18歳のとき、家族の誰にも告げず家を出た。母国ガーナから単身、名門アトレティコ・マドリーのカンテラへ――。だが、トップチームへの道程は決して易しいものではなかった。マジョルカ、アルメリアで修行を積み、アトレティコのトップチームでようやくレギュラーの座をつかんだのは24歳になった今シーズン。スペインの地を踏んでから、はや6年の歳月が経過していた。
今シーズン、アトレティコ・マドリーの中盤において、確かな存在感を示すガーナ代表MFトーマス・パルテイ。躍進する若きMFが、『Goal』に対して「進化の理由」と、週末の大一番「マドリードダービー」について語ってくれた。
■進化の理由
トーマスは今シーズンのアトレティコで最も“化けた”選手だろう。昨シーズンまでのように闇雲にドリブルを仕掛けてボールを失ってしまう姿は、もはやどこにも見当たらない。堅守を誇るアトレティコの中で随一の安定感を見せている。身体能力を生かした守備でボールを奪い、精度の高いパスで試合の流れを作り、ダイナミックなシュートでゴールを陥れる、チームの根幹を支える頼もしい選手へと、いつの間にか変貌を遂げていた。
本人も「違いは明らか」と認める進化。では、その理由について彼はどう分析しているのだろうか。
「昨シーズンは中盤のサイドや真ん中で起用されて、自分のポジションを固定することができなかった。今シーズンから、ディエゴ・シメオネ監督が僕本来のポジションである中央に固定してくれた。それが一番の理由だね」
“本職”と考えているポジションでの起用。これが彼の自信を深めることになった。
「今シーズンはチーム内の競争が激しいけれど、自分が今まで以上に重要な存在になれたと感じている。それは監督が僕を信じてくれて、何をすべきか導いてくれるから。アシスタントコーチのティアゴ(メンデス)の助けもあって、周囲のプレーを研究したんだ。ハードワークとチームのサポートのおかげだよ」
■試合から試合へ
ダイナミックなプレーでピッチの中央に君臨する姿は、彼がガーナで過ごした幼少期に憧れた選手を彷彿とさせる。
「当時はプレミアリーグばかりを見ていたんだ。中でもリヴァプールのスティーヴン・ジェラードをよく見ていた。ラ・リーガはあまり放映されていなくてね」
懐かしみながらガーナでの日々を振り返るトーマス。そんな彼が初めて臨むことになるのが、今週末のマドリード・ダービーだ。伝統の一戦が持つ重要性は、「ガーナだけではなく、多くのアフリカ人の同胞も応援してくれている」と十分に感じている。そしてライバルとの決戦に身を引き締める。
「相手は強いし、調子もいい。相手はクリスティアーノ・ロナウドだけじゃない。素晴らしい選手がたくさんいるレアル・マドリーが相手なんだ。他にもケアすべき選手がいるから、全員がきちんと仕事をしないとね」
アトレティコには「パルティード・ア・パルティード(試合から試合へ)」という哲学がある。「目の前の一試合一試合を大事にしよう」という意味だ。この哲学こそがアトレティコの情熱、ハードワーク、団結心の源泉であり、チーム全員に浸透している。もちろんトーマスも例外ではない。
「まずは良い仕事をすること。自信を持ち、ミスを多くしないこと。相手の出方は分かっている。僕たちはとにかく勝利を目指すしかない。今はこの試合のこと、そして勝って勝ち点3を持ち帰ることしか考えていない」
2位・アトレティコが3位・レアルのホーム、サンチャゴ・ベルナベウに乗り込んで行われる今回のマドリードダービー。激しいライバル関係を築いてきた両チームには、歴史的に数多くの因縁を残す。今回のゲームでもサポーター同士の衝突を未然に防ぐため、1000人を超える警備員が配置されるという話が出ている。
首都の覇権を争う上位対決を前に、周囲は加熱するばかり。スタジアムはいつも以上に熱気を帯びることだろう。その雰囲気が選手たちの心に火をつけることになるはずだ。熱く、そして冷静に――。クラブ伝統の「パルティード・ア・パルティード」の精神を胸に、トーマスが最大のライバル打倒へ全精力を注ぐ。
レアル・マドリー vs アトレティコ・マドリー
4月8日(日)23時15分キックオフ※日本時間
文=大川佑
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