちゃんとしていなければ、実力をすべて発揮することはできない。

■ロシアW杯でのナイジェリア

Nigeria

――現在の代表チームをどう思いますか?

今のチームには経験豊富な選手が多くない。ビッグネームがいないね。でも、ゲルノト・ロア監督はよくやっていると思う。とても強いチームだ。若くてフレッシュなチームだよ。

――あなたからみて、ナイジェリア代表で最も重要な選手は誰ですか?

ヴィクター(モーゼス)、(ケレチ)イヘアナチョ、(ジョン)オビ・ミケルたちが才能を発揮している。あのチームの良いところはゲルノト・ロアという、とても経験豊富な監督が率いていることだ。彼はハイレベルなサッカーを知っている。彼の経験を信頼している。

――ナイジェリアは今大会の予選をどの国よりも早く突破しました。チームの強みと弱みを教えてください。

才能があってメンタルが強い。でも繰り返し言うけど、選手たちは数人を除いて最高レベルのサッカーに慣れる必要がある。今のチームには「ヨーロッパでの経験」が足りないね。

――ナイジェリアは、W杯でクロアチア、アイスランド、アルゼンチンと同組です。このグループはどういう序列になると思いますか?

とても難しいグループだね…。今のクロアチアはとてもハイレベルだ。とても強い選手がいる。それからアイスランドも甘く見てはいけないチームだ。2016年のユーロ・フランス大会での活躍はすごかった。さらにアルゼンチンは、世界最大の大会であるW杯での戦いに慣れているからね…。ナイジェリアが奇跡を起こせるとは思わない。モーゼスとミケルを除いたら、どんな選手がチームに残っている? フィジカル的にナイジェリアは強い。でも偉大な選手は多くない。良い選手はいるけどね…。力を集結させてプレーすることが大事だと思う。

■ギー・ルーへの感謝

Taribo West

――あなたはオセールでプレーしていました。44年間もオセールを率いていたギー・ルー元監督は、マンツーマンでマークにつくときには、「首元で相手の呼吸を感じなければならない」と、よく口にしていました。あなたたならリオネル・メッシに対してどのように対応しますか?

私はこれまで、自分の実力を高めるためにたくさんのことをしてきた。ライバルの研究もたくさんした。相手がどう動くか、どんなスタイルなのか…。メッシのバルセロナでのプレーも見たことがあるよ。彼はとても強い。十分に対策を立てないとね(笑)。私の現役時代にも偉大な攻撃の選手が数多くいた。ジョージ・ウェア、ソニー・アンデルソン、ライー、ダヴィド・ジノラ、アレン・ボクシッチ、クリスティアン・ヴィエリ、アレッサンドロ・デル・ピエロ、ロベルト・バッジョ、フィリッポ・インザーギ…。どの試合も大変だったよ(笑)。今は別物だね。いくつかのビッグチームを除けばレベルは落ちている。

――あなたは1995-96シーズンにオセールでリーグ・アンを制しました。振り返ってみて、当時の日々はどうでしたか?

良かったよ。ギー・ルーには感謝している。私をヨーロッパに呼んでくれたし、彼はコランタン・マルティンス、ムサ・サイーブ、サブリ・ラムシ、リリアン・ラスランドといった多くの才能を発掘した。とても良い思い出だよ。とても良い時代だった。

――彼は「警察官」と呼ばれていました。何かエピソードはありますか?

そうそう(笑)。チャンピオンズリーグでアヤックスと戦った時のことを覚えているよ(1996-97シーズンのグループステージ)。2-1で勝ったんだ。試合後、ナイジェリア代表でチームメイトだったティジャニ・ババンギダと過ごしたいと思っていた。彼はアヤックスでプレーしていて、私はオセールにいた。誰かに、「ギー・ルーのところに行って、空港の滑走路の裏でババンギダが車で待っているから、彼に会いに行ってきますって言ってくれ」って頼んだんだ。そしたら、ギー・ルーが、「ダメだ、やつを捕まえろ!」って叫んだんだよ。どうしてもババンギダとは会えなかった。

――ギー・ルーはあなたのキャリアにおいて最も重要な監督ですか?

そうだね。彼はすべてを教えてくれた。私の人生で忘れられない人だよ。あらゆる面において彼に感謝している。数週間前にリベリアで彼に会ったんだ。ジョージ・ウェアの大統領就任式に出席したんだよ。ギー・ルーは私の人生の基礎を築いてくれた人物だ。私にとって彼はただの監督じゃない。父親と言っていい。

■セリエAでの日々

Taribo West Ronaldo Inter UEFA Cup

――オセールの後、インテルに移籍して、ロナウドやユーリ・ジョルカエフとプレーしました。一緒にプレーした中で最強の選手は誰ですか?

類を見ない、卓越した選手として3選手を挙げられる。この3人は他とは比べものにならない。1人目はジョージ・ウェア。2人目は(元ブラジル代表FW)ロナウド。3人目はオーガスティン・オコチャ。この3人が、私が現役時代に目にしたベスト3だ。彼らはどんな試合でもボールを完璧に扱った。試合の形勢をひっくり返すこともできた。人間業じゃなかったよ。

――あなたは、ミラノに2つあるクラブの両方でプレーした特異な選手です。インテルでは大活躍でしたがミランでは苦戦しましたね。

そうだね。イタリアではあり得ないことだと思う。インテルに数年いた後、ミランに入ったけど、あまり試合に出られなかった。中央にはアレッサンドロ・コスタクルタとロベルト・アジャラがいて、左にはパオロ・マルディーニがいたからね。12月にチームを去ることになった…。私はインテルに戻って元の会長と会った。会長は私に、イタリアではミラノの一方のチームからもうひとつのチームに移籍することはあり得ないことだと言った。私は間違いを犯した。ファンを怒らせてしまったね。インテルではすべてがうまくいったけど、ミランには半年しかいられなかった。ほんの数試合しか出られなかったんだ。

■現在、そして将来

Taribo West

――今でも健康のために体を動かしているというのは本当ですか? オセール近郊の小さな町に住んでいて、毎日ランニングをしているという話を聞きました。雨が降っても、雪が降っても、雹が降っても…。

そう、そうだよ。私が運動をやめていないというのは本当だ。そこが私の強みだね。全体練習の後にいつも走って、オセールに4年半いた時もそんな風にやっていた。夏の準備期間中、私の名前がスターティングイレブンになかったこともあった。でも、最終的にたくさんの試合でプレーできた。一生懸命やっていれば、見ている人は必ずいる。

――新しい生活はどうですか?

現役時代はいつまでもサッカーに関わっていたいと常に思っていた。引退後もサッカーの仕事を続けてきた。だけど宗教と関わるうちに、それよりももっと強く、大きく、気高いものがあると発見した(ウェストは牧師になった)。ビジネスもしているし、多くのことにトライしたけど、うまくはいっていない。今はマイペースでやっているよ。心静かにね。

――自分の将来に何を望みますか?

たくさん良いことがあることだね。フランスが美しく勝ち進み、ディディエ・デシャンに幸運があることを祈っている。ナイジェリアにも美しく勝ち進んでほしいね。

インタビュー・文=ジャン・チャールズ・ダンリー/Jean-Charles Danrée

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