2018-06-15-kengonakamura-MSN(C)青山知雄

ダークホースが台頭しやすい?欧州CL、A・Bグループ展望【中村憲剛のMSN】

みなさん、こんにちは。中村憲剛です。今年もヨーロッパの最強クラブを決めるUEFAチャンピオンズリーグが始まりました。そこで今回はグループステージ展望を3回シリーズでお届けしましょう。グループAからHまでの勝ち抜き(ベスト16へと進む上位2チーム)予想から、楽しみなチーム、期待の選手、注目カードに至るまで、僕なりの視点で探ってみたいと思います。

■波乱含みか。その理由は…

まず1回目はグループAとBの2組を展望していきますが、その前に今シーズンならではの傾向について簡単に触れてみましょう。それは例年と比べて「波乱含み」の要素があるということです。ワールドカップ(W杯)直後のシーズンだけにロシア大会に出場した選手、特に上位へ食い込んだ国々の主要メンバーは休みが短かったはずなので、心身の両面でどこまでリフレッシュできたのか。コンディションの面でバラツキが大きいんじゃないかと思います。

想像以上に疲労が溜まっているはずで、ベストの状態へ持っていくまでに相応の時間を必要とする選手も出てくるかもしれません。それに伴い、ケガなどのリスクが高まる恐れもある。当然、個人差はあるにしても、W杯のメンバーを数多く抱えるクラブは序盤戦で思わぬ苦戦を強いられるケースも出てくる可能性があります。ましてやグループリーグは6試合という短期勝負。序盤で勝ち点を稼げないチームは思わぬ敗退を喫しかねません。

その意味では例年以上に選手層の厚さやチームのマネジメント(コンディショニング)が問われるでしょうね。また、仕上がり具合が未知数となれば、対戦順もかなり影響すると思います。そうした点を考え含めると、ダークホースが台頭しやすいシーズンと言えるかもしれません。

■グループA:いずれも仕上がり次第

2018-10-01-dortmund-kagawa-shinji(C)Getty Images

【グループA】

・アトレティコ・マドリ―(スペイン)
・ドルトムント(ドイツ)
・モナコ(フランス)
・グラブ・ブルージュ(ベルギー)

本命はやはりポッド1のアトレティコですね。監督のシメオネが6年半という長期政権を築き、その間にCLの決勝に2度も進出しています。しかも、今シーズンの決勝の舞台が本拠地のワンダ・メトロポリターノですからね。モチベーションも例年以上に高いでしょう。いかにもシメオネのチームらしい質実剛健のスタイルも健在です。

ただし、盤石かと思いきや、ラ・リーガのすべり出しで少々、つまずきました。攻守の要であるFWグリーズマン(フランス)やDFゴディン(ウルグアイ)をはじめ、ロシアW杯上位進出国の主力を抱える影響もあるのかもしれません。さすがに敗退は考えにくいですが、序盤でもたつくようだと、三つ巴の争いに巻き込まれる恐れもあるでしょうね。そうなると、ドルトムントとモナコに突破の芽がふくらんできます。

真司(香川)がいますから、ドルトムントに肩入れする部分もありますが、ファーブルを新監督に迎えるなどクラブとして変革期にあるぶん、真司の出場機会を含め、不確定要素が多い。スタメンの顔ぶれも大きく変わりました。大黒柱は新キャプテンとなったロイスですが、故障しやすい弱みがありますからね。若く有望なタレントは多いですが、チーム力を計算しにくいのは確かです。アトレティコを出し抜くまではどうか。

未知数という意味ではモナコも同じです。主砲ファルカオは健在ですが、近年は超新星のムバッペをはじめ、すっかり次世代タレントの登竜門とも言うべきクラブとして定着しましたね。そのぶん、主力選手の入れ代わりも激しいのですが、若手の有望株に「はずれ」が少ないので、どんなタレントが台頭してくるのか楽しみです。W杯で活躍したロシアの至宝ゴロビンも注目したい選手の1人。例年、チームをうまく束ねるジャルディム監督の手腕も確かですから、ドルトムントに勝るとも劣らないポテンシャルがありそうです。

ただ、ドルトムントもモナコもチームの仕上がるタイミングが読みにくいため、浮上か低迷か、針の振れ幅は大きいでしょう。互いに仕上がりが遅れると、どうなるかわかりません。そうなると、アウトサイダーのクラブ・ブルージュにも勝ち抜きの目が出てくるかと。案外、波乱含みのグループと言えるかもしれませんね。

■グループB:バルサ以外の3チームは死角が多い

2018-10-01-barcelona-messi(C)Getty Images

【グループB】

・バルセロナ(スペイン)
・トッテナム(イングランド)
・PSV(オランダ)
・インテル(イタリア)

いわゆる『死のグループ』でしょう。クラブの歴史、ブランド力、ネームバリューからみて強豪、名門がそろいましたからね。それでも、バルセロナは動かぬ本命かと。金看板のメッシとスアレスの2トップがそろって30歳を過ぎたとはいえ、まだまだ老け込む年齢ではないですから、今シーズンも依然として強力です。ただ、イニエスタが退団したことで、攻撃面におけるメッシへの依存度が良くも悪くもますます高まってしまう不安はあります。

スタイルにしても、パスワークを武器にしたバルサのDNA(遺伝子)はさらに薄れるでしょう。メッシを例外とすれば、担い手は実質、ブスケツひとりですから。ペップ(グアルディオラ監督)時代に確立されたバルサイズムが消えつつあるのは寂しいなと。もちろん、それ自体がチームの弱体化を意味するわけではありません。トップクラスのタレントがそろっているし、攻守のバランスもいい。勝てるチームなのは確かです。

本命に推すのも、決して「バルサびいき」だけが理由ではありません。冒頭でも触れたように『死の組』とは表向きで、実際は1強に近いんじゃないかと。それくらいバルサ以外の3チームには不安要素が少なくありません。OBのファンボメルが新監督となったPSVはチームワークに優れるものの、タレント力では見劣りします。総合力ではポッド4に組み込まれたインテルのほうが上でしょう。今オフの補強も積極的で、戦力的な上積みもある。ただ、序盤の戦いぶりを見る限り、完成形にはほど遠い印象です。

そう考えると、バルサの対抗馬として有力なのはトッテナムかと。昨シーズンはベスト16に進出しています。その自信は侮れません。CLは経験値が大きくモノを言う大会ですからね。ポチェッティーノ政権5年目でスタイルが確立されているのも強みでしょう。ただし、今オフの補強がゼロだったことは不安要素のひとつです。新加入がないということは新たなメンバーによる化学変化がないということで、チームとして上積みが現有戦力の成長もしくは選手のコンバート・システム変更からしか起きないので主力にケガ人などが出た場合にどうなるか。選手層がネックになりそうです。そんなわけで、バルサの優位は動かないかと思います。

構成=北條 聡

▶UEFAチャンピオンズリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【DAZN関連記事】
DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)に登録・視聴する方法とは?加入・契約の仕方をまとめてみた
DAZNの番組表は?サッカーの放送予定やスケジュールを紹介
DAZNでJリーグの放送を視聴する5つのメリットとは?
野球、F1、バスケも楽しみたい!DAZN×他スポーツ視聴の“トリセツ”はこちら ※提携サイト:Sporting Newsへ

Goal-live-scores
広告